【1059taisen】
犬張り仔の遊戯【参】
)ケモ耳ぷち化で性描写
【参】とは銘打っていますが単品で読めます



三面三様の自分が映る。
どれだけ信じたくなかろうと、それは愚直に今の自分の姿を映す。
身体を横たえさせている段蔵の上へ仔犬の身体に裸で乗り。
悦に揺れる尻尾を握られながら羞恥に窄まる後孔を晒し。
熱塊と化す段蔵の自身に口唇を寄せて愛撫する姿。
嗚呼、何て―――顔をしてる。

ちゅうっ…ちゅ、ぺろ…

「ふ、ンっ…ん…ふむ、ッ…」

密に蜜な水音の響く室内。
猥りがわしい中心で重なる影は、二つ巴で絡まり合う。
但し二つ巴…と言うには上に乗る一益の身が今は仔犬である為。
巴の均整が少々、取れぬが。
乗せる段蔵からしてみれば余計な体重を掛けられる事も無く、自由が利く丁度良さというところ。
例えば、こんな悪戯だとか。

むに…ぬちッ…くに、くにっ…
ふ、さっ…ギュウ…ッ…!

「っ、ひぁッ…ア…!…そん、な…せっつ、くな…!」
「ククッ…良い眺めだ。貴様もそう思うだろう?」
「…しるか、よ…!」

段蔵の眼前で脚を開き跨がっているのだから、何も纏わぬ一益の後孔は既に見え晒されている筈。
しかし段蔵は一益の尻肉を掴むと軽く割り開き。
まじまじと愛らしい孔を見詰めて、窄まりの入り口を撫でる。
それだけでも充分だろうに、ついでとばかり段蔵は一益の尻尾を少々強めに握って喘ぎ鳴かせた。
鳴いた反動で一益は段蔵の自身から口唇を離し顔を上げると。
眸に飛び込む、自分。
ゆらりと浮かぶ鏡の中。

(…ほんとうに "しゅみ"が わるいにも、ほどがあるぜ…)

一益の目線で言えば、段蔵の自身越しに置かれた鏡。
決して大きな物ではないが巧妙に角度付けられており、ひとたび一益が鏡へ目線を送れば自らの表情と痴態とが捉えられ。
正面の鏡から逃れて左右に顔を背けようとしても。
鏡は三つ、左右の先にも置かれて一益を静かに映し続け。
段蔵の言う―――「眺め」とは。
厭らしくも可愛らしくもある一益の後孔を眼前にしての事の他に、別の含みが有る様に思われた。
わざわざ一益にも問うた事。
つまり、鏡に映る「今の」自らの表情は良き眺めであろう?…と。
揶揄する意味合いが含まれているに違いなかった。
とはいえ、如何に段蔵といえども頭を鏡とは逆にして身体を横たえているのだから鏡の中の一益が見えている筈は無く。
それでも段蔵が、その揶揄を含ませた事には。
一益に、見えずとも自分の乱れた顔を想像し愉しんでいるのだと思い知らせているのだろうし。
何より容易に。
段蔵が想像する通りの顔をしているのだと、一益は理解した。
こんな「カオ」、見たくない。

…ちゅ…ペロっ…ペロ…
はむ…っ…ちゅうッ、ちゅっ…

「ンうっ…ふ…んんっ…!」

鏡を振り切る様に一益は目線を落とし、逞しく屹立する段蔵の自身へ口付け直すと先程よりも丁寧な丁寧な愛撫を施し始める。
小さな口には余る先端を可能な限り咥えての行為。
鏡の存在を忘れてしまいたい一心からの行為だが。
一心の、筈だが。
簡単に消す事の出来ない鏡の存在は自らのものでは無い何者かの視線の様に感じられ、あらぬ昂ぶりを一益に引き起こし。
見たくない、見たくない、のに。

「ふゥ…んむっ…ふ…」

段蔵の自身を口淫する鏡の中の自らの姿へ向けて、目線を送りたくなるのは…何故なのだろう?
こんな「カオ」が―――段蔵は、好みなんだろうか。
何て事まで想っている。
見えてはいない段蔵の為に、進んで誘う顔を作っている。

つぷっ…ズ…ヌ…

「ん、ぐッ…!…ン、ふ…フ…」

一益には何の断りも入れず段蔵は不意を突き、くにくにと入り口を玩んでいた後孔へ指を挿れた。
圧迫の具合からすると段蔵にしては、まだ戯れな方で。
浅く小指を咥えさせられたのだと一益は察したが。
理解ったところで、びくんと一益の身体は反応してしまうし。
一層に段蔵が望むであろう蕩けた顔を鏡に映す。

ぐりっ…くに…ギュウッ…!

「…!…ふ、ウッ…んうッ…!」

奥には侵入せず、あくまで入り口付近を蠢く段蔵の小指に。
焦れったい様な感覚も含めて身悶えていた一益だったが、耐えられぬもどかしさという程ではない。
しかし意識を後孔に寄せたところで、尻尾の事を疎かに。
段蔵の表情も鏡に映っていたのなら愉悦に綻ぶ赤が、きっと。
だが見えぬ一益には、力を込めて握られた尻尾に抗う術は無く。
背を這う快感に、咥える段蔵の先端をじゅうっと吸い上げれば。
溢れ始めていた先走りが一益の咥内に広がり、溺れる。
快感の波が退く頃合いを計って段蔵は一益の尻尾を握り込み。
段蔵の胸上で硬くなる一益の自身は、その度に熱く脈打ち。
一益は鼻から抜ける甘ったるい鳴き声を抑える事が出来ず、口端から零れそうになる先走りを何とか飲み込むのが精一杯だった。

「クク…好い反応だ…」
「ン、む…ウんっ…!」

存分に堪能したところで段蔵は尻尾を握る手を離すと首を起こし。
一益の尻と太股の境を優しく食み、ちろりと柔肉を舐め上げる。
今度は、くすぐったい刺激。
段蔵の口唇が、啄ばむ様に幾度も口付けを降らせると一益の身体は矢張り従順に反応を示して。
掛かる段蔵の吐息は熱く、欲情の火照りを共有させ。
互いの性感を睦み合う。

…ぐい…っ…!…ちゅぽッ…

「フフッ…」
「ん、ぷはっ…ア…!」

ひとしきりの愛撫に満足したらしい段蔵は、寝の姿勢を解いて一益を捕らえながら起き上がると。
変わらず三つの鏡の前に、脚を軽く崩して座り。
仔犬の身である一益を自らの下腹を軸として座らせた。
ちらと一益が鏡に目線を送れば、ずっと段蔵の自身を咥えていたのが突如として引き離され口唇が妖しく濡れ輝いている。
唾液なのか先走りなのか考える前に口元を手の甲で拭うと、察した段蔵の笑みも映った気がしたが。
明確に見ては癪に障るだけ。
拗ねる様に一益は身体を小さくさせて少しでも鏡に映るを逃れ。
もう一度、強めに拭う。

…きゅむ…

「…なっ、にを…」

段蔵の事なので、見兼ねた…等というつもりは無い筈だ。
けれど背後からの、すっぽりと包み込まれる抱擁は心地好く。
絆しを断ち切ろうとする思いを迷わせるのに充分で。
どうにもならず、ただ腕の中で段蔵の体温を感じていると。
そっと顎に手を添えられて、一益は顔を上に向けさせられる。
反するつもりは、ない。
ちんまりと段蔵の成り行きに任せ一益が大人しくしている様子に、機嫌良く口角を上げた段蔵は。
抱き締めたまま一益の顔を覗き見ると、ぺろり。
柔らかな頬を舐めた。

「っ…おい…」
「いいから、少し黙っていろ…」
「…んん…っ…」

本来は、仔犬の自分が行う筈の仕草なのだと一益は思う。
ペロペロと舐られるのは気恥ずかしく、何処に目線を置いたものかと困惑して双眸を泳がせれば。
捉えてしまう姿は―――自分。
段蔵に抱き締められながら、頬に口唇と舌を寄せられる姿。
鏡による客観視は、それだけではなくて他の事も知らせた。
座る段蔵の下腹に乗せられている格好である為、一益は太股の間に段蔵の自身を通し跨ぐ格好にもなっていたのである。
故に身体に合わせたモノとなる一益の自身は段蔵の自身に隠れ。
仔犬の一益には、見合わぬ一物が付いている様で。
滑稽さは勿論なのだが。
釣り合いの取れぬからこそ、余計に厭らしいとも取れる姿。

…ちゅ、ちゅくっ…

「ふ…?…ン…」

遣る瀬無さが溢れ掛けた一益に、段蔵は優しく口を吸う。
嗚呼、これで。
やっと双眸を閉じる事が。
鏡を見なくても済むのならば…そう思うと止まらず、一益の方から積極的に段蔵の口唇を求め。
口唇がふやけて馬鹿になりそうになっても、口吸いに耽った。

…つうッ…トロ、トロ…っ…

「…っ、ふ…!?」

しかし段蔵がこのまま事を済ませるとは思えず。
一益が双眸を閉じて口吸いに夢中となる隙、特製の淫蜜を取り出すと自身へ向けて流し落とす。
最初の冷たさに声を上げそうになるが、使われるのが何度目にもなる一益は流し落とされた正体がすぐに分かったものの。
"ソレ"が慣らし難い性質である事も分かっている。
心中で舌打ちしつつ。
まだ意地で眼を瞑り見えてはいないが、感覚的に相当な量。
今の一益の自身へ使うにしては多く、とっくに睾丸や後孔にも及んでトロリとした蜜に覆われて。

…にゅ、る…んッ…

「ッ、は…!…ア…はァ…ッ!」

だが思い出した。
一益の自身に淫蜜を流し落とせば、今の体位のままではどうしたって段蔵の自身にも流れる筈。
そのつもり、なのだ。
口淫でも勃ち上がっていた段蔵の自身が、淫蜜の滾りを受けて逞しさを増し一益の自身に触れ。
交わりの熱さに耐えられず、一益は大きく酸素を求め。
重ねていた口唇を離す。

「フフ…もう良いのか?」
「…くっ…」

離した途端に見えた赤は…享楽というより、狂楽。
遊びを思い付いた化生の色。

「俺は手を出さん、自分で慰めても構わぬぞ…ククッ」
「なにっ…ン、んア…ッ…!」

ヌル…ヌル…ッ…きゅっ…

手を出さぬのは「自身には」という意味合いらしい。
段蔵は残る淫蜜の総てを掌に取ると一益の胸に塗りたくり、尖る両の先端を軽く摘み上げれば。
一益にはジンジンと響く容赦の無い甘い痺れが自身にも伝い、淫蜜ごと自身を扱き手淫に耽りたい衝動に襲われる。
調合が多少、違えているのか。
今迄の蜜は急激に性感を助長させる代物だったが、今回の蜜は奥底から痒みの感覚を沸き上がらせ。
すぐにでも竿を握りたい、けれどそれは段蔵の思う壺。
蜜を流されているのは段蔵の自身も同じだが、我慢比べの遊戯に同じ土俵だとはとても思えず。

ヌルッ…きゅうっ…くに…
…にゅる…にちゅっ…

「く、はッ、あァッ…あン…!」

歯を食い縛り耐えようとする一益に、段蔵は乳首を執拗に責め。
その度に反応する自身は跨る段蔵の自身の上でびくんと跳ね。
反応に気を好くし興が乗り、そそり勃つ段蔵の自身と自然に擦れ絡まり、にちゅにちゅと淫らな水音が絶え間無く零れ。
一益の睾丸は、段蔵の自身が脈打つ度に圧迫を受け。
先走りと淫蜜が混じり合い、にゅむりと形を崩す。

「はァッ、ぐぅ…っ…くう…!」

右の人差し指をギリッと噛み、痛みで悦を和らげようとするが。
既に身体へ回りきった淫蜜の効果で思う様な力も入らない。
終いには、後孔までも段蔵の自身と擦れて疼きだし。
物欲しげに腰を揺らせて、一益は射精を強請り始めていた。

ふかっ…はみ…っ…

「自分で慰めても構わぬ…と、そう言っただろう?…フフ…」
「く、う…んンっ…!」

これだけ自身を屹立させていても、段蔵の言葉には余裕が窺える。
仕上げとばかりに一益の頭の上で小刻みに震えていた犬耳に頬と口唇を寄せると、優しく食んで。
甘い囁きを。
自分の中の何かが堕ちる顔。
鏡に映っていたのは、確かにあんたが好きそうな顔だった、な。

…にちゅ…くちゅっ、にちゅっ…

「ふ、はッ…あッ…ア…」
「…クク…ッ…」

観念した一益は竿を握ると、勢い良く扱き自らを慰め。
鈴口から溢れ零れる先走りの様、手淫の快楽を覚えて止める事など出来そうに無く淫蕩に耽り。
…だが、一益が扱いているのは自らの一物だけではなく。
もう一方の手は段蔵の自身に添えて、二本を扱いている。
二つ巴もそうだったが、兜合わせにしても釣り合いは取れない。
今の小さな手には余る段蔵の自身を、しかし一益は敢えて自らの自身と絡み合う様に時に両の手で二本をにゅるにゅると扱き。

「んっ、あ…あンっ…!」

声を抑えられず小さな鳴き声を漏らしながらも。
せめて、同時に果てさせようと抗う意図が窺えた。
段蔵からしてみれば些細な抵抗だが…どうやら悪くは思っておらず、にまりと笑んでその誘いへの興が乗った模様。
くにくにと玩び続けていた一益の乳首を離し。
一益の手淫を助ける様に、扱く手へ掌を被せる。

「お、い…"てはださない"んじゃ…ァ…なかったの、か?」
「クク、別に直接触れている訳ではなかろう」
「そいつは"へりくつ"って…イっ、あっ、あァ…アンっ…!」

最早、一益の言葉など耳に入れず段蔵は一益の手ごと扱き始め。
その性急具合からすると、矢張り段蔵にしても耐え兼ねていた部分が有ったのではと見えるが。
兎に角、ぐちゅぐちゅと音を立てる二本の屹立が果てるのは。
そう遠くない事だけは分かった。

くちゅっ…にちゅっ、にちゅ…!

「ふぅッ、く、う…う、あ…!」
「果てに堕ちるがいい…!」

びゅくるるううっ…!
…びゅるっ…びゅく、るる…っ…

段蔵の腕の内のままだが一益は可能な限り背を仰け反らせ、ビクビクと震えながら射精に至る。
一方の段蔵は。
一益を包み込んだまま仰け反ろうとする仔犬を逆に抑える様に、捕らえたまま射精しており。
吐き出された淫蜜よりも濃い白濁が落ち着きを見せるまで。
ふたつの荒い息遣いだけが、室内を支配して。
静かに浸る余韻の中。
薄らと生理的に零れたらしい涙で視界が少々ぼやけたが、一益は構わず光を湛える鏡を見詰めた。
矢張り、映る姿は仔犬のまま。
瞳は何処か虚ろで、今に想う取り留めの無きを示す様。
果たして、この身体は段蔵を満足させる事が出来ているだろうか?

…くしゃ…なでなで…

「んっ…なん…ッ…」

口をつぐみ急に居心地の悪さを露にした一益の様子に、段蔵が何を感じ取ったのかは分からぬが。
萎れ伏せていた犬耳ごと、一益の頭を撫で始める。
段蔵の行為を、どう捉えれば良いのか対応に詰まり。
されるがままに任せていると、一益は徐々にトロトロと蕩ける様な心地に包まれ、"するり"と構えていたモノが解けてゆく。
撫でられながら、改めて目線を送る鏡の中の一益。
目に付くのは、腹の上に吐き出された欲情の証である白濁。
どちらのモノで塗れているのか全く判別がつかぬ溜まりに一益は指を這わせ、ぬるりと円を描き。
…「これ」は、素直なんだよな。
それで充分なのだろう。

…もぞ…クチュ…ちゅうっ…

「…フフ、殊勝な真似をする…」

一益はもそもそと身体を反転させると、段蔵の茶々には構わず。
精を吐き出したばかりの段蔵の自身に口付ける。
口淫を施す意味などではなくて、清めの意味合いでの。
先端をそっと咥え、中に残る精を吸い出して飲み込む中には苦味とは別の甘さも混じっている為に然程、苦には感じられない。
甘さの正体は淫蜜なのだが。
どうやら外気に触れると効果を現すが、そこから長時間の効き目を保つ物ではないらしい事を一益は経験から察しており。
実際、今はただの蜜と変わらず飲み込んでも変化は無く。
甘い蜜と精とが纏わり付く段蔵の自身を、ぺろぺろと小さな舌を懸命に這わせて奉仕する姿に。
珍しく段蔵が鏡を見やれば。
尻尾をふりふり揺らす一益の尻が映っており、自身を咥える顔と交互に見て思わず双眸を細めると。
今一度、優しく仔犬の頭を撫で。
愛玩の意を露にした。

…ぺろ…ちゅうっ…ちゅ…

「…っ、ふ…う…とりあえず、こんなところか…」
「御苦労…フフッ」

竿の根元まで丁寧に舌を使い、蜜と精を舐め取り終えた一益は。
最後に小さく先端へ口付けて口唇を離し清めの終わりを告げる。
…が。

「しかしまあ…それにしても、あらったほうが いいだろうな」

多量に流し落とされた蜜は、一益が口で清めた他にも身体のあちこちに付いておりキリが無いし。
もっと一益に言わせれば。
胸元にも蜜を塗りたくられ腹の上に精を吐き出されている自分の方が早く清めたいのだが、という気持ちも含まれているのだろう。

「違いない……おい」

一益に同意し、水場へ立とうとした段蔵だったが。
何故か清めたい筈の一益が動こうとしない事に怪訝そうな顔を向けると、一益は段蔵の手を掴み。
ゆるりと口を開く。

「あんたが はこんで くれよ」
「何だと…?」
「"とくい"なんだろ…おれみたいなのを しずかに はこぶのは」
「クク…随分と曲解されて伝わっている様だな…」

―――鏡に映る姿。
自分が仔犬の姿になった意味や理由を時々、考える。
今は段蔵の姿も捉える鏡。
映る姿、化生が柔らかな赤を湛える事が出来る意味を問う。
それと近しいのかもしれない。
この孤高の化生を、ひとりにはしない為だというのなら。
酷い悪戯―――だと思うが。

ふわりと仔犬の身体が浮かぶ。
成程、これでは気付かぬ内に夜闇の先へ攫われてしまうだろう。
鏡はもう、ふたりを映す事が出来ず面は闇に覆われている。
しかし段蔵に抱え上げられた一益が、最後に見た自らの顔は。
こんな自分でも。
好きになれる顔だと想えた。

■終幕■

◆ひとつ前の現パロ小噺で、文字数の具合から盛り込まなかったプレイが有りまして…それが鏡プレイだったのですけれども。
なので今回は話を通して鏡プレイを盛り込んでみましたよ。
わん益より通常の身体で繋がっているのを見せられちゃう的な方が良いのかな、と思いましたが。
今回の体位は69と背面座位に決めたので、わん仔の方が段蔵さんも悪戯し易そうだなと(*・ω・)
ねちねちと段蔵さんに悪戯されつつ、その姿を鏡に映して見せられちゃうなら…「わん仔」の姿それ自体、という事も含め。
わん益の方がプレイと着地の決着が付け易いかな、とか。
でも、わん仔のえっちを書く時は特に気持ち甘めなつもりです。
因みに、あなたを懐かせる方法ったーを試したところ

《わん益を懐かせる方法》
@「犯す」A「顔中を舐めまわす」B「よしよしする」
http://shindanmaker.com/218750

(*´∀`)…
せめて順番はBA@じゃないのか段蔵さんや、というアレな結果が出たので寧ろ取り入れました(…)

2012/06/10 了

【少しだけ後のお話】

―――…もぞもぞ。

「…おい」
「……」

―――…ごそごそ。

「…あんたが そうしてる と、ねむりにくいんだが」
「気にするな」
「…きになるからこそ、いっているのくらい わかるだろ」
「フフ…」

密で蜜な甘い情交の後。
身体中に纏わり付いた精や蜜を清めに向かった、ふたり。
特に一益に関しては清めるというよりも浄める勢いで水を一気に被り、芯に残る火照りすら冷やそうとしている様に見えた。
ぷるぷると身を振るわせて犬耳や尻尾の水滴を粗く落とし。
それから、段蔵が用意していたらしい大判の手拭いを用いて丁寧に全身の水気を払っていると。
当たり前に当たり前だが。
払う間で既に、色々な疲れが顔を出し眠りを誘う。
最も、「今の」一益の場合。
この睡眠欲は仔犬の姿と化す刻の終わりが迫っている事を、身体が告げる意味も含まれている。
次に目覚めた時は、元通りの体躯…の、筈だ。
睡魔に襲われる一益を。
部屋へと戻る際、今度は何も言わずに段蔵は抱え上げ。
夢の中まで、あと少し?
得てしてそれが、遠いもの。
どうやら化生は―――上手に子守唄を奏でる事が出来ぬらしい。

「んん…っ…」

一益の寝苦しさの原因は、仔犬を抱き締める段蔵にある様子。
多少、抱き留められる程度ならば…まだ良いのだろうが。
腕枕の如く一益の頭の下に腕を通し、もう片方の腕は小さな背を決して逃すまいとばかりにキツく捕らえられていては。
寝返りたくても許されず段蔵の胸元に埋まり、息が詰まる。
尻尾のせいで仰向けは無理なので、横向きになるのが常。
せめて、段蔵に背を向けて寝に就けばと後悔してみるものの。
結局のところ今の体格差では全く意味は無いだろうな、とも。

「…どういう つもりだ?」
「フフ…何、これでも元の身体に戻るのかと思っただけだ」
「あと…"あかり"をけせよ」
「元に戻るというのなら、戻る様を見たいのでな…クク」
「っ、う…ん…」

抱き締める腕の強さが増す。
確かに、こうして抱かれる腕の内からでも元の体躯に戻れるのか。
一益も少しばかり気にはなる。
興味への高鳴りが僅かに感じ取れる段蔵の心音に聞き入ると。
全身が、じわりと染みた心地好い温かさに包まれて。
水を被り冷やした身体。
それが生者の熱を取り戻そうとしている働きが起こるのは。
きっと、ふたつの体温同士が共鳴しているからなのだろう。
一方的な抱擁。
仔犬の身で腕の内に在っては、抱き締め返すも叶わない。
それでも―――こんなに。
こんなに…も、恋人の様なのに。

(…ちがう…な…)

違うんだ。
総て、総て幻に魅せられているだけに違いない筈なのだ。
この熱の総て、胸の苦しさ総て。

(あんたの…"じゅつ"なんだ…)

どうにか、段蔵の腕の内から酸素を求めて頭を出し。
そっと。
形容が出来ない漠然とした自らの想いに抗う様、段蔵の表情を窺い見上げた一益は短く息を呑む。
どうして…なんだろう、な。
例え、例え段蔵へ渦巻く感情の総てが…めくらましだとしても。
一益は双眸を閉じる安らかな化生の顔を宝物の様に、こころへ焼き付けずにはいられなかった。

■終幕■

2012/06/15 了
clap!

- ナノ -