【1059taisen】
星屑のわん仔
!)この頃の全国用デッキ面子が絡んでます
SR滝川一益SR加藤段蔵SR羽柴秀吉SRまつC大石綱元…どうやって勝っていたのか(苦笑)
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「えっ、か、一益殿…っ?」
「まあ…!一益…様?」
「た、滝川殿で…ござるか?」
三者三様の、しかし共通するのは驚いたという事。
注がれる目線は段蔵…の隣を大分、下げた辺りのふさふさ。
わん仔中の一益である。
「…それがしよりも、その…小さく…あっ、いや!け、決して少し嬉しい、とかではござらん!」
「…やっぱり、"しんちょう"をきにしてるんだな。つなもと」
「ま、まあ…多少は、やはり…って、それがしの事よりも!」
「そうそう!何がどうしちまったってのさ!…もしかして…」
言い止めた秀吉は、ちらりと段蔵の方へ目線を上げる。
気持ちとしては「もしかして」というより、「もしかしなくても」という含みの方が大きい様子。
「どう考えようと勝手だがな…こうなった事に俺は関係無い」
「…本当に?」
「…いまのところは"ほんとう"だ、ひでよし」
「う…一益殿がそう言うなら、だけどさ…うーん…」
含みを察した段蔵の返答を、信じきれない秀吉だったが。
当の本人であるところの一益が間に入り、段蔵が関わっての事ではないと明言するのでは半信半疑ながらも納得するしかない。
「では、一体どうして一益様がこの様なお姿に…?」
「それがわかれば、この"すがた"では でてこないさ」
「それもそうですわね…」
一益が、最初にわん仔と化してから暫しの時が過ぎていた。
この状態が連日続くというのであれば、早急にどうにかせねばならない大事の事態であったが。
幸い…というのか、翌日を迎えれば元に戻っており。
その時はそれで安心をしたものの、どうやら"癖"になったのか。
一益の意思とは関係無く、朝に目覚めるとわん仔になっているという事が起きる様になっていた。
翌日を迎えれば戻りはするので、変化したその日の間だけ段蔵以外とは会わぬ形を取り続けていたものの…流石に、限界が有り。
要らぬ不審が起きる前に。
目覚めた一益が、己がわん仔になっているを確認すると。
段蔵に事態を皆へ明かす事を告げ、現在に至る状況である。
「……と、いうわけだ。」
「じゃあ、今迄にも何度かその姿になってたんだな一益殿」
「ああ」
「確かに、姿をお見掛けしない日が有ると思いましたけれど…」
「ビックリしたでござるよ。…でも、滝川殿は滝川殿でござる」
「おっ、綱元殿流石!おいらも、そう思いますぞっ!」
「まつも、御二方と同じです」
「…そうか、ありがとうな」
少し膝を曲げて自分と目線を合わせてくれる三人の言葉に。
一益は普段と変わらない涼しげな態度を保ち、礼を述べるが。
ちょっとだけ、三人を見上げ。
ちょっとだけ、温かくなる。
「しかし一益殿だと犬なのか…おいらだと、やっぱサルかな?」
「…むしろ、サルいがいだったら おどろくと おもうぜ」
「うーん、じゃあ綱元殿だと栗鼠になりそうな気がする!」
「り、リスでござるか?」
「でも、少し分かる気が致しますわ。綱元様の雰囲気的に…」
「そうでござろうか?」
じーっと。
不思議と興味が混在した様にして秀吉は一益の事を見ていたのだが、急に"自分だったら?"という思考が湧き上がったらしい。
しかし己では「サル」以外の想像の幅が生まれなかったからか。
話題は綱元にも飛び火して。
「まつは何の動物でしょう?」
「まつ殿でござるか…」
「無難かもしれないけど、猫かなという気がしますぞ!」
「…どこのスジの"ぶなん"なんだ、ひでよし…」
きゃいきゃいと話は進み、まつに似合いそうなあにまるを選び。
となると残るのは。
「…段蔵殿か…」
「フフ、化生である俺を獣に例えられるか…」
腕を組み、首を傾げ段蔵には何が似合うものかと考える秀吉に。
それまで話に全く加わる気配が無かった段蔵も、自分に回って来たとなると多少は気になるのか。
チラと秀吉に目線を送る。
「…白くて眼が赤くて飛ぶから、兎かなって納得するんだけども釈然としないっていうのか…」
「…」「…」「…」
ああ、確かに納得するが何だか釈然としない気がする。
この時、間違い無く段蔵以外の四人はうさ耳の段蔵を想像した。
「……」
「あ、いや、おいらに何か言いたい事が有るなら、その!」
「クク、言っていいのか?貴様が崩れ落ちる様な事を」
「……や、やっぱり言わないでくれ段蔵殿……」
何を言うつもりだったのか。
段蔵以外の四人は、再び全く同じ事を思ったが。
聞かぬ方が賢明であろう。
ぎゅいいぃー。
「痛てててて!ちょっ、ひっ、引っ張るなっての!」
「フフ、これで勘弁してやる」
「ええっ、い、痛いのでござるか?羽柴殿。その、尻尾…状…のは…何処に繋がっているので…」
「い、いや綱元殿っ!じょ、条件反射みたいなものですぞ!」
いやいや、今のは間違いなく本気で痛がっていただろう。
だろう…が。
わたわたと弁明する秀吉の様子からするに、隠しておきたい事のひとつくらい誰しも有る訳で。
一先ず、置いておく事にする。
「…さて、とりあえず おれの じょうたいはせつめいしたな」
「どちらかへ行かれるのですか?一益様」
「アテはないが…このまま、というのもこまるからな」
「それがしも一緒に、原因探しを手伝うでござるよ滝川殿」
「ありがたいが、きほんてきには"おんみつこうどう"だからな。きもちだけ、もらっておくぜ」
「そうでござるか…」
しゅん、とした綱元の様子に。
悪いなと一益も思うが、人目に付く可能性を増やすのは避けたい。
幸いだが皮肉な事に。
気配を消すのは得意、なのだし。
「まあまあ綱元殿!おいら達はおいら達で別に、原因の手掛かりを探せば良い事ですぞっ!」
「…そうだな、そういうことなら おねがいしたいぜ」
「…分かったでござる!」
こんな時、秀吉の機転と明るい物言いは事実とても助かる。
場の空気を沈ませず、気持ちに後ろめたさを残す事が無い。
「話が済んだのなら行くぞ…」
「そうだな」
「段蔵様も行かれるのですか?」
「フフ、存外に興味が有るからな…化生ならば問題あるまい」
「まあそりゃ…その状態の一益殿だけなのは心配だからなあ」
「御二人とも、気を付けて行ってきて下さいでござる!」
「ああ」
三人に温かく見送られて。
一益と段蔵は身を翻し、すぐさま景色の中へと掻き消えた。
―――…
「やれやれ、こんかいも"せいか"は なかったな」
街中は勿論の事、様々な場所へ赴き情報を集めた二人だったが。
人気の無い街道外れの緑地に身を置き、今日一日を思い返す。
まず、自分以外にもこの様な状態に変化する者が居るのか?といった辺りの噂のひとつも見付ける事が出来れば進展も有ろうが。
生憎と今回も、そういった噂の類も聞く事は出来ず。
手応えの無いまま、辺りはすっかり夜の闇に包まれていた。
「以前も言っただろう、ならば俺が飼ってやるとな」
「…かんがえておいてやるぜ」
「クク、少し素直になったじゃないか。弱り目は命取りだぞ」
「…まったくだな」
ピン、と。
一益は己の犬耳と尻尾が少し萎えている事を感覚的に気付き。
ほんの少しだけ弱った心と共に、それを奮い立たせる。
伏して生きるのを止めたのだ。
上を、向こう。
「…あかるいとおもったら、ずいぶんと"ほし"がでているな」
「星明りか、方角と位置取りに利用は出来るが―――」
身を隠すには、
みをかくすには、
時に邪魔だ。
ときに じゃまだ。
「…化生らしい言い分を吐くじゃないか…貴様の事だから」
「ああ、"たなばた"だってのに…こんな"ぶすい"なことを、いいたくはない ものだがな」
そんな言い方をしたという事は。
七夕だという事は―――あんたも、分かっていたんだな。
「フフ…おい」
「うん?なにか―――…」
星舞う夜に、飛んだ。
小さくなっている身体を軽々、段蔵に抱えられたかと思うと。
永劫の時間に思える程、静かに。
―――星の中に、居る様だ。
ザッ…!
「…っ、と」
浮いた身体が重力を取り戻す。
だが、足は地に着いていない。
段蔵が跳躍したその先は、自分達の傍らに立っていた樹の枝。
その枝に腰を下ろした段蔵の…膝の上に座らされている事を、一益は理解しつつ驚きを覚えた。
「…どうしたってんだ?」
「何だ、偶には貴様の側に気を回してやったのだろうが」
「…へえ…」
星の河が好く見える。
地に立つより近くなったとはいえ、星々との距離は決して思う程に縮んでなどいないのだろう。
それでも、近くなった。
もっと見ようと顔を上げれば、頭と犬耳がふさりと。
段蔵の胸元に当たる。
「…あんたは、"ねがいごと"とか あるのか?」
「フフ、そうだな…」
顎に手を添えられ、くい、と一益の首は少し斜め上に。
そこには星明りに浮かび自分を覗き込む段蔵の顔が。
―――期待しても、いいなら。
俺は、この瞳を閉じるさ。
「―――っ、ん…」
期待通りの。
それ以上の。
優しい口付けを落とすなんて。
あんたは、真に―――化生、だ。
「…色に及ぼうとも、これでは口くらいしか碌に愉しめぬからな…クク、どうせなら元のままの身体に獣を宿してみせろ」
「…"ちいさい"ほうが、このましいんじゃ ないのか?」
「……」
「ああ、わるい、あんたにとって"きんく"だったんだな」
苦虫を噛み潰す…程の表情の変化があった訳ではないが。
それでも、眉が僅かにひそめられた事から察して異を唱えたい部分が段蔵的にはあるらしい。
「…全く…」
「ッ。お、い…」
身体を反転させられ。
星よりも、もっと近い段蔵と向き合う格好を取らせられる。
ふ、と。
軽い仕返し混じりに犬耳へ息を吹き掛けられた一益は、くすぐったさに身体をぴくりと震わせて。
その様子に興が乗ったのか、段蔵は一益のふさふさした尻尾に手を回すと大きく撫で擦り始めた。
「あのな、あ…"しっぽ"はともかく、"しり"までさわるな」
「フフ、あまりに口が過ぎると…その姿だろうと、どうなるか」
「…ああ、"やっぱり"って。おもってやるさ」
「クク、言ってくれる」
くつくつと笑む段蔵に、どこまで本気なのかと一益は思うが。
決して、キライじゃない。
じゃあ―――何なのか、と。
それを告げたところで、きっとあんたは理解出来ないだろうし。
俺もまだ、何なのか分からない。
今は、ただ。
逢ってしまった事だけが、理解出来る総て。
「…ところで、"ほし"がみえないんだがな、これだと」
「必要が有るのか?」
「あるさ、"いみ"ってやつが。…おれにも、あんたにも」
「……フフ」
今一度。
身体が浮いたかと思うと、段蔵の胸元に背をもたれる格好でも向かい合わせる格好でもなく。
その中間、段蔵の太腿の上に横を向いて座らせられる。
背の支えには腕を回され、ほんの少し…抱き寄せられただろうか。
自分を支える背の腕を信じ、一益が寄り掛かりを強めながら夜空を見上げて星を望もうとすれば。
三日月の様に映える段蔵の横顔を臨みながら、星の河を望む。
星月夜に身を晒し、今は小さき我が身を段蔵に預ける夜。
こんなにも、願う夜。
夜が明けなければ、良いのにと。
■終幕■
◆どの辺りが七夕なのかと己に小一時間問い詰め隊(苦笑)
わん益相手でもセクハラしちゃうよ!な段蔵を書きたかったみたいです。
いや、どうしても…一益の尻が…尻と尻尾を纏めてお触りを(…)
うさ段蔵…まあ、兎というと生殖活動が強め的な意味でもね!
となると、双方あにまるでキャッキャウフフな新境地を!(殴打)
そんな事はさておき、わん益の時の段益は基本思考の甘々好きが顔を出すからか…増して段蔵の似非度が上がっちゃう感じ。
うーん…やっぱり。
ちっちゃい方が好きなのかな、ロリ加藤さ…はぐっ!(闇駆け)
2011/07/07 了