【1059taisen】
晴天白日の霹靂
!)この頃の全国用デッキ面子が絡んでます
SR滝川一益SR加藤段蔵SR羽柴秀吉SRまつC大石綱元…どうやって勝っていたのか(苦笑)
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ちょこん。
ふさふさ。
「……何だ貴様、その姿は。新手の術か?」
忍びの者には相応しくない程に晴れ、陽を受ける朝の城。
城内は眠りから覚めて暫しの時を過ごし喧騒に包まれゆく。
しかしそれとは全く関係が無いとばかりに、段蔵は誰の眼からも遁れた僻に身を置き寝転んで。
独りに在る事を好と。…していたのだが。
この場へ近付く気配が有る事を察知し、即座に神経を尖らせた。
足運びは相当な手練を窺わせる。
段蔵は口角を吊り上げ、朝から獲物かと笑むが。
訪れる違和感。
どう考えてもそれが…"小さい"。
かといって獣の類と判別がつかなかったとは認められない。
緩めた口元を正し、周囲に赤い双眸を張り巡らせる―――と。
「…こんな"ばしょ"にいないでくれるか?あんた」
姿を現したのは一益だった。
…一益、だと思われる。
装束と口調が変わらないからこそ一益だとは理解出来るのだが。
どうした事か身体の大きさは年の頃で言えば六つ程に見えるし。
何より、頭から黒い犬耳と。
ふさふさと揺れる、耳と同じく黒が主体の犬尻尾が生えていた。
それを眼にした段蔵の台詞が。
「……何だ貴様、その姿は。新手の術か?」
で、ある。
「…その"ようす"だと、あんたのせいじゃ なさそうだな」
「フフ、面妖が有れば何でも俺のせいにしないでもらおう」
昨日までの一益を知り得ていて、今の一益の姿を見れば普通の人間ならば驚くのが当然だろう。
しかし一瞥した段蔵が驚く素振りを見せる事は無く。
その様子に一益は、やはりあんたが犯人かと即座に思ったのだが。
漏らした一言の短い感想から、言葉が含む感情の色から。
自分がこうなっている原因が段蔵には無い事を悟った。
「おきたら、"こんなこと"になっていてな…」
「クク、その姿では全く化生を否定する事は出来んな」
「だから、あんたのせいかとおもって さがしていた わけなんだが…まさか"からぶり"とはな」
短く溜め息をつき。
どうしたものかと迷う一益は、今一度口を開き問う。
「…いちおう、きくぜ。もとにもどる"ほうほう"しってるか?」
「知り得ているとしても易々とは教えぬがな…生憎と、為る術も解く術も俺の範疇には無い」
「だよな…」
ふう。
もうひとつ、今度は少し深い溜め息をついて。
暫し流れる静寂の刻。
「…おい。その姿、誰か人間にも見せたのか?」
「…いや。おそらく みられては いないはずだ」
先に口を開いたのは段蔵。
その問いに、一益は答えた以上の事を想い巡らせていた。
こうなった原因は、きっと段蔵に有るのだと思う事で自分自身を保とうとしていた以上に。
例え見当が違えていたとしても。
段蔵はこの姿を見ても、こうして変わらずに接するのだろうと。
何処かで拠り所とした事を、一益は不本意ながら認めて。
「フフ、何なら俺が貴様を飼ってやっても良いぞ」
「…たのんで ねえよ」
それは見透かされたからなのか。
ただの戯言を囁かれているのか。
「犬ならばまだ実用性があるからな、逢犬の術も悪くない」
「…あんたからの"めし"はぜったいに くわないことにするぜ」
「クク、必要が無ければ盛ったりせぬ…必要が無ければ、な」
どこまでが本気なのか分からないが、話していると不安が消える。
俺はあんたに、近く。
「滝川殿、加藤殿!何処でござるかー!それがしにばかり、戦の準備を任せないでくだされ〜!」
「…どうやら つなもとが さがしているみたいだな。」
「放っておけ、どうせその内お節介な猿が来るだろうからな」
風に乗る微か。
遥か眼下の綱元の声が、ふたりの耳に届き寄せる。
段蔵の言葉通り、騒がしい秀吉の声が混じるのは少し先。
「…じゃ、おれも もういちど ねることにするか…」
ころりと。
一益は寝転ぶ段蔵の隣に陣取り、同じ様に身体を寝転ばせ。
しかし仰向けの体勢では尻尾が尻の下で邪魔をしてしまう為、段蔵に背を向ける格好で横を向く。
ふさ、ふさり。
尻尾を誘い揺らせば。
思惑に付き合ったのだろうと一益は理解していても。
段蔵が揺れる尻尾を撫でた事に。
くすぐったいからなのか、可笑しいからなのかは知れない。
―――けれど、笑みが零れた。
見上げれば忍びの者には相応しくない程にやはり空は晴れ、光当たらぬ化生を白日の下に晒す。
高い、たかい。
天守閣の屋根の上。
ふたり双眸を閉じたのは、同じ。
■終幕■
◆大戦のカード裏ですと、段蔵が命じられて刀&童女をゲットしてきたのは敵対大名の物ですが。
似た形でもう一説ある、謙信が段蔵を試す為に配下武将の元から刀を盗ってきてみろエピソードで逢犬の術を使っていますね。
ただその、番犬に一服盛りましたという忍術なのでこの御時世動物愛護的に少々、ねえ?(苦笑)
逢犬の術も色々と種類があるのに、一番直接的ですよ段蔵さん!
だったらまだロリ加藤さんの方が良いか(;´∀`)
忍びの動物かつ一益のイメージ…と考えると、やはり忍犬。
相当にサムスピのガルフォードの忍犬パピィさんイメージですが。
てゆか、この後の一益をどうするんだか全然考えずに書いた(…)
いや基本の段益はゑろ路線かなと思っているのですけれど。
やはり好きでも書くのは骨折りなので、あにまるを挟んだ形のも書いた方が数も出来るかなとか…
どちらかといえば甘傾向書きな事もあるので、そういう雰囲気。
…段益で甘いとか、かなり難しいですが(苦笑)
あにまるな小噺も続けて書いていけたらなー、と思っています♪
2011/02/25 了