【1059taisen】
赤い痕
つつ、と。
一益は嘉隆の胸に薄く浮かぶ赤い擦り傷の痕をなぞる。
それは単純に、何故こんな擦り方をしたのかと思えたから。
しかし横一線と交差をなぞり辿ると、見覚えがある様な気も。
「…そういえば、千切れたとかで新しくしていたな」
「お、おうっ…そ…そうなんだけど、一益殿っ…その…っ…」
「何だ?嘉隆、痛いか」
「こっ、このくらい痛くなんかねぇよっ!…ただ、そのっ…少し恥ずかしいっていうかさっ…」
「ふふっ…」
成る程、どうやら新調した革帯がまだ柔かくなっておらず。
それを普段通りに身体へ直接巻いたが故に、残った痕と判明。
理解したところで、今ひとたび。
横の線をなぞり直すと、一益の指先は嘉隆の胸の先を掠めて。
痛くは無いと言い返したものの、流石に敏感な部分はぴりぴりとした独特の痛みに加えて更には。
一益に触れられているという想いから沸く劣情を感じつつ。
既に赤く少し腫れた先を見られ触られたという恥ずかしさに嘉隆は支配されるも、悟られまいと手を出す様な事は無いが。
これ以上となると、そろそろあらぬ声でも出しかねない。
「かっ、一益殿っ!も、もういいだろっ!こんなの…ツバ付けときゃすぐに治るだろうからっ!」
「…ああ、それもそうだな」
「そ、そうそ…うえぇえっ!?ちょちょちょちょっ…まっ…!」
何とか一益には退いてもらい、自分の主導権を握ろうと。
この件を終わらせようとしたのだが、言い方が不味かった。
一益が小さく笑みを零した意味を嘉隆がすぐ分からなかった事。
その刹那の隙に、一益は嘉隆の胸の先端に舌を這わせており。
乳輪も含めて転がされれば、ぴりりと沁みるが。
決して嫌な痛みではなく。
ちゅ、ちゅっと啄ばむ様な一益の口唇が先端で弾ける度に、寧ろくすぐったさすら覚えて。
「んんっ、ふ…!」
とうとう鼻から抜ける様な甘い声を漏らしてしまう嘉隆に。
ちゅぱ、っ。
胸元から口唇を離して一益が嘉隆の顔を窺うと、続けて欲しそうな止めて欲しそうな複雑な。
随分と可愛い顔をしてくれる。
そんな、だから。
まだまだ前戯ばかりは自分の手の内に在るのだと言いたげな一益の嬌笑が嘉隆の眸で揺らめき。
何も言わずに赤い痕を口唇でなぞり直し、逆の先端へ辿り付く。
「あ、うっ…一益どの…っ…」
硬く尖る先端は擦れに拠る以上に性感を一益の舌に伝えている。
ちろちろと舐り転がす度に悦がる小さな主張は、やがて大きな。
下半身に集まる熱。
屹立を始めた嘉隆の自身を感じ。
そろり自身へ触れた一益は、うっとりと赤い痕へ吐息を零した。
■終幕■
◆これは九鬼益じゃなくて益九鬼なのではなかろうか…(苦笑)
くっきーの乳首が隠れてるのは残念なのか寧ろ良いのかとか、そんな事から妄想が始まりまして。
ベルトが擦れてちょっと赤くなって、一益にちゅっちゅしてもらえば良いじゃないという結論。
くっきーが前戯から主導権を握る日は何時、来るのかしらね(笑)
2012/11月某日 了