【Rockman.EXE@】
ハロウィンの魔女はミイラに化けて
貴方にお菓子をねだるハロウィンの夜。
騒々しくて、熱くて、甘い甘い宴の始まり―――

……バタバタバタ……
ガチャ!バッタ―――ン!!

「オッサン!トリック・オア・トリートだべ!」
「…あのなあ…廊下を走るのもだけどな、ドアをそんな乱暴に開けるんじゃねぇ!壊れるだろうが!…つうか…何だっつうんだ、今年のその仮装はよ」

今日は10月31日。
ここ1ヶ月ばかり世間の空気はハロウィン一色。
しかし以前のヒノケンにとっては、特に心を熱くさせる様なイベントでは無かったのだが。
アツキと恋人になると、心境が変わっていた。
ヒノケンと違ってアツキはハロウィンに積極的であり、去年は当日になるとわざわざ購入したらしい魔女の仮装でヒノケンの家を訪れ、お菓子を要求して。
そんな一連を馬鹿馬鹿しく思っていたヒノケンなのだが、お菓子を用意していなかった事に対する悪戯回避として甘く重ねたアツキとの口付けを思い出すと―――心の炎は熱く燃え。
今年のハロウィンは楽しみにすら思えており。
そして当日。

「邪魔すンべ!着替えるから覗くでねぇだ!」

ヒノケンの家に上がり込んだアツキは、リビングに居たヒノケンに一声掛けながらバタバタと寝室に向かって走ると、恐らく仮装の準備をし始めた…のだが。
魔女の仮装に着替えるだけにしては、やけに長い。
疑問は抱いたが、何かバーナーマンと話し込んでいるのだろうとヒノケンは考える事にし。
漸く寝室のドアが開き、廊下を走り、リビングのドアを勢い良く開けて現れたアツキは。

「見たら分かンべ、ミイラでねか」

顔は出ているものの。
全身を包帯ぐるぐる巻き状態であった。

「…どういう仮装の選び方をしてんだ…」
「面白くていいでねぇか、それともオッサンは魔女っ娘萌えーだから気に入らねぇべか?」
「勝手にンな癖を付けんな!…ったく…やたらと長ぇと思ったら、包帯を巻いてたのか」
「ンだべ、思ったより時間が掛かッツまっただ」

特徴的なツンツン髪がそこそこ跳ね出ている事や、有名なミイラは両腕も纏め巻かれていて自由ではないだろうといった野暮な点に目を瞑れば、仮装の完成度はなかなかの高さ。
全身に覆い巻かれた包帯の量は相当だろう。

「そげな事より、お菓子は有るンだべか?もし無いっちゅーなら…呪ってやるかンな!」
「悪戯じゃねぇのかよ、何だ呪いってのは」
「雰囲気だべ!今のオラはミイラなンだから、悪戯よりも呪いの方が合っているべ?」
「やれやれ…ホラ持ってきな、ミイラの嬢ちゃん」
「えっ…」

ヒノケンの中でハロウィンが楽しむモノになった事。
それはアツキの算段としては予定外だった模様。
賑やかな、ハロウィンらしい柄のラッピングが施されたお菓子をヒノケンに差し出され。
用意していたとは思わなかったアツキは暫し固まり。

「オッサン…お、お菓子…オラの為に…?」
「他の誰に用意するっつうんだ」
「ン、ンだか…」

差し出されたお菓子を、おずおずと受け取るアツキ。
結果的にはサプライズプレゼントの様な形で、アツキの表情には嬉しさが…半分、浮かぶ。
もう半分は、何故だかとても複雑な顔をしていて。

「え、えーとえーと…オっ、オラは!もっと別のお菓子が良かったから駄目だべっ!」
「あん?お前なあ、わざわざ俺が用意してやって…」
「いっ、いや、本気で言ってるンでねくて!」

本来、思い描いていた路線に正すべく。
お菓子は「無かった事」にしようとしているアツキに、ヒノケンの声色には不機嫌が滲む。
慌てたアツキはテーブルにお菓子を一先ず置くと、「何故」なのかをヒノケンに伝える為に。
ソファに座るヒノケンに抱き付き、耳へ口唇を寄せ。

「そ、そンの…オラが満足スるお菓子でねかったンだから、オッサンに"呪い"を掛けるべ。…オラが…オッサンに悪戯すンのが終わるまで、絶対に動くでねぇだ…」
(…ふーん…へっへっ、成る程な)

頻度が高くはないアツキからの積極性。
仮装という「自分ではない」意識が背中を押したのか。
ヒノケンの耳朶に可愛らしい音を立てて口付けを落とし、優しく食んで機嫌を取ると。
耳から口唇を離したアツキはヒノケンの首に腕を回して双眸を合わせ、やがて静かに。
口唇を重ねる。

ちゅく…っ…

「ふ…ン…」

長く、じっくりと相手の熱を確かめ合う様なキス。
口唇から往き来する熱は、徐々に境目を無くし。
こうしていたら、何時かひとつに。

……むにっ……

「!…ちょっ、オッサン!どこを触っているだ!」
「もうちょっと、ちゃんと支えてやろうと思って腕を伸ばしたらケツだっただけだろ」
「いーや!今のは明らかに意図的に揉ンできたべ!」
「いいじゃねぇか、可愛いケツしてるからついな。魅力が無けりゃ揉んだりしねぇよ」
「う、うぐ…だけンと、今のオッサンは呪いで動けないっちゅう事になっとるンだから!オラの許可も無しに勝手に動くンは一切禁止だかンな!」
「分かった分かった、へっへ…」

自分に対し魅力を感じてくれている旨に、アツキは悪い気はしない表情を一瞬見せたが。
それで動くのを許す訳にはいかない。
今夜の主役は、自分であるべきなのだから。
強く「呪い」を掛け直すアツキに、抱き締めたい衝動を抑えてヒノケンは大人しく従う。
好きにさせてやろうという想いの中、ついつい笑んでしまったのは掌に残る双丘の感触。

(…もしかしてと思ったが、やっぱ穿いてねぇな)

はじめヒノケンは、下着の上から包帯を巻いているものと思っていたけれど。
悪戯や呪いと称して行為を行おうとするアツキに、もしやと確認の意を込め手を出した。
その感触に下着は感じられず、裸身に直接。

(面白ぇ女だぜ、飽きねぇ)
「…な、何をさっきから笑っているべ」
「いいや、何でもねぇよ」
「むー…っとにこのオッサンは…もう…」

どう見ても何でもない訳は無いが、問い詰めてヒノケンが素直に口を割るとも思えない。
釈然としない眼差しをアツキはヒノケンに向けていたが、そうしていても仕方がない。
ちいさく、今度は触れるだけのキスを贈ると。
アツキは一度ヒノケンの身体から降り、ちょっとだけ「この先」を躊躇った様子だったが。
意を決すると、ソファに座るヒノケンの脚を少し開かせてしゃがみ、下肢に顔を寄せて。

…ジジ…ッ…

ゆっくりと、ぎこちなくファスナーを下ろし。
芯を持ち始めている自身を取り出す。

くに…しゅ、しゅっ…

(ゆ…び、さき…熱…っ…)

掌までは包帯を巻いているが、指までは面倒だったか…或いはこの行為を見越してなのか。
数少ない露出した指先でヒノケンの自身を握り、ゆるりと扱いて徐々に勃ち上がらせる。
アツキにはまだ躊躇が残り、刺激は強くない。
しかし自身は確かに反応を示し、アツキの指を焼く。

びくっ、ビキ……ビンッ…

(ッ…そ、ろそろ…いいンか…な…?)

手の中で硬度を増し熱を上げる自身。
暫くすると完全に勃ち上がって逞しい剛直と成り。
その熱塊の様子を感じ取ったアツキは扱くのを止め…亀頭に口唇を寄せると、舌を這わせ。

ちゅ…ぺろ…ぺろっ…ちゅっ、ちゅ…

「ふっ…ンん…」
「…へっ…随分と可愛い悪戯じゃねぇの」
「む…うっ…」

啄む様な口付けを交える愛らしい口淫に。
ヒノケンは単に素直な感想を漏らしたのだが、それがアツキには煽る様に聞こえたらしい。
ムキになりやすいアツキの性格。
愛でていた亀頭をくぷりと咥内に含むと鈴口に舌先を挿し入れ、くにくにと拡げ舐め。
溢れてきた先走りを舌で絡め取り、じゅっと吸い上げると、自身はビクンと強く脈打つ。

「……イイぜ、へっへっへ…」
「んく…ぅ…ン、ふ…っ…」

じゅ、ぷ…ぷっ…

アツキが「どう」受け取ったのかヒノケンは理解した。
そしてその受け取りは不利益な訳でもないと判断すると、行為を促すべく受け取りに乗り。
まだ余裕が有ると笑んでやれば、アツキは乗る。
亀頭を含んでいた咥内は、深く竿をも含んで。
本格的なフェラチオに及び始める。

じゅぷ…くぷっ、じゅ、じゅぷ…っ…

「ンむっ、ふうっ…」
(…頭を撫でてやりてぇが、動くなっつうんだろうな。噛まれんのは洒落にならねぇし)

懸命に口で果てさせようとするアツキに、愛でる想いがヒノケンの中に沸き上がるが。
二度も「呪い」を違えるのは興を削ぐ。
撫で触れたい衝動を抑えて、行為を見詰め。
やがて自身は更に熱く硬く膨張を遂げてアツキの咥内を支配し、表面には脈動が浮かび。
上げたヒノケンの口角。
その隙からは、色と欲に満ちた熱っぽい吐息が漏れ。

…シュッ…シュ…ッ…
じゅぽ、ぐぽっ…ぷぢゅ、じゅぷッ…!

「っ…出すぜアツキ、受け止めろよ…!」
「ンンっ…ぅ、む…ッ…ふ…っ!」

…びゅるっ…びゅるるるッ…!びゅぶ…る、る…
とぷ…とぷ…っ…

アツキは竿の根本に手を添え直し、咥える口の動きに合わせて再び扱いて射精を促すと。
鈴口から堰切れた白濁がアツキの咥内に迸る。
トプトプと注ぎ込まれる精の勢いに自然とうっすら涙が浮かび、気圧されそうになるのを堪えて吐精の終わりまで舌と咥内で白濁を受け止めきると。
少しずつだが飲み込み、自身から口唇を離した。

「…ぷはあっ、はっ、はふ…はあー…っ…」
「へっへっ…悪戯はこれでオシマイか?嬢ちゃん」
「こ、こげな程度の悪戯なンかでオラは満足スねぇだ。…こっ…こっからだかンな本番は…」

…ペリ…

身体に巻いた包帯の何処かに挟んでいたのか。
アツキは取り出したコンドームの封を切り、まだ衰える様子も無く逞しいままのヒノケンの自身に慣れない手付きでそろりと被せ、竿の方まで覆い拡げて。
準備はもうひとつ。
立ち上がったアツキは、その「準備」に躊躇いや恥じらいを見せたが―――最早、今更の話。
決心を固め、下肢の包帯を少しだけ解き。
これまでの行為で、既に熱く濡れた割れ目を晒す。

(お、思っとった以上にコレ…恥ずかスぃべな…)

身体の大半は今も包帯で隠れているけれど、繋がろうとする箇所だけ晒している感覚に。
アツキの鼓動は大きく跳ね、一層に身体は熱を持つ。

「…オ…オッサ…ン…えっと…」

火照る自分の熱をヒノケンにも感じてほしい、きっとヒノケンも同じ熱を持っているから。
未だ「呪い」に付き合い、ソファに座ったままアツキを見詰めるヒノケンの身体の上に跨がり。
ぎゅ、と。しっかり抱き付いて腰を落とし。
濡れる割れ目とコンドーム越しの自身を重ねさせる。

ぷちゅ…にちゅ…くちゅっ、にちゅっ…

「はあっ、は…ぅ…あっ、ンん…っ…」

擦り合わせる度に割れ目からは愛液が溢れ。
コンドームをてらてらと染め、卑猥な水音が響き。
艶を含んだ声と共にアツキは熱い息を吐き、にちゅにちゅと腰を振って割れ目からの快感を。
アツキ自身でも感じ取れる、もう、こんなにも。

「…そんなんで良いのか?ミイラの嬢ちゃん」
「…オッサンが、オラが欲しいってだけだべソレ」
「まあ否定はしねぇ、でも嬢ちゃんも限界だろ?」
「…それは…そっ…だけンと…!…ん、ンっ…!」

コンドーム越しでもヒノケンの自身が浮かべる脈動はアツキの割れ目に伝わり、敏感な紅い突起に刺激を与えられて快感の波に襲われ、アツキはビクビクと身体を小刻みに跳ねさせ。
だけど達したくはない。
ヒノケンの言う通り、お互いが欲しいのは。

クチュ……ず、ぷぷっ…じゅぷ…ぐぷ、ンっ…!
きゅん、きゅぅん…ッ…

「っあ、あんっ、ふぁ…あっ…」
「…ッ…おい…だからって急に挿れるかよ」
「ン、だって…ンでねぇと…ケンイチの事、ナカで感じる前にイッつまいそで…ンなの…」
「…バーカ、つうか挿れて軽くイッてるだろ」
「う…ん…だけンと、軽くだかンな…オラもっと…」

ぎゅむ…っ…
…じゅぷ…ずちゅ、ずちゅっ、じゅぶ…ンっ…!

「は、あ、うっ…ケンイ、チ…ケンイチっ…オラのナカ…いっぱい、熱くスるべ…っ」

ヒノケンの首に腕を回して頭を胸元で抱き締め。
それを支えにしながらアツキは抜き挿しを始めた。
腰を落として奥に届く度に、頭の中が真っ白に焼き切れそうな快感の波が身体中を巡り。
熱と欲の衝動がもっと欲しくて、律動は止められず。
抱き締め縋る腕に、力が籠る。

「……アツキ」

ぺろ…ちゅう、うっ…ぢゅ…!

「…!…ン、ひゃうっ…包帯の上か、ら…な、何スて…そンなっ、吸ったりするで…ね…!」
「目の前に包帯越しでもプックリしてる乳首が見えてンだから、そりゃ仕方がねぇだろ」
「どんな理屈だべ!ちゅ、ちゅうか動くのは…!」
「さっきから思ってたんだけどよ、喋るのは咎めねぇから口は動かしても構わねぇんだろ?」
「ま、またこのオッサンは屁理屈ばっ…か、ぁ…!」

ぢゅっ、ぢゅうっ、れろ…れろ…ッ…
…ぐい…プルンッ…

「あっ、コラぁ…っ…もっ、手も動かスてっ…」

自身を咥え込み、夢中で情欲を貪るアツキに。
ミイラの「呪い」に付き合ってきたが、流石にそろそろヒノケンからすると「お預け」の限界。
目の前で慎ましく揺れる胸の、だがその先端はヒノケンの言う様に芯を持って主張しており、包帯の上からむしゃぶりついて強く吸い上げるとアツキの身体はビクンと震え。
きゅうきゅうと、明らかに乳首を吸われた事でナカもヒノケンの自身を離さず求めて。
その心地にヒノケンは遂に胸元の包帯に手を掛け。
胸を露にさせた。

「へっへっ…"部分"だけ隠さず見せてるってのは何だか妙にエロいぜ。そう思わねぇか?」
「ンなの、知らねっちゅうに…!で、でねくて!」
「そんだけ気持ち良くなってたら"呪い"もちったあ弱くなるモンだろ、分かんねぇけどな」
「そげな勝手な設定ば付ける、で…ふあ、あっ…!」

チロ…ちゅっ、ちゅうッ…ぺろ…れろっ…
…くに…くに…っ…きゅうっ…

アツキの言葉は最早聞かず、ヒノケンは現れた乳首に直に吸い付き舌を這わせ。
空いている、もう片方の乳首は指で摘まみ弄ぶ。
繋がったまま元々感度の良い乳首を責められ、アツキは腰を動かせず何度も身体を波打たせる。

……ちゅぱ…ッ…

「…ひゃ、あ…ンっ…」
「へっへっへ…大分、腰が砕けちまったみてぇだな。まだ自分で動くか?それとも…」
「…ケンイ…チ…」

吸われ、弄り摘ままれていた乳首が不意に解放されるとアツキは愛らしくひとつ鳴き。
そろりと抱き締める腕の力を緩めてヒノケンの表情を窺うと、余裕の有る口振りと共に何時もの口角を上げる笑みが見えたが、細められた眸の奥ではギリギリの。

ちゅっ…
…にゅるるっ…ぬぽッ…

「っ、は…」

自分を熱く見詰め射抜く眼差しに導かれる様に、アツキはヒノケンの額に口付け。
咥え込んでいた自身を引き抜くと、少し危なっかしそうな動きでヒノケンの身体から降り、ソファの傍のテーブルに手をついて荒い息と潤む双眸を向けて。

「い…まのキスで、"呪い"ば解いたから…ケンイチ…好きに、動いていいだ…オラ、を…」
「へっ…やっとお許しか、覚悟しろよ?アツキ…」

ニチュ…グチュッ…
ずぷ、ずぷぷぷ…ぐぷ…っ、ずぷんッ!

「っああ、ああンっ…!奥っ…深ぁい…っ!」
「ああチクショウッ、欲しくて熱くて堪らねぇぜ…すぐにイかせてやるからなぁっ…!」
「う、ンっ…うンっ…大きい、の…ぉっ」

じゅぷっ、ぐぷんっ、ずちゅ、ずちゅっ…!

「アンっ…ひゃンっ、激スいべ…ぇ…!」

漸く許しを得たヒノケンはソファから立ち上がると。
アツキの背後に回って、すぐさま割れ目に自身を宛がい一息に根本までぐっぷりと埋め込み。
先程までのアツキが行っていた抜き挿し等とは比べ物にならない勢いで突き立て始める。
トロトロに蕩けきって愛液を流し続ける割れ目からは、厭らしく濡れた音が響き。
腰を打ち付けるパンパンという乾いた音と重なり。
アツキのナカは蹂躙される様に貪り尽くされながらもしかし、逆にヒノケンを手に入れようと締め寄せ。
互いの作用は、あっという間に熱を高め。

ずちゅっ、ぱちゅ…っ…じゅぶ、ずちゅ、ずン…!

「ケン、イチぃ…クる…オラにおっきいの、が…!」
「俺もだぜ…最高に熱くなりやがれ、アツキ…!」
「あっ、アッ、はあっ…う、ううン…っ!」

じゅぽっ…ズチュ、ズチュッ…ぐちゅん…っ!
…びゅるるるっ、びゅぶっ、びゅーっ…!

「〜〜〜っ…!ふぁ…アンっ…あ、あン…っ!」

コンドームの中にではあるけれども、ヒノケンはアツキのナカでありったけの精を放つ。
ナカで射精されたその感覚にアツキも達し、腕も脚も力が入らず快楽に震えながらも。
引き抜かれる瞬間まで。
ヒノケンの熱さを感じ取り続けていた。

―――…

「何だ、魔女の仮装も持ってきていたのかよ」
「…本当は今年も魔女の仮装の筈だったかンな」

全身にぐるぐると巻いていたアツキの包帯を外し。
お風呂で、もう少しだけ甘い一時を追加した後。
ヒノケンは脱衣場で着替えたが、アツキは寝室に置いたままだと言って先に出て行き。
リビングのソファで余韻に浸りながらアツキが着替え終わるのをヒノケンが待っていると、今度は廊下を走らず静かにドアを開けて現れたアツキの格好は、オレンジ基調の魔女。
カボチャの小物が愛らしいデザインの魔女っ娘で。
どうやらアツキとしても本来はこの格好を見てほしかったし、コレで誘いたかったらしい。

「…なンだけンと…何かもうちっと違う仮装をスてみてなって…魔が差スたっちゅうか…」

言いながらソファに近付き。
定位置はヒノケンの隣、ぽすんとアツキも座る。

「そンの…オッサン…今更だけンと、包帯だけって…ひ、ヒいたりスてたンでねぇ…か?」

本当に今更なのだが。
ハロウィンにテンションが上がってミイラ娘を実行してみたものの、それが落ち着くと。
あの仮装と誘い方はどうだったんだと感じた様子。
ヒノケンに顔を向けられず、俯いてその辺りを問う。

「へっへっ…あんだけノリノリで面白いだろとか言っておいて、ンな心配か?嬢ちゃん」
「る、るっさいべ…」
「別にヒいたりなんかしてねぇよ、寧ろ新鮮っつうか新境地っつうか…なかなか燃えたぜ」
「なっ、なら…良いンだけンと」

俯くアツキは、ヒノケンの台詞にチラと目線を向け。
丁度、愉快そうに笑んでいるヒノケンと目が合ってしまい、再び目線を下げて黙ったが。
ほんのりと、表情には安堵。

「へっ…可愛い魔女サマじゃねぇの」

そんなアツキの様子を愛しく見詰め。
ごく自然に肩へ腕を回し、傍へと引き寄せ。
アツキも逆らわず、ヒノケンの体温を近くに感じて。

「……オッサン」
「何だ?」

チョコレートの様にとろりと蕩ける時間の中で、不意にアツキがちいさくヒノケンを呼ぶ。
眼差しはテーブルに置かれたままの、お菓子。

「もうひとつ、ちゃンと…お菓子、あンがとな。別のが良かったとか…オラ本気でねくて…」
「ああ、分かってるさ。俺が用意しているなんて予定外だったから言っちまったんだろ」
「……ンだ」
「まあ俺自身でも意外だったけどな。…お前のせいで、ハロウィンが楽しみになったぜ」
「え…ど、どういう意味だ、べ…っ」

アツキの言葉を塞ぐ様、ヒノケンは口唇を奪い重ね。
嗚呼、お菓子よりも―――ずっとずっと、甘い。
ココロの中に、ほむらが灯され熱くなる。

……ちゅ……

「全く、俺を燃え上がらせる女だな」
「オッサ、ン…」
「悪戯したけりゃ幾らでもさせてやる、お菓子が欲しいなら幾らでもくれてやる…だから俺の傍に居ろよ。コイツは、お前が俺に掛けた"呪い"なんだから、な」
「…その"呪い"は、一生…解けないかンなオッサン」
「へっ、上等だ」

ハロウィンの魔女に、もうひとつ口付けを。
愛の呪いは互いが内に持つ炎に焼かれて深く刻まれ。
何処までも、ふたりを繋ぐ絆と証。

■END■

◆2020年のハロウィン小噺でした。
エグゼに再燃してから何本かヒノケンとアツキちゃんのお話は書きましたが、にょたえっちなお話はまだ書いていなかったし、ハロウィンえっちなんてどうかしらと書き書き。
いやあ、通常ヒノアツのえっちも書いて楽しいですが、アツキちゃんも良いモノですな。
しかし話を考え始めた時は、再燃して初めて書くにょたえっちだし、特に変わったオプションは付けず魔女っ娘仮装で甘ラブえっちとか考えていた筈なんですけど…ミイラ娘…(笑)
ドラクエウォークを遊んでいるのですが、ハロウィン関連でモンスターのミイラ男な見た目になれる装備というのを入手が出来たのですよ。
それが女の子アバターだと、顔はそのままで包帯ぐるぐる巻きなミイラ娘になってて…
ちょっと、セクシーだなっていう。
そこから何かが自分の中で弾けまして、ミイラ娘なアツキちゃんのハロウィンえっちに。
結果、書いてて超楽しかったです(*´∀`*)
包帯の大半は巻いたままで隙間からとか…何だか…とてもえっちじゃないか…(刺さった模様)

2020.10.31 了
clap!

- ナノ -