【Rockman.EXE@】
帰り道に二人だけのドキドキを
◆一言ポチり御礼として置いていました
内容は診断メーカー様の結果から(結果は最後に)



「オッサンの方が早かったンか、待ったべか?」
「そんな長くは待ってねぇよ、さっさと帰…」
「ヒノケンせんせー!さよーならー!」
「…おう。寄り道しねぇで真っ直ぐ帰れよ、そろそろ陽が落ちるのも早いからな」
「はーい!また明日ー!」

今日は二人の帰宅時間が噛み合った日。
こんな日のアツキは寮には帰らず、一緒にヒノケンの家へ帰ろうと連絡を入れた放課後。
ホームルームを終えて出来るだけ急いで帰り支度を整え、高等部の正門前に向かうと既にヒノケンの姿が有り、長く待たせたかと思ったが…待ち惚けという程ではないらしい。
二人で居るのが目立つ前に早く帰ろうとした矢先。
放課後の遊び場として解放されていた、学園の運動施設が閉じるまで遊んでいたと思われる自クラスの生徒に挨拶され、ヒノケンは生徒の方に目を向け帰宅を促す。

「ふーン、先生しとるでねぇか」
「当たり前だろ」

茶化すアツキに深追いはせず。
ヒノケンはアツキに目を戻すと静かに歩みを始め、夕暮れの近付く帰路につく。
恋人同士である事は…まだ公にする事は出来ないが、「炎ナビの研究者とその助手」というのが表面上の関係である為、二人で帰宅する事自体は特に騒がれはしない。
男女である以上、勘繰られてはいるのだろうが。
ともかく今のところは、ヒノケンもアツキも目立つような真似はせず慎重に過ごしている。
二人の性格からすると…全く、らしくないけれど。
決して、壊してしまいたくないのだ。
そんな程々の間隔を維持する歩き慣れた帰り道の中、ふと、アツキが声を上げた。

「…なあオッサン、ここにある路地って何処サ繋がってるか知ってるべか?」
「…いや知らねぇ。気にした事も無ぇからな」
「なンね、オッサンになると好奇心も失せるンか」
「うるせぇな、一言が余計過ぎだ」

車1台は通れそうな道幅だろうか。
舗装はされているし行き止まりの表示も無い事から、何処かには抜けれそうな狭い路地。
普段はただ通り過ぎるだけの存在で、気にする事など言い出したアツキも無い。
しかし今日は何となく…二人だからか。
何処に繋がっているのか、ちょっとした探検気分がアツキのココロに湧いた様子。

「別に通り抜け禁止でもねぇみてだス、何処サ抜けるか入ってみンべオッサン!」
「おいおい、生徒に寄り道すんなっつってる俺に寄り道をさせるつもりかよ」
「続いてる方向はオッサンの家の方でねか、ショートカットになったら寄り道ではねぇだ」
「…モノは言い様だけどよ、何だってこんなトコロを通ってみたいんだかな」
「夕暮れの中こういう路地を歩いてみるとか、何かありそうなシチュエーションでワクワクするっちゅうか…いや、オラのハートがドキドキ熱くなるンだべ!」
「ドキドキねぇ…まあ往来で突っ立ってるのもナンだし、ホラ行くなら行こうぜ」
「あっ、コラ、待つべオッサン!」

正直なところPETのマップデータを開いて見れば、アツキの疑問はすぐに晴れる。
実際に通る必要は無いのだ。
けれどヒノケンは…それをせず。
アツキの探検気分に素っ気ない態度を見せてはいるものの、内心はというと人通りの多い道から外れて二人きりの帰り道になる事に対し―――悪い気はしていない。
自らが先に路地を進み始めると、アツキはヒノケンを追ってぴったりと傍を歩く。

「…雰囲気はイイけンと、隠れ家みてなお店が在るとかって訳ではないンかな」
「残念ながら、そういう感じではねぇな」

路地は想像したよりも長く続いており、探検気分に相応しい様相だったけれど。
特に新規開拓のお店等は望めそうに無く。
アツキは少し残念そうな空気。

「この感じだと完全に通り抜けるだけの…」

…ブロロロ…ッ…

「えっ、わっ、車が通るンかココ」
「…みてぇだな、一通で車の抜け道なのか」

普段の二人の帰り道よりも人目が無い分、ちょっとだけ距離を近付けて歩く中。
正面から車のライトがゆっくりと迫り。
狭い路地で、すれ違うのは―――

…ぐいっ…

「危ねぇからこっちに寄れアツキ」
「ひゃ!?ちょ、ちょっと…!」

車とのすれ違いざま。
ヒノケンはアツキの肩を抱き寄せ立ち止まり、危険が及ばぬよう腕の中で庇う。
静かに車はそのまま去り、やがて周囲が二人だけの路地を取り戻したところで。

「…もう大丈夫か。次の車が来る前に、とっとと路地を抜けてしまおうぜアツキ」
「え、あ、う…うン…オッサン…」
「あん?どうし…」

安全を確認したヒノケンがアツキに目をやると、どうも様子がおかしい。
夕暮れの路地は照明も乏しく表情を明確に窺う事は出来ないが、照れて…いる。
肩を抱き寄せたからなのだとは思う。
しかし、それくらいなら家の中では幾らでも。

(……ああ、外で、だからか)

恐らく間違いなく人目は無い、筈だ。
けれどもアツキにとって、外でここまでヒノケンに接触するような事は多くなく。
人目に触れるのではという思いと、このままでいたい想いが混じり合い、それは。
今のアツキの想いの鼓動は―――きっと。

「…アツキ」
「う、えっ?な、なンねオッサ…ン?」

……ちゅ…う…っ……

肩を抱き寄せたまま、ヒノケンはアツキの口唇を奪う。
触れるだけ、等ではなく情熱的な口付けを。
急に何が起きたのかアツキは戸惑うが、抱き寄せられた腕の中では何も出来ず。
ただ、ヒノケンが満足するまで口付けを受け入れて。

…ちゅ…

「…ば、バッカ!きゅっ、急になにスるだ!ろろ、ろ、路チューでねぇかコレ!」
「そうだな」
「ンなアッサリ片付けるでねぇべ!」

漸く口唇を離され、自分を優しく見詰めるヒノケンの事をアツキはぼうっと見上げていたが。
ふと我に返り急激に恥ずかしさが押し寄せたのか、顔を真っ赤にして抗議する。
ああ、ああ、まったく。

「ンな可愛い態度を取りやがる、お前が悪い」
「はあっ?!オ、オラのせいにスるでねぇだ!」
「それになぁ…アツキ」
「…なっ、なン…ね…オッサン…」

アツキを抱き寄せる手に力が籠り。
何が起きるのか、期待と不安を浮かべる双眸をヒノケンは覗き込んで笑み。
そうっと、耳許に口唇を。

「…ドキドキしてぇんだろ?俺以外で、お前をドキドキなんかさせねぇよ」
「…ッ…あ、アホか…オッサン…」

軽く耳朶を食まれ、身をすくめたアツキ。
また、ドキドキさせられてしまう。
だけれど―――アツキは気が付いた。
身をすくめてヒノケンの胸元に耳を寄せた時。
ヒノケンも、自分にずっとドキドキしていた事を。

■END■

今日のヒノアツ♀
いつもは入らない狭い路地を探検。車が来て危なかったから肩を抱き寄せると照れた様子だったので、誰もいないのをいいことに思いっきり路チュー。
#今日の二人はなにしてる #shindanmaker
https://shindanmaker.com/831289

2020.09.25〜11.10 御礼小噺
clap!

- ナノ -