【Rockman.EXE@】
犬耳の恋人B
―――それは一体、「何」の本性なのだろう?



「…っふ…ン…っ…」

れるるっ…ちゅ、ちゅぷ…っ…ちゅく、ちゅぷっ…

アツキにとってのみ忌々しい「薬」の効果は、変わらずてき面で。
疼く身体はヒノケンの熱を欲していて…口唇での自身への奉仕も、どこか自発的な積極性を自覚する。
そんな事を知られたくなど無いが、ちらりと見上げたヒノケンの表情を見るに。
そう、上手くはいかないらしい。

「随分、念入りにシてくれるじゃねぇか…ん?」

口角を歪めて意地悪く笑むヒノケンと目が合って、反射的にアツキは睨み返すが。

「…!…っ…ぷは…っ…ふ、ぁっ…や、めぇっ…オッ、サ…ン…っ!」
「褒めてやってんだろ?」

相変わらず、「理解っている」顔でヒノケンはアツキの頭を撫でる。
性感帯になってしまっている犬耳ごと。

「褒められて、そんなに嬉しいか?」
「ばっ、か…言うで、ね…っ…うれス、くなンか…ね、ぇべっ…ン、ぁっ…!」
「尻尾はそう言ってねぇぜ…嬉しそうに振りまくってるじゃねぇか」
「ンなこ、と…オラ…知…らね…っ…ンんっ、ふ、ぁっ…」

きゅ、と。
撫で回すのを止めて軽く犬耳を摘み上げる。
ビクンと反応し、波打つアツキの身体は既に高揚し切っていて。

獣の本性が持つ様な艶を、ヒノケンの前に晒していた。

「…続けろよ」
「…ンっ…」

その艶に当てられた事は否めない。
ヒノケンはアツキの後頭部を押さえ付けると、硬く昂る自身を再び咥え込ませて行為の続きを促す。

ちゅぶっ…ぢゅっ、ちゅぷ…

口唇でのストローク。
そして掌を自身に添えて、アツキは上下に扱く。
掌に伝わる脈動からは…達するのが近い事を伝えていて。

「…!…ぷ、はぁ…っ…!?」

押さえ付けられた後頭部に、力が込められた事をアツキは察知した。
深く咥え込まされ…咥内に熱を吐き出されるのだろう、と。
そう思って、反射的に硬く目を閉じて身構えたアツキは―――しかし。

逆に、自身から口唇を離された。

びゅるっ…びゅく、びゅる…ぱたたっ…ぽた……

「…っ…」

…ぐり…っ…にちゅ…

吐き出された白濁はアツキの咥内ではなく、顔へと向けられて。
頬に押し当てられた自身が離れると、粘質の水音と…離れる事を惜しむ様な白濁の糸が引かれる。

「…こンの変態オヤジ…」
「何と言おうが、身体は悦んでいるんだから世話ねぇよな」
「…っ!…く…薬のせいだっちゅーてるべっ!」

奥底から湧き上がる疼きと熱に支配される劣情。
ソレに、あくまでも抗う意思。
欲に塗れた顔を勢い良くヒノケンに向ける瞳からは、ふたつが窺い知れて。

―――それが何より、なのだ。
それが有るから、アツキが欲しくて堪らない。
そう願う事は、獣の本性に近しい激情。

「…そういう反抗的な口はよ、嫌いじゃねぇぜ…」

スリスリとアツキの頬を撫でながら、ヒノケンは自分の熱を指に絡め取る。
つい、と。
不意に頬から離された指は…アツキの咥内に運ばれて。

「…っ!…ン、く…ふ…っ…!」
「綺麗にしてくれよ」
「…ん、ンっ…」

抗おうとする瞳が瞬間歪み、咥え込まされた指を拒否しようとする。
けれど、徐々に広がる欲に惑い。
噛み千切ろうとする犬歯を立てる事は叶わず、ゆっくりと…アツキは舌をヒノケンの指に絡めていった。
既に、焼ける様に熱いアツキの咥内。
その心地良さに加えて、拙くも舐め取ろうとして這う舌の感触。
指先という末端から伝うそれだけでも―――人としての理性を忘れ、獣の如く交わりたい衝動に駆られる。

ちゅ…っ…ちゅぷ、ちゅく…ちゅ…

纏わり付く舌の感触は、粘質を綺麗に舐め取って離れて。
アツキは再び不服顔でヒノケンを睨み上げた。

「…こ、これで満足だべっ…」
「もうちょっとシてくれても構わねぇんだがな」
「るっさいべっ!」
「…ったく…まだ足りねぇか?」

カシャ…ッ

「…!…ちょ、な、何をスるつもりだべ!オッサンっ!!」

不意に聞こえた音は、怪しげな錠剤が入れられた小瓶の蓋を回し開く音。
この状況で使われる「薬」と、ヒノケンの言わんとする事を総合すると…「追加」、としか考えられない。

「もう1つくれてやりゃあ、ちっとは大人しくなるんじゃねぇか?」
「ばっ…馬鹿言うでねぇっ!まだ最初のが切れてねぇっちゅうのに…飲んで大丈夫かどうかも分からねぇべっ!?」
「ゴチャゴチャ言ってねぇで、とっとと飲め」
「あっ、アホーっ!!やっ、止め…!ン、んぅっ…ふ…!」

軽く薬を口に含んで無理矢理に飲まそうとヒノケンに、アツキはひたすら抗おうとする…けれど。
口唇を割り開こうとする舌に。
背を、尻尾を撫で擦る指先の感触に。
蕩け解れた身体は、声を発して応えようとしてしまう。

「〜〜〜っ!…あ、はぁっ…ん、ン…っ…!」

耐え切れなくなったアツキは口唇を開いて酸素を求め、甘い声を漏らす。
同時に、それはヒノケンの意図に従ってしまう事になる訳で。
こうなっては観念するしかないアツキは、舌と共に侵入するであろう薬を受け入れる覚悟を決めた。

―――のだが。

ちゅく…ちゅ、ちゅ…ぅ…っ

「…ふ…ンぅ…っ……?」

案の定、咥内に舌を入れられて。
角度を変えて犯される感覚に思考は定まらなくなって。
しかしながら、覚悟を決めた「薬」の存在が何時まで経っても侵入を開始してこない。
それに疑問を抱いたアツキにヒノケンは口角を上げ。
堪能した咥内から離れて囁く。

「…別によ、上のクチに限らなくてもイイ訳だ」
「……な!ま、ま、待て待て!オッサ…ン、ぁ、はンっ…!」

ズ…ッ

尻尾の付け根を撫で擦っていた掌に「薬」は有って。
言うが早く、ヒノケンはアツキの後孔に「薬」と指を侵入させた。

ずぷ…じゅっ、ぢゅぷ…ぐちゅ…っ

卑猥な水音を響かせて、出来上がっている身体は薬も指も受け入れてしまう。

「はっ、あ…ン、ぁ…あっ…!」

ぐいっ…
くん…っ…じゅぷ、ずっ…

ヒノケンに身体を抱え上げられ、抱き締められ。
アツキのナカを蠢く指は、熱で徐々に溶解する薬を塗り広げる様に這い回り続ける。
イイ場所で指を折り曲げられ、喘ぎ鳴かされる声を耐える事も出来ない。

「…流石に直接はキくか?」
「あっ、は…ぁ…っ…ん、く…っ…や、め…ぇっ…オラ、に触る…で、ね…!」

如何に遅効性とはいえ、こんな使い方は規格外で。
溶解したソレの効果はまだ多少の塊を残しているにも関わらず、アツキの身体に熱を落とす。
全身がもう、総て性感帯になってしまったかの様で。
ナカがどうとか関係が無く、ヒノケンに触れられているだけで達してしまいそうになる。

「へっへっへ…何を言ってやがる、テメエから抱き締めてきやがるじゃねぇか…」
「…!…く、ふ…知らね、っべ…から、だが…かって、に、ぃっ…」

ヒノケンの言う通り、どれだけ否定と拒絶を口で吐こうとも…身体は求めてしまって。
自分のモノではない体温が与える甘い痺れを享受してはならないと思えど、キツクその身体を抱き締める矛盾。


重ねる、という行為の総てが―――欲。


ずるっ…

「ぅ、あっ…」
「俺のせいだっつうんだろ。…責任取ってやるぜ」

指をナカから引き抜くと、縋り付くアツキの身体を離してベッドへ押し倒す。
背後から交わる姿勢を作らせて。
物欲しげに待ち望む後孔へ―――ずぷ…と、先端を軽く沈み込ませたら。


後は悦楽。


ずっ…ずちゅ…ぢゅ、ぢゅぷ…っ…!

「ひ、ぁっ…!…そげ、に…激スく、スるで、ねぇ…べっ…!」
「生温ぃセックスで満足出来んのかよ…違うだろ?」
「……っく……ふ、ぁ…あンっ…あっ、はンっ…あっ…!」

否定などしない。
ヒノケンがそうだから、アツキもそう。
焼ける様なセックスでなければ最早足りえない事くらい、お互いの事は分かっている。


それが可能なのは、目の前のお互いだけである事も。


ぢゅぷ…ぐちゅ、じゅぷ…じゅっ…

…ちゅ…

「ンぁ…っ…ひぁ、うっ…!」

覆い被さるヒノケンから背中にキスを落とされて、微かに触れる唇がむしろ際立って感じられる。
背骨に添う様に這わされ、感じ身悶えて震える尻尾にも同様の口付け。


このまま。

本当に獣になってしまえればいいのに、と。

どこかで思っている。


けれど否定もする、それが人の本性である理性。


それを邪魔だと思う事は無い。


人の本性である理性が―――獣になってしまう事に抗うソレが、しかし。
快楽を自覚させ、強めているのだから。


相反する様で、同調している。


大体、獣を広義の意味で人を除く事など馬鹿げている。
そもそも人の本性は、何時だって獣の本性を飼っているのだから。


「…アツキ…俺をもっと熱くしろよ…」
「ふ、ぅあっ…オッ、サ…ン…っ…あっ、あンっ…!」



それを呼称するのであれば。




―――「生き物」としての、本性。

■END■

2007.01.20 拍手御礼
2007.04.01 拍手移動
2020.02.01 加筆修正
clap!

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