【Rockman.EXE@】
犬耳の恋人B【RE】
───それは一体、「何」の本性なのだろう?
「…ッふ…ン…っ…」
れるっ…ちゅ、ちゅうっ…ちゅっ、れろっ…
アツキには忌々しい「薬」を用いられた今夜の情交。
犬耳と尻尾が生える上に媚薬としての効果もあり、疼く身体はヒノケンの熱を欲していて、ベッド上での口と舌による自身への奉仕も、悔しいが自発的な積極性を自覚させられる。
そんな内心など一切、知られたくないが。
チラリと上目に見たヒノケンの表情を見るに。
そう、上手くはいかないらしい。
「随分、念入りにシてくれるじゃねぇか…ん?」
口角を釣り上げ、意地悪く笑むヒノケンと合う目。
反射的にアツキは睨み返したけれども。
さわ…クシャ…クシャッ…スリ、スリ…
「…! …ぷはッ…アッ…やめねッ…か、オッサン…!」
「褒めてやってんだろ?」
相変わらず解っていながらヒノケンはアツキの頭を撫でる。らしくない程に丁寧で優しく。
性感帯となってしまっている犬耳ごと。
堪らずアツキはフェラチオを中断して自身を離す。
…フサ…ッ…フリッ…フリ…
「褒められて、そんなに嬉しいか?」
「バッ、カぬかスでねッ…嬉スくなン…か…ッ!」
「嬉しそうに尻尾を振りまくっているじゃねぇか」
「そげな事、オラは知ら、ね…ッ! …ン、んアッ!」
きゅうっ、と。
撫で擦るのを止めて軽く犬耳を摘み上げれば、ビクンと波打つアツキの全身。明らかに高揚しきっており、ヒノケンの指摘通り尻尾は歓喜に満ちて振られ。
だが、その中にも垣間見せる完全には屈さぬ意思。
それらが合わせられた姿。
獣の本性が持つ様な艶をヒノケンの前に晒していた。
「…フェラチオは、これからが本番だぜ」
「…ンッ、ぅ…むッ…」
…くぷ…じゅぷぷっ…
その艶にあてられ誘われたのは否めず。
ヒノケンはアツキの後頭部を軽く押さえて、硬く昂る自身への奉仕の続きを促してやると。
欲するのは、お互い同じ。
素直にアツキは亀頭を咥えて竿も含んでゆく。
じゅぷ、ぢゅっ、ちゅぷ…じゅぽっ…
…きゅむっ…シコッ、シコッ…シュッ…
「ン、ふッ…んむッ…ぅ…」
ある程度まで咥え込んだところで開始されるフェラチオは、巧い訳ではないがヒノケンにはアツキへの所有欲を満たし、今は獣を手懐けるような満ち方もして。
じっと懸命に果てさせようとする様を見下ろしていると、アツキは咥えきれない竿の根本近くを握って扱き始め、手コキも併せて刺激を与えだし。
アツキの咥内で膨張して脈動する自身、果てさせるのは近いとスパートを掛け、じゅぽじゅぽと一心不乱に目を閉じてフェラチオを続けていたアツキには。
愉快な事を思い付いたようなヒノケンの顔の事など、知る由もなくそろりと伸ばされる手。
…がしっ…ぐいっ!
「…! …ぷアッ…なンッ…?!」
再び押さえられた後頭部に込められる手の力。
それに対しアツキは、喉元深くまで咥え込まされて咥内で射精に及ばれるのだと思い至り。
一層に硬く目を瞑り身構えたのだが、逆に咥内から自身を引き抜かれ、何が起きているのかと硬く閉じた筈の目を開いた瞬間。
びゅるるるっ、びゅくるっ! びゅるる…!
ぱたっ、ぱたたっ…びゅるるっ…
「…ッ…!」
…ぐり、ぐりっ…ニチュ…
射精はアツキの咥内ではなく顔へと向けられた顔射。
しかし一応は目に入らぬよう配慮したのか、遠慮無しに顔へぶっ掛けるとまではいかず、アツキの身体にも向けて放ち、自分のモノだとマーキングする様。
鈴口からの白濁の勢いが落ち着くと、ヒノケンは少し物足りない顔射代わりにアツキの頬へ自身を押し当てて残る精を擦り付け、気が済んだところで自身を離せば引かれる白濁の糸。
「…ここまで変態だっただか、オッサン」
「何と言おうが、お前の身体は悦んでるじゃねぇの」
「くッ、薬のせいで! オラのせいでねぇだ!」
奥底から湧き上がる疼きと熱に支配される劣情。
自分本来の意思ではないと、見せる抗いのココロ。
ヒノケンに向けるアツキの瞳には、ふたつが窺い知れて青色の焔を宿し揺らめかせており。
───それが何より、なのだ。
その焔が在るからアツキが欲しくて堪らない。
願う想いは、獣の本性が持つに近しい激情の赤い炎。
「…そういう反抗的な口はよ、嫌いじゃねぇぜ。何がなんでも、俺のモノにしたくなるな」
「…誰がオッサンの…! …ッ、ふぐ…っ…!」
スリスリとアツキの頬を撫でながら、ヒノケンは自らが放った白濁を指に絡め取ると。
目論見通りアツキがヒノケンに反しようと大きく開いた口へ、二本の指を咥内へ捩じ込む。
「…っ! …ン、く…ふッ…!」
「綺麗にしてくれよ」
「……ん、ンっ……」
ちゅぷ…れろ…っ…ぺろっ…
抗いたい焔が強く揺れ、指を拒否したいのに。
咥内に広がる欲の味に火照る身体は従ってしまう。
噛みちぎろうと犬歯を立てる事も叶わず、ゆっくりとアツキは舌をヒノケンの指に這わせ、従順な犬そのままに白濁を舐め取ってゆく。
焼ける様に熱いアツキの咥内。
拙くも舐め取り這う、舌のぬるりとした感触。
指先という末端から伝うだけでも、人としての理性を忘れて獣の如く交わりたいという衝動が、ヒノケンの全身に走り駆られる。
…ぺろ…れろっ…ちゅうっ、ちゅぽっ…
指が纏っていた白濁を余さず綺麗に舐め取り、仕上げとばかりに軽く指を吸い上げてから、アツキは咥内から指を離してちょっとした指フェラを終え。
と同時に、従ってしまった自分自身に対しても含めた不満顔で、ヒノケンの事を見上げる。
「…こ、こンで満足だべッ…」
「もうちょいヤッてくれても構わねぇんだがな」
「るッさいべ!」
「…ったく…反抗的なのは嫌いじゃねぇが、流石に躾が足りねぇな。…もう一つ使うか?」
カシャ…ッ…クルクルッ…
「…! ンな、何スる気だべなオッサン!」
アツキの耳に届いたのは、犬耳尻尾を生やす怪しげな錠剤が入る小瓶の蓋を回し開く音。
一錠、飲まされてからベッド上に転がっていた小瓶を手にして開け、「もう一つ使う」という台詞から導き出されるとしたら、追加の一錠としか考えられず。
流石にアツキは慌てて身体を起こし離れようとしたが、反応を見越していたヒノケンは手に一錠の薬を持ってアツキの身体をガッチリ捕らえ抱き締めた。
「はっ、離さねっか!」
「暴れんな暴れんな。…ま、犬の躾は飼い主の義務だからよ。大人しくさせる為には、ちょっとばかし強制的な手段を使わなきゃならねぇ時もあるよな」
「ンだから! オラはオッサンの飼い犬なンかでねぇだ! それに、まだ最初の薬が切れとらンのに…追加で飲んで大丈夫かどうかも分かンねぇべ!」
「ゴチャゴチャ言ってねぇで、とっとと飲め」
「アホかー! や、止め…! ン、んぅッ…ふ…!」
先程まで自分のモノを咥えていた事など意に介さず、ヒノケンは口移しで無理矢理に薬を飲ませようとアツキの口唇に自らの口唇を重ね。
アツキはひたすら抗おうとするものの、抱き締める腕から逃れる事など出来る気配は無く。
口唇を割り開こうとする舌に。
背を、尻尾を撫で擦る手の感触に。
蕩け解れた身体は、声を発して応えてしまう。
さわ、さわ…スリ…むぎゅ…っ…
「〜〜〜…ッ! …ふ、ァッ…はあ…ンッ!」
特に犬耳と同じく過剰な性感帯と成っている尻尾に触れられているのがアツキには堪えられず、頑なに口を閉じ続けようとしたが遂に口を開き喘ぎを漏らし。
こうなっては観念するしかないアツキは。
分厚い舌と共に侵入する筈の薬に対し覚悟を決める。
決めた───の、だが。
にゅるるっ…ぬる…にゅるっ…
「…ふ…ンぅ…ッ……?」
思った通り開いた口には咥内へ舌を捩じ込まれ。
舌同士を絡め合わせ、にゅるりと滑り犯されて背中に走るゾクリとした快感の波に、思考は定まらなくなり深い舌の交わりに身を委ねるアツキ。
しかしながら、覚悟を決めた「薬」の存在が何時まで経っても侵入を開始してこず、鼻から抜けるような甘い声を漏らす中に混じる疑問の思い。
そうこうしている内に、咥内を堪能したのかヒノケンはアツキの口から舌を引き抜き離す。
ぬる…ちゅ、くっ…ちゅぱ…
「…は、ァ…オッサン…?」
「へっへっ…薬はどうしたって顔だな。…別によ、上のクチに限らなくてもイイって訳だ」
「……な…? …ま、待つだオッサン! まさか…!」
ズプ…ッ…
「う、ぁッ…! 何を、考えとるだ…!」
口唇を重ねる直前にアツキへ見せた、薬を口に含んだ素振りは完全に騙しの見せ掛けで。
薬はずっとヒノケン手の中。
ソレを一体、アツキの何処に飲ませようというのか。
尻尾を捲った下の後孔へ、薬と指を埋め込み始めた。
ずぷぷ…ぐちっ、くちゅっ…ぬち…っ…
「はっ、あ…ン、ぁ…アッ…こげな…アンッ…!」
薬で弛緩し、出来上がっているアツキの後孔。
容易く薬も指もナカへと受け入れ、埋め込まれた指はすぐさま円を描いてナカを拡げ掻き回しながら、熱で徐々に溶解する薬を塗り付ける様に蠢く。
時にはコリコリとイイ場所を構い弄られ、喘ぎ鳴かされる声を堪え耐える事も出来ない様。
「へっ…流石に直接はキくか?」
「く、ぅッ…見とったら、分かンべッ…! サッサと…オラの事を離すだッ…! ア、ぁ…ッ!」
如何に遅効性とはいえ想定外の使い方。
薬はまだ溶けきっていないにも関わらず、急激にアツキの全身へ熱を帯びさせ、その身の何処に触れられても性感帯と化してしまったかの如く悦に襲われ。
ナカがどうとか関係無く、ヒノケンの腕の中に居るというだけで達してしまいそうな快感。
「何を言ってやがる、お前から抱き付いといてよ」
「…! …薬の、オッサンのせいッ…でね、かッ…!」
気が付けばヒノケンは今もアツキの身体を捕らえてはいるが、そこまで強い力ではなく、寧ろアツキの方が快感に耐えようとヒノケンの身体を縋り抱き締めていて。
否定を口で吐いても身体とココロは求める。
赤い炎の熱を、もっと寄越すのだと。
…ずるるるっ…にゅぽっ…
「ぅ、あっ…」
「俺のせい、か。なら責任取ってやるぜ…バックだ」
何時の間にか三本まで増やし埋めて掻き回していた指をヒノケンはナカから引き抜くと、名残惜しいが縋り付くアツキの身体を離してベッド上に転がし。
指示するのは後ろから交わる獣らしい体位。
アツキは緩慢ながらも四つん這いになり、尻尾と尻をヒノケンの前に差し出して待ち望む。
「尻尾振って可愛いケツじゃねぇの。…へっ」
「いちいちッ、言わねくってエエだっ!」
「へっへっ…そらよ、お待ちかねだ」
…ヒク、ヒクン…ぷちゅっ…
自らの自身を軽く扱いて整え。
ヒノケンは愛らしい犬の尻尾の下で、ヒクヒクと物欲しげにしている後孔へ鈴口を押し付けると、淫らな水音ひとつとピクンと跳ねる敏感な身体。
口角を上げて目を細め笑み、自身をアツキのナカに。
…ぐっ…ぐぷ…ぐぷんっ!
ずぷ、ずぷぷぷ…っ…どちゅっ!
「ッア、ハァッ…! 奥っ、オラの奥までぇ…ッ!」
一息に剛直と言える自身を埋め込まれ、悦と共に歓喜すら覚えてアツキの身体は打ち震え。
口が勝手に開いて舌を出し、ヒノケンの自身を締め。
ここまで来て今更、誤魔化す事など無い。
後は悦楽だけ。
ずるるるる…っ…じゅぶっ! ずんっ、ずちゅっ!
ぱんっ、ぱちゅっ、ばちゅ、じゅぷっ、じゅぶっ!
「ひ、ァッ…! そげに、激スく…ぅ…ッ!」
「生温いセックスで満足出来んのかよ、違うだろ?」
「…ッ…ふ、ぁ…アンっ…あっ、はンっ…アッ…!」
ヒノケンもアツキも否定する事は出来ない。
焼け焦がし合う様なセックスでなければ足りないというのは、とっくに分かりきっていて。
同じ火を持つ、お互いでなければならない事も。
ずぷっ、じゅぽっ、じゅぽ、じゅぷじゅぷっ!
ぱん、ぱちゅ、ぱちゅっ、どちゅっ!
……ちゅ…っ…ちゅ、ちゅっ…
「ンぁ…っ…ひァ、うッ…!」
ぐっぷりと自身を埋め込ませながら、ヒノケンはアツキの白い背中に優しくキスを降らす。
激しさの中で訪れた微かに触れる口唇の心地好さ、今の身体には寧ろ際立って感じられ。
アツキのナカはキュンキュンと更にヒノケンの自身に吸い付くように締め、尻尾を手に取られて根本は扱かれ先端には口唇が触れ、剥がれ掛ける理性。
…ずるっ…ばちゅっ! ずちゅっ、じゅぶっ!
「アンッ、アン…ッ! それッ、もっとだべッ…!」
柔らかな時間は終わり、腰を掴み直さればちゅばちゅと腰と尻とがぶつかり弾ける厭らしい音を寝室内に響かせ、獣の如き性交へと耽ってゆく二人。
このまま、本当に獣になってしまえれば良いのにと。ココロの何処かで思う時が、ある。
けれど否定もする、人の持ち得る理性。
それを邪魔な枷だと思う事は無い。
じゅっ、じゅぷ、ずぷ、ぱんっ、ぱちゅんっ!
「ンひッ、アぅッ、イイっ、イイだ…ぁッ…!」
人の本性である理性が。
獣になってしまう事に抗う事が、しかし。
快楽を自覚させ、強めているのだから。
相反する様で、同調。
大体にして。
獣という括りに人を除くのも異な事。
人の本性には、何時だって獣の本性も飼っている筈。
「…アツキ…俺を熱くしろよ、出来んだろ?」
「ふ、ぅあッ…オッ、サ…ン…っ…アッ、あンっ…! …そげなの…あったりめぇで、ねか…!」
「へっ…だよな、まだまだ終わらせねぇぜ」
人と獣の本性に従い続く、炎と焔の性交。
それを呼称するのであれば。
───「生き物」としての、本性の宴。
■END■
2007.01.20 了
2023.03・旧作から全面リメイク