【Rockman.EXE@】
とうに知った熱と匂いの筈なのに
!)ヒノアツの彼シャツえっち
受が攻のシャツを着るビジュアル云々より、攻の匂いに包まれるという点を重視しています
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───クシャ…シュル…ル…
「…ソイツはお前のシャツじゃねぇぞ、俺のだ」
「ン…?……ああ、そうみてだなや」
仄かに間接照明だけが灯された寝室。
柔らかな暖色が照らし出すベッド上には、何処か蒸気した空気を纏ったヒノケンとアツキ。
特にアツキからは艶めく熱い吐息が絶え間無く漏れ。
一通りの情交を終えたところなのだと窺えて。
全裸でベッド上に投げ出す身体、後孔は解されヒノケンの自身を受け入れ交わり、遠慮無く吐き出された白濁が時折びゅぷ…っと音を立てて吹き零れる。
そんな行為を終えたばかりの妙に熱の籠ったベッドの上で、不意にアツキが手を伸ばした。
手繰り寄せたのは先程まで着ていたシャツ。
ただし、アツキのモノではなく…ヒノケンの。
「…別に、ちっとだけ着てだけだからオッサンのでも構わねぇだ。…何か問題あるだか?」
「小僧が良いなら俺は良いけどよ」
アツキはヒノケンと話しながらシャツに袖を通す。
ベッド上で寝転んだままそれは済まされ、ゴロゴロと左右に身体を転がして着込むシャツ。
予想はしていたが、ヒノケンの体躯を包んでいるシャツなのだからアツキには大きいモノ。
不覚にも、ちょっとした萌え袖状態。
ヒノケンにそこを指摘される可能性は低そうだったが、アツキはぐいっと袖を引っ張り手をしっかり出してから今一度ベッドに仰向けて寝転がったものの。
特別、何かで留めている訳ではない。
いずれ袖は本来の形に戻り、体格差を思い知らされる事になるだろう。そのくらい、違う。
「つうか、寒いのか?」
「まっさか。オラは寒いとか言ったりスねぇ。…ただ、今は何となく裸が落ち着かねンだ」
「ふーん」
情交による熱っぽさが感じられる室内ではあるが。
季節は秋、夜ともなれば次第に冷えが上回る。
だがそれでも、アツキには才葉の冷え込み程度ならば自分の地元に比べて大した事など無いという何時もの決まり文句の他に、まずヒノケンとのセックスで寒いと思う暇など無くて。
今だって身体中が熱くて仕方がなくて。
まるで───自分以外の炎が、自分を焦がそうと。
そんな炎に対して易々と焦がされるアツキの焔ではなく。だから、シャツを手繰り寄せた。
逆に炎を逃がさぬ様、アツキの内に取り込む為。
「(…なンて、オッサンには言えね)」
シュ、シュ……ぎゅ、っ…
ボタンを留める訳ではないが、アツキはシャツの前を交差させて上半身の露出を抑えると。
シャツと自分の身体を胸元で腕を交差して抱き締め、アツキの内で燃える炎を押さえ込む。
アツキの後孔のナカに溜まるヒノケンの熱にも、決して飲み込まれまいという意思の表れ。
だがしかし、それならば。
ヒノケンのシャツでも構わない等と横着すべきでは。
…なかったかも、しれない。
すぅ…っ…
「(……シャツ…オッサンの匂いスる…って、いけね…こ、これ…寧ろ逆効果なンでねか…?)」
夜になる、ついさっきまで着ていたシャツ。
ヒノケンの匂いが感じ取れて、ついついアツキは強く吸い込み一層にヒノケンを取り入れ。
はぁっ、と。
吸い込んだ反動、深い色艶を孕んだ息を吐き出す。
こんなにも感じてしまうなんて、思いもしなくって。
ギシッ…
「ッ…な、なンねオッサン…」
「いやあ?何だか…様子が普段と違うからよ」
「そっ…そげな事、無ぇべ」
困惑しているアツキに、ヒノケンがベッドを軋ませて覆い被さりアツキの表情を窺い出し。
反射的にアツキは顔をフイと背けたが。
紅潮して明らかに色を含んだ顔は隠しきれない。
原因はきっと、ヒノケンのシャツ。それを察したヒノケンは静かに口角を上げて愉しげにアツキを見下ろし直すと、背けて無防備になったアツキの首筋に顔を寄せる。
すー…っ…クンッ…
「なっ、何スとるだ!オッサン!」
「…お前から俺の匂いがするな。悪くねぇ、漸くお前は俺のモンだと自覚したって事か?」
「……そンなンでねぇ」
「へっへっ…まだそんな口か、強情な小僧だぜ」
アツキの首筋に収まり嗅いだ匂いからは、ヒノケンにとっては自分の匂いの方が強く感じ。
それが「アツキから」というのが特別。
炎を、焔を求めるヒノケンには、自身の匂いを纏う今のアツキに所有欲が満たされる思い。
そう簡単にアツキは認めたりしないが、それも良い。
今一度、ヒノケンはアツキの首筋で自らの匂いと…だが諦めず主張するようなアツキ自身の匂いも鼻腔に感じ取って、にいっと口角を釣り上げ。
ゆるりと───首と肩の中間辺りに噛み付く。
カリッ…!
「っ、な。ほっ、ホントに何をスてるっ、だ…!」
アツキにしてみれば急な痛み。
そう深く歯は食い込んでいないが、驚くのは当然。
咄嗟にどうにかヒノケンを引き剥がそうと試みるも、情事後の気怠い身体では全く敵わず。
いや、恐らく普段でもヒノケンの体躯を跳ね返そうというのは無理に等しいのだけれども。こうなってはヒノケンが満足するのを待つしか。
ギリッ…リ…
「……へっ、なかなかキッチリ跡が付いたな」
「…ンっとに、何がスてンだか…このオッサンは」
一際強く鈍い痛みが走ったところで。
ヒノケンは噛み付きを止めて口を離し、まじまじと噛み跡を見れば紅く歯型が残っており。
満足げにしているが、アツキには意味が解らない。
出来る事といえば、「呆れている」視線を送る事だけ。
「ちょいとばかし何時もとは違った形で、お前が俺のだってのを残したくなっただけだぜ」
「…オラはオッサンのでねぇっちゅうてるべ、オッサンがオラのなンだかンな。…それにスても、急に噛んでくるンはやっぱり無ぇべオッサン」
「前からお前に噛み跡を付けてみてぇと思っていたから、俺からすると別に急じゃねぇよ」
「はぁっ?」
アツキの身体に残した紅の跡をなぞるヒノケン。
そんなヒノケンに言葉を投げ掛ける度、アツキの疑問はかえって増えてばかりな気がする。
以前から噛み跡を残したかったとは、如何な心理。
「お前は、自分じゃよく分かってないだろうが」
つ、と。紅をなぞり終えた指を退きながら。
アツキの疑問顔と声に、ヒノケンは答え始めた。
「ニホン東北部の日照時間が短いせいなんだろうな、俺から見てお前の肌は随分と…白い」
「そ、そげな事っ、無ぇ…いや、分かンねけど…」
「言ったろ、自分じゃよく分かってねぇだろって。とにかく、そんな肌をしてやがるから…抱いてやる度に、噛み跡を付けてみてぇなぁとか思ってた訳だ」
「…分かるような、分かンねような…」
理由を聞けたは良いが、複雑そうなアツキの顔。
一方のヒノケンは、そこまで折り込み済み。
紅の噛み跡に、もう一度目をやると僅かに眼を細め。
静かに、改めてアツキに覆い被さって。
「さて…何やら小僧はまた欲情してるみてぇだな」
「…それはオッサンだって、そなンでねぇの」
「ま、そうかもな。…そのシャツを着たままで構わねぇから、もう1回シようぜ。…小僧」
「断ったって、スるンだべ…どうせ」
仕方がなさげなアツキの態度だけれど、ヒノケンのシャツで欲の焔を再び灯したのは確か。
抗う素振りは見せず、最早…期待すらしている様に。
その身をヒノケンに捧げ晒す。
「…へっ」
ぶかぶかの自分のシャツを着て自分の熱を待つアツキに、ヒノケンの欲の炎も一際に燃え。
小さく、お決まりの笑みを漏らすと。
アツキの脚を割り開いて間に入り、先程まで居座っていた後孔に昂りを取り戻した自身を宛がえば、精を小出しに噴き出していた後孔は再びの熱を感じ取ると、すぐさま吸い付いて。
早く寄越せと淫らにヒクつきヒノケンを誘う。
そんな事はアツキ自身では制御が出来ず、身体が勝手にヒノケンの事を求めてしまっているからで、どうにもならなさからアツキの口からは熱い息。
ゆるり、ヒノケンは舌を覗かせて唇を舐め。
ひとつの呼吸を置いた後、自身を埋め込み始める。
ぐ…ぐぷんっ!…ずぷ…ずぷぷぷ…っ…
「はっ、あ。ああっ…」
「まだ弛緩していてスンナリ挿ったな、へへっ…」
ヒノケンの言う通りアツキのナカはグズグズに突かれ解されたままで、難なく咥え込む。
だが、だからといって弛さは感じられず。
ぐっぷりと根本まで埋め込めば、きゅうと締め付け。
下手をすれば、ヒノケンの炎の方が焔に取り込まれてしまいそうだと思わせる程の…熱さ。
「……オッ、サン…早く動く…だ」
「小僧…へっへっ…面白ぇ」
ふと、余裕など無い筈のアツキから煽りが漏れた。
アツキの顔を窺ったヒノケンの眼には、とっくに蕩けた双眸が映り、実際に煽るつもりで言ったのかどうかは定かではない様子だったが。
「早く」等とこの状況で言われて躊躇う事など、無い。
にゅるる…っ、じゅぷっ!ずちゅ、じゅぽっ!
パンッ、パチュッ…パン、パンッ!
「っあ…アアッ、あうっ…あんっ、アッ…!」
一度、根本まで埋め込んだ自身を抜け出るギリギリまで引き出したヒノケンは、そこから一息に再び根本まで突き挿れ、抜き挿しを開始して。
アツキの腰を掴み、遠慮なく穿つ。
ヒノケンの精が染み込んだ様なナカは、激しい抜き挿しを阻害せずスムーズに行き来させ。
トロトロに蕩けた後孔から鳴る淫靡な音と、奥まで腰を打ち付ける乾いた音とが響く度、アツキの口からは途切れ途切れに喘ぎが零れ落ち。
三様の音が、冷め掛けた寝室内に熱を取り戻す。
「(なンっ…ね…オッサンの匂い、が…シャツからもスっから…?…何時もより、あっつ…!)」
奥を突かれて揺さぶられると。
着ているヒノケンのシャツの匂いを余計に感じ、まるで全身をヒノケンに包まれている様。
酸素を取り入れるべく行う呼吸なのに、ヒノケンを一層に取り入れてしまいくらくら、と。
眩暈いすら覚えるような熱にアツキは包まれ。
ぎゅうっと、やはりちょっとした萌え袖状態となっていたシャツの袖をアツキは強く握り。
熱と匂いに包まれ穿たれ、蕩けよがる。
じゅぽっ、じゅぶ…ずちゅっ、じゅぶ、じゅぷ…!
パン、パンッ、パチュッ…パチュンッ!
「ふぁっ、アッ、あ、ンンっ…オッサン、ん…っ!」
「…へっ…大分、キてるみてぇだな。シャツからだけじゃねぇ、ナカからも徹底的に俺の事しか考えられなくしてやるぜアツキ…!」
ぐっ…!
ズップ、ズッ、ズプッ…ズッ、ズチュッ!
アツキの腰を掴んで抜き挿していたヒノケンだが。
よがるアツキを更に追い込むべく腰からは手を離して覆い被さり、アツキの両脇の下にヒノケンは腕を滑り込ませてガッチリと捕らえ。
大きな抜き挿しは出来なくなったが、代わりに奥を短いスパンで激しく突く動きに移行。
圧し掛かられる重みが、熱と匂いを増して。
ずっ、ずっぷ、ずぷ、っ…ずちゅ、ずぷっ…!
「はぁ、ンっ…そげにっ、奥ばっかス突くで、ねっ…!あっ、ふうっ…うンっ、アンっ…!」
執拗に奥をノックされて剥がれ落ちる理性。
ヒノケンの熱に染まるのは、もう少し───
がし……ぎゅ、むっ…
「(!……この小僧はよぉ…)」
アツキの腕が覆い被さっているヒノケンの身体を抱き締めたのは、熱と悦とに浮かされた中で朦朧として取った無意識だったかもしれないが。
脚、が。
ヒノケンの身体を捕らえ寄せてきたのは初めてで。
無意識と呼ぶにはしっかりとした捕らえに、自分のナカで出してみろという意思を感じる。
嗚呼、まったく、もう。
「そんなに種付けてほしいか?イイぜ…たっぷり注いでやらぁ、燃え尽きる程になぁ…!」
じゅぷっ、じゅぷ…ずっぷ、ずぷっ!ずちゅ…っ!
…びゅぶるるるっ!びゅーっ、びゅぶぶっ…!
どぷっ、とぷ…とぷん…どぷぷ…
「〜〜〜…あっ、あーっ…!く、ぁ…ふっ、う…」
「ク、ウッ…!」
…びゅるっ、びゅるる…びゅぷっ…
アツキの意思にヒノケンは口角を上げ。
それまで以上に奥を強く穿って挿入可能な限界まで自身をアツキのナカに埋め込むと、二回目とは思えぬ程の量と勢いの白濁を叩き付ける様に注ぎ込む。
びゅーびゅーと音が聞こえそうな迸りにアツキの口は自然と喘ぎ、あまりの熱にうち震えてアツキ自身も射精しながら。しかしヒノケンを捕らえる脚は離さず。
熱も匂いも総て自分の焔が喰らってみせると。
最後の一滴がアツキのナカに注がれるまで、炎と焔は互いの熱を行き来しながら貪りあい。
やがて室内には、静かな熱い呼吸だけ。
「…はーっ、はー…はーっ……オッサ、ン……」
「(…チクショウ、俺のモノ…だってのに、よ…)」
強く捕らえていたヒノケンの腕が緩められ。
そうっとアツキを抱き締め、アツキの身体に噛み付き残した紅の跡に向かって顔を埋めて。
熱と匂いが、流れ込んでくる。
ヒノケンにとっては、それは自分の熱と匂いでなければならない筈なのに。その筈なのに。
抱き締めた身体から自分とは違う熱が伝う事に。
アツキ自身の匂いがシャツの奥から感じる事に。
───とうに知った筈の、熱と匂いに。
ヒノケンは、どこまでも完全に自分のモノにはならない焔へ焦れる想いを抱きながらも、その熱と匂いが在る事に安堵する想いも抱いていた。
■END■
2021.10.05 了