【Rockman.EXE@】
ひと夜の熱情を夏の花と
「まンず人が沢山だったなや、疲れただ」
「そりゃ仕方がねぇな、才葉シティ全体での夏祭りだし…メイン会場のシーサイドタウンが最も混むだろうに、お前がシーサイドが良いとか言うからだろうが」
「スかたねぇべ、あスこまで混むと思わねかっただ」
「まあ田舎者には才葉での混雑具合を考えるのは難しいだろうな、こんなに混まねぇだろ」
「バカにスるでねぇ、メラメラ祭りもこンくれぇ混雑スるだ!…って何の張り合いだべ…」
ぽすっと。
取り敢えずソファに身体を沈めて休むアツキ。
その格好は浴衣姿で、ヒノケンもまた浴衣である。
今日は才葉シティが主催で行われる年に一度の夏祭りの日であり、二人で折角だからと浴衣を新調し、メイン会場であるシーサイドタウンで祭りを楽しみ。
ヒノケンの家へ帰ってきたところ。
才葉シティ内の各タウン規模で細かな夏祭りや夏らしいイベントが夏休み期間中に開催されはするが、今日の規模はシティ全域のモノで最大級。
そしてメイン会場となるのは水族館が目玉のシーサイドタウン、ステージを設営してライブ等の催し物が1日を通して行われていたり、水族館内でも普段に増してイベントが行われ。
アツキにとって一番に興味が湧いたのだろう。
グリーンやスカイは勿論セントラルでも夏祭りの催し物はあったのだが、アツキの希望でシーサイドタウンへ向かったところ、かなりの混雑に見舞われた模様。
『ヒノケン様、花火の時間まで30分ほどです』
「ああ、分かったぜファイアマン。…今回の花火大会の花火は、電脳世界で打ち上げてソイツを現実世界の大規模スクリーンに映す、みたいなヤツなんだよな」
『確か…そうです、スカイタウンから各タウンの空に向けて大掛かりなスクリーンを展開し、そこに花火を映し出す電脳花火ですヒノケン様』
「才葉クラスの先進だから出来る芸当ってヤツか」
混雑もあってシーサイドタウンでの催し物を一通り楽しむには時間が掛かったが、アツキのお目当てが総て済む頃には予定していた帰宅時間となり。
そろそろ、夜の帳が降りる時刻。
ヒノケンの家に戻ってきた目的は、この夏祭りの目玉でありトリである花火を観る為で。
しかし普通の花火大会ならば打ち上げられる会場近くに行かねばならないのだが、今夜の花火は電脳花火を現実世界で映し出す形であり。
スカイタウンから各タウンに向けて大規模なスクリーンを構築し、そこに電脳世界で打ち上げた花火を映すという、混雑の分散や現実で爆発事故を無くすネットワーク社会の花火。
その告知内容から、セントラルタウンのヒノケンの家からでも恐らく花火はよく見えると判断した為、夜までシーサイドには残らず帰ってきたのだ。
『ん?兄貴、って事は俺達も電脳世界でその花火を観れるのか?何処で打ち上げるんだ?』
『ちょっと待てヒート。……シーサイドエリアだ』
『現実世界でメイン会場だから、電脳世界でもそうって事か。…どんな感じなんだろうな』
『ヴォ…ヴォォォ!』
『…もしかして、お前ら電脳花火を観てぇのか?』
ファイアマンを伴い出掛けたヒノケンだが。
戻って直ぐに、帰りを待っていたヒートマンとフレイムマンが居るリビングへ置いたPCにプラグインさせていて、ファイアマンはそこから話している。
そんな今回の花火についてやり取りする主と兄の内容を聞いていたヒートマンは、だとすると電脳世界でも同じくその花火が観れるのではと気付き。
観てみたいらしい様子、フレイムマンも。
「行ってくりゃ良いじゃねぇの」
『ヒノケン様、別にヒートの言う事を…』
「この規模の電脳花火はなかなか無ぇ、才葉だからの規模だ。折角だから観に行ってきな」
『さっすがオヤジ、早く行こうぜ!兄貴もな!』
『ヴォォォッ!』
『…ヒノケン様がそう言われるなら』
「シーサイドエリアだから水ウイルスが出るが、まあ揃って行くならそこまで強いウイルスでもねぇし平気だよな。だが何かあったらすぐ呼べよ」
『了解。…では行ってきます』
主が許可したので、といった風だが。ファイアマンとしても盛大な花火はキライではない。
寧ろ弟達と同じで内心は興味津々。
インターネットに繋がっているワープホールを既に通過した弟達の後を、追い掛け始めた。
……パシュンッ!
『って待て待てファイアマン!俺も連れてけ!』
『…花火に興味なんかあるのかよバーナーマン』
『当たり前だろ!』
「っとに勝手に話ば進めるでねぇだ、オッサンもそのナビもオラ達スルーとか無ぇべな」
ファイアマンが通過したワープホールの起動音…ではなくて、ナビがプラグインをした音。
ソファで休みながらヒノケンら主従による話の流れを聞いていたアツキは、そこからPETをPCへ向けてバーナーマンをプラグインさせ。
現れたバーナーマンは、ずかずかとファイアマンが通過する寸前だったワープホールへ。
『じゃあ行ってくるぜアツキ!』
「そンな心配スとらンけど、気を付けるだ」
『ああ!…ボヤボヤしてると置いてくぜファイアマン!お前の弟にさっさと追い付くぞ!』
『うるせぇな!指図すんじゃねぇ!』
───…シュン、シュンッ…
道中で喧嘩をしないか少々、不安だが。
「今の」主に迷惑は掛けたくない点で、ファイアマンもバーナーマンも共通しているので。
ヒートマンが間に入ってくれる事も期待しつつ。
リビングにはヒノケンとアツキだけに。
「…ヒートマン、また気を利かせたンかな」
「あん?また?…ああ、クリスマスだったかもそういや"こんな感じの事"があったな。…半分はそうかもしれねぇが、あの様子だと本当に花火が観てぇんだろ」
「…そだか。そういえば電脳花火はオラ初めてだけンと、花火職人とか普通と違うンか?」
「詳しくは俺も知らねぇが、何か数日前に今回の為に呼んだっつう電脳花火職人のインタビューをテレビでやってたな。ソイツは現実世界での花火も作るし電脳花火も作るらしい」
「へー…あ、もスかスたらオラも見たかもスれねぇだ、恰幅が良い職人でねがったかな」
「それだ多分、六尺玉とかいったろ」
「ンだンだ。花火の事だと思ったら名字だっただ」
「(……あのインタビュー…で)」
何気ないアツキの疑問から出た電脳花火職人の事。
数日前のテレビのインタビューをヒノケンは思う。
花火が見れれば作り手には特に興味は無かったのだが、偶々目にしたその映像には───その職人が花火作りの最高の相方だと呼ぶ、ナビの中継も映った。
しかしあまり表立ちたくないのか、或いは作業中の様子を撮ろうとされたのが邪魔だったのか、そのナビの姿はハッキリと映らぬまま追い返されていて。
けれどヒノケンには、僅かに見えたそのナビが。
「(…電脳花火職人のヤツ、ナパームマンを持ちナビにしていた気が……いや、まさか…な)」
以前、WWWエリアで侵入者の排除を任せていたナビ、ナパームマンに酷似していたのだ。
WWWが何体か保有していた自立型ナビの中でも軍事情報を元に作られたナパームマンは破格の火力を有しており、ヒノケンに直接の面識は無いもののその存在は理解をしていたが。
一般人としてゴスペルの動向を静観していた際、同じくWWWの素性を隠し潜伏していた団員から、ファラオマンやプラネットマン共々デリートされたと聞き。
今ならば、あそこまで辿り着けたとすれば光熱斗とロックマンだと思うが、それよりも。
「(しかしあの姿は…やっぱりナパームマンだ、何だって花火職人のナビになってんだ?)」
疑問は尽きない。
まずデリートの報は誤報だったのか。
逃げ延びていたにしても、あの花火職人とどうして出会い…オペレーターと認めたのか。
その経緯はヒノケンには知れない…けれど。
"今の"自分だから、ナパームマンに想える事も。
「(……分からねぇが、きっと…良かったんだろうな。戦争の為のデータで創られ、WWWの肩書きまで持っちまって。それが、花火って道を拓いたんだからよ)」
教師と研究の道を拓いた自分と、何処か似通った部分があると感じ入るモノがあったのか。
ヒノケンはそう、素直な想いを抱いた。
変える事が、変わる事が出来た───出会い。
「……オッサン?急に黙ッツまって、どスただ?」
「…何でもねぇよ、それよりそろそろ2階に行くか」
「花火が始まるかンな。先行ってるだ!」
「ああ、飲み物とか要るか?」
「オッサン気が利くでねぇの、適当に頼むべ」
「適当に、な。分かったぜ」
休んでいたソファから跳ねる様に立ち上がり、リビングから2階へと向かい始めたアツキ。
パタンとドアが閉まり独りになったヒノケンは。
まったく、出会った時から今も生意気で。
あんな小僧を認めるなんて───嗚呼、まったく。
ゆるりと上がる口角。
ひと夜の熱情の炎がヒノケンのココロに灯った。
───…
ヒュルルルルル…
ドーンッ…ドドン…ッ!……パパッ…パラ…
「へぇ、思った以上に現実世界の花火と同じように見えるじゃねぇの。悪くねぇモンだな」
「〜〜〜…ッ…オラ、それどころでねンだけンと」
「何でだよ」
「オッサンが!急に!盛ってきたからでねか!」
ヒノケンのココロに灯った炎はアツキを求め。
言われた通り適当な水分を手にして2階のベランダに現れたヒノケンは、そのペットボトルを手すりに手を掛けて花火を待つアツキの傍に置き。
「オッサンご苦労さんだべ」等と普段通りの口を利こうとアツキが振り向いたところで乱暴に口付け、何がどうしたと返す事も出来ずにいるアツキの下着を下ろし。
しかし浴衣はそのまま。
あれよあれよと後孔にローション塗れの指を捩じ込まれてぐちぐちとナカを解されたアツキは、今度はヒノケンに促されてベランダの手すりに手を掛けさせられ。
立ちバックでアツキのナカにはヒノケンの自身。
そうこうしている内に花火大会が開始する時刻となり、電脳世界で打ち上げられている花火が現実世界で夜空に構築した巨大スクリーンに映し出される。
正直なところ現実世界で観て満足出来るのか疑問だったが、電脳花火そのものの出来映えの素晴らしさもあるのだろう。実際に現実世界で打ち上げているのではと感じられる程。
だがアツキからすれば、突然盛られ襲われこの状況。
ゆるりと花火を楽しむどころではない。
…ぐち…ムク…みちっ…
「ン、んっ…何おっきく…スとるだ…!」
「へっへっ…なかなかイイ感じのシチュエーションってヤツだからよ、そりゃあ滾るだろ」
「っとにアホかこのオッサン…!」
…じゅ…じゅぷ…とん、とんっ…
「んんっ、それっ、やめ…ッ…る、だ…」
大きな抜き挿しは無く、アツキのナカに居座る自身。
少しだけ腰を動かして奥をノックしてやると。
切なく甘い声をアツキは漏らす。
そんな声を出したら更にヒノケンを昂らせてしまうと、分かっていても抑える事は出来ず。
夏の空気に同化する熱い吐息。
指先にその熱を感じたくて、アツキの口の中へ。
「かは…っ?!…ふ、うっ…」
突然、咥内に指を挿し入れられて驚くアツキ。
にむにむと舌を揉み可愛がられ、抗いたいが口を閉じる事が出来ず口端から唾液が伝う。
もう構うものかと、アツキとしては食い千切る勢いで噛み付こうとしてみるも、ナカに居座り続けるヒノケンの自身から絶え間無く快感を与えられて力が入らず。
ずちゅ、と。
ヒノケンが腰を進めるとアツキの身体は跳ね、咥えさせられている指を反射的に強く吸い。
頃合いを見てヒノケンは指を抜き挿す。
クチュッ、ちゅぷ…じゅ、じゅぷっ…
「ふッ、う、ンふっ…ンッ、んむッ…」
無理矢理捩じ込まれ抜き挿しを開始した指が…次第にアツキの感覚を麻痺させて、まるで。
ソレもヒノケンの自身に感じられてしまって。
上からも下からも貫かれている様。
きゅうきゅうとアツキの後孔はアツキの意思とは関係無くヒノケンの自身に吸い付いて締め寄せ、気付けば口も進んで舌を指に這わせてヒノケンを求める。
……ちゅぽっ…
「…はッ…はぁー…はっ、ふ…」
「へっへっ…イイ指フェラだったぜ小僧」
「やっ、かまスぃべ…」
─…ヒュルル…ドンッ…!ヒュルルル…!
パパパパパパッ…パパパ…ッ!
「お、スゲェ。区切りの見せ場ってヤツだろうな」
二人が致している間にも花火のプログラムは進行中。
菊や牡丹といった、オーソドックスながら迫力ある単発で大玉の花火が空を彩っていたが。
一拍の間を置いて連続した花火が上がり。
一つの花火の中に小さな花火玉を内包した小割物と呼ばれるソレが幾つも幾つも花開き、夜空に色とりどりの美しい花畑が出来上がっていた。
夏の幻想、まだまだこれから。
…ぐちゅ…ん…
「っ、ふぅ…い、い加減…オラから出てく、だ…っ」
「イイじゃねぇかよ、浴衣で花火観ながらセックスとか機会は多くねぇ。どうせだから、花火が終わるまでじっくり愉しもうじゃねぇの」
「終わるま…いっ、一時間とかあるでねぇか!」
「まあ頑張ってみるわ」
「オッサンがおっ勃ててられっかの問題でねぇだ!」
「どうでもいいけどよ。このベランダは比較的、死角になってるが…そんなギャーギャー喚くと流石に誰かに気付かれちまうかもしれねぇぜ」
「!…ぬぐぐ…」
そう言われてしまうと黙るしかない。
完全に渋々だがアツキは大人しくなり、ベランダの手すりを強く掴むと悔しげな音が鳴る。
「へっ…」
不貞腐れた様な背中を見下ろすヒノケン。
ピクンとヒノケンの自身が脈打つ度、とうに敏感に成り果てたナカはアツキの全身に甘く痺れる様な快感の波を走らせ、背中もふるりと震え。
とても、とても愛しい。
スル…
…くに、くにっ…きゅ、っ…くに…
「ん、ン…なに、っ…スて…」
「乳首も可愛がってやらねぇとな」
「そげなの義務みてにぬかスでねぇっ…!」
「乳首でなくてもお前を可愛がってやるのは義務だな、俺のモノなんだからよ。こうして可愛がってキッチリ解らせてやるのは大事だろ?へっへ…」
「だっ、れがオッサンの!…ッ…ン、くぅっ…!」
「お前の乳首は、ちょいと痛いくらいがお好みだな」
帯より下はヒノケンにより乱れるアツキの浴衣。
しかしまだ上はそこまで着崩れておらず、何とか体裁を保っていたところにヒノケンは手を突っ込み、ここ迄で与えた快感で既に芯を持つ乳首を愛で始め。
お約束の抗議をしてきたアツキを黙らせる様。
少々強めにささやかな主張を摘まむと。
痛みの中に混じる悦を感じ取ってアツキの背が僅かに反り、きゅううっとナカを締め付け。
アツキの自身は、ずっとビクビク脈打ち跳ねて。
そろそろ───イキたい。
…ちゅっ、ちゅ……はみ…っ…
「お前のうなじ、旨そうだ」
「っ、バッカでねぇ…のっ…」
達したくて堪らないアツキの自身を理解しながら。
ヒノケンはもう少し「お預け」をアツキに。
上も着崩れ始めた浴衣。
背を反らせた後のアツキの頭は下げられ、どうにか息を整えようとして…うなじが見え。
花火の瞬く輝きが照らす肌は酷く官能的で。
誘われ、そうするのが当然のようにしてヒノケンはそのうなじに数度のキスを降らせた後。
やんわりと口唇で食み、軽く噛み付く。
流石に汗ばんでいるらしい、か。
一応、ベランダへ出る前にヒノケンは繋がっている部屋の冷房を点け、扇風機を回してベランダに冷気を届かせる事もやっているのだが。
その冷気が来ている背中から立ちバックで及ばれ続けていては、冷気の恩恵より身体を駆け巡る欲と快楽の熱さの方が優っても仕方がないだろう。
それでも、無いよりはマシなのだろうけど。
「ふっ、は…はーっ…はッ…オッサ、ン…」
「…いっぺん、イカせてやるぜ」
「…う、ンっ…」
しかしそろそろ射精させてやらねば酷と見たか、うなじを味わう口唇を離したヒノケン。
アツキの腰を改めてガッチリと掴むと。
…にゅ、るるるっ…
じゅぷっ、ずぷ、ずりゅ…どちゅっ、ずちゅっ!
「ア、ァッ、ひうっ…ら、め…ソコばっか…ぁ!オラっ、スグにイッツまうでねぇ、か…!」
「そりゃあイカせようとしてんだからな」
根本まで埋め込んでいたアツキのナカの自身を少し引き出すと、角度を変えて狙い突く。
ソコはアツキの前立腺。
時に亀頭をずりゅずりゅと擦り付け、刺激を与える。
ごちゅ、ずりゅりゅ…どちゅ!
「っああ、あぅ、アンっ…ふぁっ、あー…ッ…!」
「へっへっ…喋るのもままならねぇくらいイイか。それでいて、もっと寄越せってお前のナカは吸い付いてきやがるんだからよぉ…じっくり味わうつもりだが、今は飛ばすぜ…!」
じゅぷ…ずっ、どちゅっ、どちゅ!…じゅぶんっ!
「ふ、ぁっ…出るッ、オラ…もう…オッサン…っ!」
…びゅくっ、びゅるる、びゅるっ…!
ぱたたっ、ぱた…ぱたっ…
前立腺を一層に狙い突き立てて追い詰め。
ナカの具合から限界が近い事を感じ取ると、引いた自身を前立腺ではなく奥を目掛け突き。
その衝撃にも似た悦でアツキは射精に至った。
乱れた浴衣の隙間から覗いていた自身からは白濁が堰切れ、ベランダに白を撒き散らす。
暫し続いた射精が止まり、どうにかアツキは身体を落ち着かせようと、花火の光で色を変えるベランダの手すりをしっかり掴んで呼吸を整えようとした。が。
……びゅぶるるっ!びゅるる、びゅるるー…っ!
どぷどぷっ…とぷ、どぷ…ッ!
「〜〜〜…!…どンだけ、出スつもッ…り…なンかっ…!ひ、ぁ…アッ…熱…うぁっ…あー…っ」
「クゥウッ…へっへ…悪ぃ、俺も限界だったわ」
本気で悪いとは思っていなそうだけれど、出すつもりでは無かったというのは本当らしい。
しかし根本まで咥え込ませた状態でのアツキの射精により、ヒノケンの自身をきゅんきゅんと締め付ける肉壁の心地好さには抗えず。
突き立てたそのまま、ヒノケンも射精に及んだ。
種付けるかのような量と勢いをアツキのナカに注ぎ込み、まだ身体を整えきれていないアツキは、あまりの欲に蹂躙されて言葉もままならずガクガクと脚が震え。
だが逃れる素振りは見せず、受け止め。
ヒノケン共々、射精後の倦怠から荒い息を吐く。
……ヒュルルルル…カカ…ッ…ドドン!
ドドドドッ…ドン、ドドン…ッ!
「…スターマイン、ってヤツか」
「ン…そみてだ…な。…キレーだなや」
不意に、夜空が一際…明るく輝いた。
ヒノケンの言う通り、それはスターマインと呼ばれる速射連発花火であり、先程の小割物の連続とは比べ物にならない相当な数が次々と打ち上げられ。
二人は、ぼんやりと。
力強くも幻想的な光景に釘付けに。
フィナーレだとしても納得が出来そうだが、予定時間を考えると折り返しとなる頃であり。
後半への景気付けだろう、花は今も咲こうとして。
……ぎゅ、うっ……
「…どスただ。…オッサン」
「別に。…ただ、こうしてみたかっただけだ」
「そ…だか…オラは構わねけンど、な…」
未だ自身をアツキのナカに埋め込み味わうヒノケン。
花火を見詰めていたかと思うと、優しく。
何処か縋り付くように背からアツキを抱き締めて。
激しさだけではなく、長く自身の熱を咥え込ませてひとつの炎になろうとする行為の連続で蕩けきったアツキの身体と肉壁は極上、何時まででも重ね合わせていたい。
そういう訳にはいかないと、分かっていても。
だから、せめて。
……ぐちゅ、ぷちゅ…ずっ、ずぷっ…
「は…オ、ッ…サン、またっ…」
「花火は続くみてぇだからな、終われねぇ」
盛大なスターマインが花を咲かせ終わり、様々な変わり花火が打ち上がって目を楽しませ。
そう、花火はまだまだ───続くから。
注いだ精を掻き混ぜてアツキの肉壁に染み込ませるよう、短い律動をヒノケンは開始する。
ひと夜の熱情、総ての夏の花が開くまで。
■END■
2021.08.12 了