【Rockman.EXEA】
見えなくても貴方の熱は伝わるの
)目隠しプレイ



「…また、しょうもね事ば思い付くオッサンだなや」
「とか言いながら嬢ちゃんも断らねぇじゃねぇか。へっ…偶には"こんなの"もイイだろ?」
「オラはスかたねく付き合っとるだけだべ!」

何時も通りの二人、といったところだろうか。
ホワイトデーの本日、バレンタインのお返しを自ら進んで貰いに来たアツキを家に入れて。
ヒノケンが用意していたお返しにアツキが喜び迎えた夜、ベッド上に座る二人は既に裸身。
恋人として愛し、睦み合う時間の始まり…の筈だけれども。どうやらヒノケンがまた何かを思い付いたらしく、呆れるアツキと愉しげなヒノケンの声が交互。
しかし少しだけ、アツキの声は正確にヒノケンに向かって掛けられていない様に聞こえる。
何故ならば。

「…オラのアイマスクを、こげに使うとか…」

呆れに文句を混じえて口を尖らすアツキ。
その目元は、ヒノケンの研究を手伝いパソコン作業を行った後など、目を休ませる際に使用しているアイマスクが着けられていて、アツキの視界は奪われていた。
寝室へ朝の着替えの用意をしておこうと持ち込んだ時に、どうやら紛れ込んでいたらしく。
気付いたアツキはナイトテーブルに一先ず置いて、起きてから持って行こうとしたのだが。
それがヒノケンの目に留まり、瞬時に今夜はアツキと目隠しプレイを愉しむ事にしたのだ。
故に、見えていないアツキの文句の先は微妙にヒノケンからズレている、といった状況。

「そんな口を尖らせても、可愛いだけだぜ」
「…や、やッかまスぃだ! オラは…! ンむ…!」

ちゅうっ…

ヒノケンとの距離が分からない今のアツキ。
言い返そうとした口唇が口唇で塞がれてしまう。
こんなカタチのキスに流されてしまうのは癪だけれど、じっくりと重ねられて行き来する熱に、アツキは次第に絆され腕を伸ばしヒノケンの身体に抱き付いて。
色は見えないけれど。
きっと、赤い筈の髪に指を通し「ヒノケン」の確認。

「(…オッサン…なのは、分かッとるけンど…)」

アツキとヒノケンの他には、終了処理が済んで休んでいる自分達のナビだけしか居ない家。
そうだと理解しているけれども、見えない不安は抱き付いている相手が本当にヒノケンで間違いないのか囁くようで、アツキは髪の長さや背の逞しさを手で感じ取って確認していく。

…ちゅ、く…

「…ぷぁッ…オッサン…だべ…?」
「へっ…心配なら、もっと確かめたらどうだ?」
「……ン…そうスるだ…」

どうやらヒノケンにもアツキの心理は伝わった模様。
確認の行為を続けるよう促せばアツキは小さく頷き。
髪や背中だけではなく、肩や腕にも手を触れさせて何時もアツキを火照らせる熱を感じ。
ぎゅっ、と。
一段とアツキが強くヒノケンに抱き付いたかと思うと、スリスリと頬に頬を擦り寄せ始め。合間合間にはクンクンと、においを求める仕草も伴う。

「…ふ…はあッ…」

漏れ出るアツキの熱っぽい吐息。
不安の中だが「ヒノケン」を濃密に感じ取る事にもなり、次第に興奮し発情を覚えた様子。
そんなアツキに気を良くしているヒノケン。
普段よりもずっと多いアツキからのスキンシップに、まるで小動物みたいな愛らしい仕草の数々、それでいて性的な興奮に溺れ始めた女としての淫らさ。
口角が上がらない訳がない。

「(しかし…ここは我慢だな。…へっへっ)」

本当は今すぐヒノケンからもアツキを抱き締めたい。
だが敢えてヒノケンは、手を出さず控えている。
そうすれば、よりアツキは自分を求めて触れるしかなくなる筈だから。…しかしながら、ヒノケン自身、その我慢はなかなか負担で笑みは自嘲を含む。
視界が奪われたアツキの仕草や、身体に触れ寄せる熱を帯びた指先に、熱くさせられるが。
すぐにでも情欲のままに抱きたい想いを堪えた。

「…へへン…どうやらオッサン…みてだなや…」

一方のアツキは慣れが生じてきたのだろうか。
見えないままヒノケンの身体を確認し続け、その手は段々と胸板や腰といった辺りに及ぶ。
しかしながら太腿に辿り着くと、撫で擦る手は何処か躊躇いがち。右往左往するように太腿の上で手を行き来させていたが、そろりと徐々に内へと向け。
指先が触れたのはヒノケンが持つ男性器。

「あ…え、えーッ…と…」

恐らく「この辺り」だと見えないながらにアツキは予測し、触れるつもりでいたけれども。
手のひらまでしっかり触れた訳ではないが、いざ、指先から伝わった屹立しているであろう昂ぶりを感じ取ってしまうと、恥ずかしさが生じてしまって。
思わず手を引っ込めようと。

「おっと、そのお手手を何処にやろうってんだ?」
「え…わわッ…!」

ぎゅっ…にぎ…っ…

「…な、なにッ…いや…わ、分かる…けンど…」
「へっ…今更、恥ずかしがる事でもねぇし、コイツこそ確かめた方がイイんじゃねぇか?」
「うぐ…そ、そッかもせねけンどな…」

離れようとした手にヒノケンの手が覆い被さり。
そのままアツキは手のひらでヒノケンの自身を握り込まされ、勃起具合を明確に知らされ。
手のひらが焦がされる熱さにたじろぐ。
ここから手コキを求められるのかと思ったが、ヒノケンの手の動きにはそうした気配は見られず、アツキの反応を窺い愉しむ余興的な感覚だろうか。
ニヤニヤしていそうなヒノケンの顔を思い浮かべ、たじろぎよりも意地を上回らせたアツキは、自らの意思でヒノケンの自身をにぎにぎと包み込み確かめる。

…ムク…ビンッ、ビンッ…

「(ッは…ぁ…どこまで…おッきくなるだ…)」

アツキの手による刺激で更に昂る自身。
見えなくても、この熱さ硬さはヒノケンの。

「…な、ぁ…ケンイチぃ…」
「どうした? 嬢ちゃん」
「オラ…これ欲スぃだ…ケンイチの、早く…ぅ…」
「……はぁあ〜〜〜っ! 我慢なんかしてらんねぇな。ああっ、まったくよぉ…堪らねぇぜ」

ガバッ…! どさ…っ…

「ふぁッ! …ケン、イチ…」

普段に無いアツキの可愛らしいお願いぶりに、ヒノケンの我慢は決壊。アツキの全身を拐うように抱きすくめながら、二人はベッドに雪崩込む。
横向きに寝転ばせて抱き締めるヒノケン、腕の中のアツキが逃れる事など許さない力強さ。
執着を秘めた赤い炎に包み込まれ、更には。

…ビクッ…ビキッ…ズリ…ッ…ビクンッ…

「(ケンイチの…また、おッきくアツくなッとる…)」

抱きすくめられた密着。
アツキの下腹にはヒノケンの自身が押し当てられ。
益々の熱塊と化す雄の象徴に呼応してしまっているのか、アツキの身体は甘く甘く疼いて。
雌として欲し、自然と腰を捩り刺激し合う。

よじっ…ニュリ…ズリッ…ズリ…

「はあッ…アッ…ふぅッ…」
「へっへっ…俺の準備はこの通りだが、嬢ちゃんの"準備"もちゃんとやってやらねぇとな」
「あ…ンッ…!」

ゴロン……くちゅっ…

男性器の熱に没頭しているアツキを、ヒノケンは横向きから仰向けに転がして脚を開かせ。
指を割れ目に浅く沈めれば濡れた感触。
ピクンと、既に濡れてしまっている事を自分自身でも理解したのか恥ずかしそうに身を震わせたアツキに、ヒノケンの口角がより上がる。こうなっている事など、分かっていたから。

「…つっても、嬢ちゃんも大分ソノ気だな。…へっ」
「い、いちいち言うで……は、ア…ッ…!」

ちゅく、ちゅくっ…にゅぷぷぷぷ…っ…

浅い付近の濡れ具合から、奥はもっと愛液で溢れ濡れているであろうと踏んだヒノケンは。
割れ目を数度なぞって指に愛液を纏わせてナカに挿れ始めれば思った通り、アツキのナカはヒノケンの指に対して抵抗する事が出来ない程に濡れており。
指の付け根までスムーズに咥え込む。

ぬちゅっ、ぷちゅっ、ぐちぐち…っ…にゅぷぷっ…

「ふぅッ…ウン…」

とうに濡れているとはいえヒノケンの指はナカを解し始めていくが、挿入する指を増やすペースは心持ち早いだろうか、二本目が入る感覚にアツキは小さく鳴く。
ナカを行き来する指に身を委ね、そろそろ三本目が挿れられるだろうとアツキが構えた気持ちも伴っていると指の動きが鈍り、思った通り更なる挿入。それに。

にゅぷぷぷ〜…っ…ぐち…じゅぷ、じゅぷっ…!
…れろおっ…はみっ、ちゅっ、ぢゅうっ…!

「ン、ひッ?! ひゃあンッ、急にッ、乳首…ぃ!」

三本の指で本格的に開始された手マン。
加えて見えていないアツキからすればヒノケンが自分の乳首に顔を寄せていた事など気付けず、突然ねっとりと舐め上げられ口唇で挟まれ吸い上げられる。
ヒノケンの男性器に負けぬくらい、芯を持って勃つ様が魅力的で仕方がなかったのだろう。
ナカを激しく掻き回され、乳首を強く吸われ。
アツキは自然とヒノケンの頭に腕を回し縋るが囚えてしまうような強さは無い、何故なら。

「…ケンイチ…ぃ、乳首…もう片っぽ…も…」

…ちゅぱ…チロチロ…れろっ…ちゅうっ、ぢゅっ…!

「ンんッ…! はぁッ…それぇ…! エエだぁ…ッ…」

固めてしまっては、もう片方を可愛がって貰えない。
アツキの要望に応えてヒノケンはもう片方の乳首にも吸い付き、ナカと乳首を一層に弄ぶ。

じゅぶっ、ずちゅっ! ぐちゅぐちゅっ、じゅぷっ!
ちゅっ、ぢゅうっ、れろれろ…ちゅううっ!

「く、ふぅンッ、ひゃンッ…! そげにぃ…わざとらスく、音ば立てるで…くぅ、ン、ん…!」

ヒノケンの方がわざと音を立てているのか。
それとも、見えないアツキの聴覚が過敏になっているのか。或いは、どちらもなのだろう。
手マンの音も乳首を吸われる音も、今のアツキにはやけに大きく厭らしく聞こえてしまい。
耳から犯される感覚が身体中に駆け巡り、背に走るゾクゾクとした快感の波は止まらず。

「〜〜〜ッ…! あ、アンッ、アあ〜…ッ!」

ビクッ、ビク、ビクンッ…!

ヒノケンの指をキュウッと締め付けるアツキのナカ。
跳ねる身からも、軽くイッたのだと分かる。

…ちゅぱ…っ…

「へっ…見えねぇだけで随分と敏感になってんな。だけどよ、本番はこっからだぜアツキ」

…ずるるる…にゅぽっ…
ぷちゅ…にちゅ、ぬちゅっ、ぬりゅぬりゅっ…

「ひァンッ、やめッ…! クリば弄るで、ねぇだぁ…ッ! オラまた、イッつまぅ、うッ…!」

アツキが軽くイッたのを悟り、乳首から口唇を離しナカから総ての指を引き抜くヒノケン。
だが素直に前戯を終えるのは惜しいという気分なのか、乳首と同じく性感により膨れ勃って愛液に塗れたアツキの陰核へ指を這わせて擦り上げると。
アツキは再び甘イキさせられてしまう。

…にちゅっ…

「…はあッ、はあッ…ン、も…ぅ…こンの…」
「ちょっとしたサービスじゃねぇか。…さてと」
「……あ…ッ…」

……ギシ…ッ…

熱が離れる、寂しさ切なさが込み上げる冷え。
コンドームを着けてくれるからなのだと頭では解っているアツキだけれど、理解とは別で。
自分の身体の何処にもヒノケンが触れていない事。
また急速に不安が増してゆく。

スルスルスル…ピチ…ン…

「待たせたな、まずは…後ろからな」
「え…う、後ろ…だか…?」
「ああ。さっ、早く尻を向けてくれよ」
「…ッとに、勝手な事ばッかぬかスでねぇだ!」

とは口にしながらも、アツキは身体を転がし。
ヒノケンが居るであろう方向へお尻を差し出して四つん這いになり、挿入を待ち望む鼓動。
濡れた自分の女性器にヒノケンの自身が挿入される直前は何時もドキドキする。しかし今のアツキには、ちゃんとヒノケンの自身であるのかというドキドキも。

「挿れるぜアツキ」
「…う、ン…ケンイチの…だなや…?」
「へっ…さて? もしかして違ったりしてな」

不安がるアツキに、ついつい悪い癖が出てしまう。
ヒノケンはすぐに挿入しようとしていた自身を割れ目には向かわせず、形の良いヒノケン好みの可愛らしいお尻に軽く押し付け、コレが入るのだと示すけれど。
触れている箇所は狭く、知った熱さだとは思うのだがアツキは確信が得られずもどかしい。

「ン…もう、こげな意地悪スるでねぇだ…ぁ…ケンイチ以外の、そンの…オ…オチンチンがオラに入る…とか、イヤでねか…ケンイチは平気なンか…?」
「…そんな訳ねぇだろ。お前のオマンコが悦んでいいチンポは、俺のだけだっつう…の!」

ぷちゅっ…ぐぷ、ん…にゅるるるっ…どちゅんっ!

「ひ、ぁ、アアンッ! いきなス、奥サぁッ…!」

キュンッ、キュウウンッ!

互いの性器に触れて良いのは互いだけ。
独占の想いを揺さぶられたヒノケンは意地悪な行為を総て撤回し、亀頭をアツキの女性器にキスさせるとすぐさま押し入り、竿の根本まで自身をナカに埋め込む。
ヒノケンの腰とアツキのお尻がぶつかる程、ずっぷりと咥え込まされたナカは自身を締め。
まるで自身の形を覚え直そうとしているかの様。

「クゥウ…っ、イイ締め付けだぜアツキ…へっ。たっぷり俺のチンポの形は覚えさせてきたつもりだけどよ、これからも忘れねぇように覚え込ませねぇと」
「バッカ…分かるだぁ…ケンイチの形だべ…ぇ…」
「本当か? どれ、確かめてみるとすっか」

ずるるる…っ…じゅぷっ、じゅぽっ、ぱちゅんっ!
どちゅっ! ずちゅ、ずちゅっ! ぱんっ、ぱちゅっ!

「はアッ、アンッ、はあアぁッ、ケンイチ、ぃッ」

じゅぽ、じゅぽっ! ぞりゅっ、ぞりゅ、ごりゅっ!

「ッあああ〜〜〜…! コレ、ぇ…おッきくて熱くて…硬いだけでねく、てぇ…オラの事ば全部、分かッとるオチンチン…ケンイチ以外なんか無ぇだ、ぁ…」
「へっ! お前のナカもちゃんと理解しているな、ヒダをゾリゾリ掻き回してやる度にヒクついて吸い付きやがる、俺のチンポだって歓迎してくれてるぜ」

アツキの腰をガッチリ掴んで始められる抜き挿し。
打ち付けられる激しさもだが、雌を決して逃すまいとする雄が持つ支配的な手で掴まれている腰からの熱にも、アツキはゾクゾクと快感の波を走らせる。
それでいて単に突けば良いという身勝手な抜き挿しではなく、どう抉り挿入し掻き回せばアツキの身体が悦ぶのか総て理解している自身の動き。
知っている、ヒノケンのセックスだ。

「はぁッ、はーッ…アンッ、アン…!」
「気持ち良すぎて腕ガクガクじゃねぇか、身体を支えてられねぇだろ。こっちに寄越しな」
「…え…あ、ひゃあンッ…!」

ぐいっ…!
ぱん、ぱちゅっ、ぱぢゅっ、ずちゅ、ずちゅっ!

与えられる快楽を貪るアツキは口を閉じる事も忘れて舌を覗かせ、荒い息を繰り返し喘ぎ。
次第に四つん這いを維持する腕の力が入らなくなってきている事に気付いたヒノケンは、アツキの腰から手を離すと両の手首を掴み取って後ろ手に引き上げ。
アツキの上体を浮かせて自身を抜き挿す。

ずぽっ、ずぽっ! ずちゅ、ぶちゅんっ!

「はンッ、アンッ、こげなカッコでぇッ、アンッ!」

腰を掴まれているのとはまた別、腕を奪われ更なる支配下の中で交わっている事に興奮し。
器用にアツキの腕を手綱を取るように引きながらナカを穿つヒノケンの力強さに、自らがどんな体勢を晒しているのか羞恥を感じながらもセックスに耽る。

「今の自分の姿なんか見えちゃねぇんだろ。そんなのを気にしてねぇで、いいからお前のナカに入ってるチンポの事だけ考えてろよ。そろそろイキそうだろ?」
「ふ、ぅンッ…イクッ、イッ…あ、あ゙ンッ!」

ぱちゅっ、ぱちゅっ! …ぐりゅっ、ぐりぐりっ!

「あ〜ッ! あ〜…ッ! ケンイチのオチンチン…っ…そげにナカでグリグリされッたらぁ、イクッ、オラもうイクぅッ、ケンイチ、ケンイチもぉッ…!」

アツキのナカを蹂躙する仕上げとばかりに。
ヒノケンは自身を深く埋め込んだまま、腰を回してアツキのナカを掻き回しよがらせると。
ナカの肉がしゃぶるようにヒノケンの自身に絡む。
絶頂を迎えるならば二人で、アツキの身体と心が願う。

「へっ…! いいだろ、出すぜアツキぃ…!」
「うンッ、あンッ、オラでケンイチもイクだぁ…ッ」

ずん! ずんっ! ぱんっ、じゅぽっ! …ずちゅんっ!
キュウッ、キュウウッ…! ビクッ、ビクン……ッ!

「〜〜〜…あアッ…! イクぅ…! ああァあ〜ッ!」
「ふっ、クゥッ…!」

ぶびゅるるるっ! びゅーっ、びゅるるるるっ!
…トプ、トプッ…トプン…ッ…

アツキは本能的にヒノケンと腰の動きを合わせて余さず快感を求め、奥に突き立てられた衝撃に近い悦によって絶頂し、ヒノケンの自身を一際強く締めながら背を反らし身を震わせ。
その締め付けによりヒノケンも射精に及ぶ。
コンドームの液溜まり部分に次々と注がれる白濁は、一滴としてアツキには及んでいないけれども、暗闇の中で過敏な感覚は注がれている隔たりを取り払い。
まるでトプトプと中出しされていると錯覚してしまう程、射精の勢いや量や濃さを感じた。

「…はぁあ…はーッ、はーッ…ふぅッ…」
「…腕を離すぜアツキ、大丈夫か?」
「う…ン…」

互いに少しは身体が落ち着いたところでヒノケンはアツキに声を掛け、捕らえていた腕を離して構わないかを問えば、まだ絶頂の余韻からか弱々しい声。
だが否定の意思ではない様子からヒノケンがアツキの腕を解放してやると、アツキは浮かせられていた上体ごとベッドに倒れ込み、何も考えずもっと余韻に。

…にゅるるるる〜…っ…ぬぽんっ…

「はあ、ンッ」

アツキから引き抜かれるヒノケンの自身。
亀頭が抜け出た刺激に感じてしまいビクンと身体を跳ねさせた後、徐々に足も崩してゆく。
足を伸ばして全身をベッドに投げ出し、このまま暫く身体を休ませてから浴室へ向かい洗い流したいと思うアツキ。だけれど───ヒノケンの言葉を思い出す。
「まずは」後ろから、そう言った事を。

「仰向けになりなアツキ」
「……ッとに…」

…ギシ…ッ…ゴロ、ン…

「へっ…それで? どうすりゃイイか分かるだろ?」
「む…ぅ、ふ…ふン…ほ…ホレ…」

ニチュッ…くぱぁ…っ…

普段のアツキであれば、最終的に従う事になったとしても躊躇いを見せたに違いない。けれどもアツキの目元は今もアイマスクで覆われ、自分の姿など見えず。
コンドームを新しい物に付け換えたであろうヒノケンに向かって仰向けになり、脚を大きく開いてみせれば、男性器を受け入れていた割れ目から淫らに濡れた音。

「へっへっ…素直で結構、もう少し延長な」

ぬりゅ…ずりゅっ、ずりゅ! ぬりゅっ、ぷちゅっ!

「あアンッ、アンッ、やめッ、オチンチンで擦るとか…あッ、ああ〜ッ! イ、クぅ…ッ!」

挿入前のお愉しみ。
ヒノケンは自身をアツキの割れ目にわざと沿わせ置き、特に陰核を重点的に擦り上げてやると、アツキの発情しきった身体はすぐさま甘イキしてしまう。
尚もずりゅずりゅと擦られ、イキ続けたところに。

ずりゅっ、ぬりゅ…に゙ゅるるる〜…っ、じゅぶんっ!

「いッ?! あ、アア〜〜〜…ッ!」
「おっと、誤って入っちまった」
「ンく…ぅ…嘘吐くでねぇだ…わざとだべ…ぇ」
「まぁ、そうとも言うな」

突然、ずっぷりと挿入されたヒノケンの自身。
アツキは喘ぎと共に達し、シーツを掴み身体を落ち着かせようとするが。ナカは勝手に締め付けヒノケンの自身を隅々まで感じ取ろうとしていて止まぬ甘イキ。

「とにかく今夜のシメだ、たっぷり味わえよ」
「ふ、ぅン…ッ…ケンイ、チ…ぃ…!」

ずぷっ、ずぷっ! じゅぷっ、じゅぶっ、じゅぽっ!
ぱちゅっ、ぱちゅんっ、ぱん、ぱんっ!

「アン、アンッ、ケンイチッ、オラもうそこまで大きいの来とるぅッ…! またイクぅ…!」

じゅぽっ! ずぷっ、ずんっ! ぱんっ、ぱちゅっ!

「ハアッ、アッ、はぁンッ! はーッ、ぁア…!」
「……へっへっ…」

…ぐい…バッ…!

「ひゃ?! なン…明る…ッ…目ぇ見え……え?」

ガツガツと正常位で突かれるアツキの目に。
突如として戻る視界。
見上げる視線の先には当然、自分を抱くヒノケン。
ヒノケンの───その、顔に。アツキは。

「ケン、イチ…」
「…! …ッ…出すぞアツキ、イッちまえ…!」

じゅぶっ、じゅぷっ! ずちゅっ…ぐちゅんっ!
…びゅぶるるるっ! びゅびゅ〜っ! ドプドプッ!

「ひァンッ! ケンイチぃ、ケンイチッ…イク、イクぅ…! ンふぁッ、ああア〜〜〜…ッ!」

互いの顔を、しっかりと焼き付けながら。
激しいピストンからの射精と、寝室に響く絶頂の声。
セックスの終わりを迎えた二人は暫し、荒く火照った呼吸を繰り返して余韻に浸る時間。
やがて伸びるアツキの腕はヒノケンを抱き締め、悦で溢れた涙で少しぼやけていたけれど。
燃える炎の様な赤が見えている事に、安堵を想った。

───…

「ヘヘン、偶になら…こげなエッチもエエだなや」
「チッ…しくじったぜ」

セックスを終えて、一緒にお風呂に入って。
先程まで熱く交わっていた跡をすっかり無くしたベッドに潜り込み、眠る前のお喋り時間。
大体は、自分の思い通りのセックスが出来て満足そうにしながらアツキを少し揶揄ったりするヒノケンと、それに反抗しながらも満足させられてしまった事は認めるしかないアツキ。
そういった構図になりがちなのだけれど。
何故か今夜はアツキの機嫌が良く、ヒノケンの方は満足してもいるが、といった複雑な顔。

「エッチで蕩けとるオラの顔を見ンべと思ったンだべけンど。オッサン逆に余裕の無ぇめンこい顔をオラに見せてくれただもンな、あれはエエ顔だっただな!」
「…うるせぇ! さっさと忘れちまえ!」

体位を正常位にして、フィニッシュへと向かうセックスの最中に剥ぎ取られたアイマスク。
そこで起きた事はほぼ、アツキが話す通りで。
あの時、確かにアツキも突然開けた視界と共にセックスで雌として仕上がり蕩けた顔を晒していたけれど。見上げた先には───それ以上に、見た事が無い程に余裕の無いヒノケン。
こんなにも自分を求める表情にアツキは愛しさが湧き上がり、ふわりと思わず笑みすら浮かべ。そんなアツキの笑顔を見て、ヒノケンは自分が今どんな顔をしているのかを理解した。
アイマスクで「見えない」事に油断していたのは、アツキよりもヒノケンの方だったのだと。

「ふふン、オラは絶対に忘れねぇだ」

モゾ…ぎゅうっ…

「……へっ…やれやれ」

ヒノケンの方に身体を向け、捕らえるように抱き付くアツキ。お風呂上がりの心地好い熱。
言いたい事はあるヒノケンだけれど、アツキが素直に抱き付いてくれたのだから仕方ない。
こうも絆されるとは、アツキの事が本当に。

「…オッサンの顔はカッコエエとか思わねけンど」
「いきなり何だ、んな事ハッキリ言うな!」
「だけンど…」
「……嬢ちゃん…?」

…ツツ…スリ…スリッ…

「オラはこン顔が好きみてだかンな、普段のオッサンも研究スとるオッサンもエッチの時のオラにちッと意地悪なオッサンも…さッきのめンけぇオッサンの顔も、同ズだけ好きだ」
「〜〜〜…っ…はぁあっ…?」

アツキの指が伸び、手のひらがヒノケンの頬へ。
心から愛しげに優しく撫で擦って、そんな。
そんな───何だその、その、可愛すぎる表情は。

「ええい、もう寝ろ! 寝とけ! 疲れてんだろ!」
「うわッぷ! …へへ…おやすみな、オッサン…」

今の自分の顔はアツキに決して見られたくないヒノケンは、強引にアツキを抱き寄せ胸元に顔を埋めさせて視界を奪う。アイマスクを使わせた時とは異なる意味。
ぎゅっ、と。ヒノケンのパジャマを掴む手。
あたたかな体温と少し早い鼓動とセックス後の気怠い疲労感に包まれたアツキは、やがてヒノケンの腕の中で眠りに就き、寝息を耳にしてヒノケンは漸く安堵する。
もう、表情を見られる事は無いから。

「…ンや…スー…スゥ…」
「…俺は、火は好きだけどよ…」

火は好ましい、赤く盛る炎も青く焦がす焔も。
だが、顔から火を出させられる思いというのは、別。
何時もと違い自分では全く制御が出来ず勝手に緩み上がってしまう口角と、収まらない顔の熱さを感じ、自らへ向けて苦い笑みを漏らしながらヒノケンも。
アツキの熱の中で眠り落ちていった。

■END■

2024.04.06 了

◆ヒノアツ4種で目隠しプレイ第二弾でした◎
ひっそり遅刻ホワイトデー…(笑)
clap!

- ナノ -