【Rockman.EXEA】
抱き締める腕は嘘をつけなくて
)ヒノアツ駅弁えっち第3弾



「…ッ…ふ、ぅ…くぅ…ッ…」

…ぐぷ…ずっ、ずぷっ…

夜のヒノケンの家の寝室内に響くアツキの声。
互いが内に持つ火を求めて交わるセックスの最中だと察するのは容易いが、アツキが漏らす声は何処かくぐもったような、耐えて堪えた性質に聞こえる。
何時ものセックスで上げる嬌声とは異なる種類、などと直接アツキに言えば「そげな声だとか、そもそも出スてねぇだ!」と、頑なに否定するのだろうけど。
何にせよ今のヒノケンとアツキは性交の真っ只中。
ただ、少し交わり方が普段と異なるだけ。

…ゆさっ、ゆさ…っ…
ずぷっ、じゅぷ、じゅぷっ…ぐぷっ…

「は、アッ、揺らスでねぇッ…オッサン…!」
「へっへっ…駅弁ってのもなかなか悪くねぇな」

セックス時の主導権を握るのは、どうしたってヒノケンになってしまう事もアツキには癪。
しかし、だからといって自分の方が積極的に事を進めるというのも、ヒノケンを求め誘ってしまっているようで、結局はアツキには気に入らないジレンマ。
セックスを否定しない時点で、と頭では解っても。
ともあれ、今夜の主導もヒノケンによるもの。
対面座位を促された事にアツキは比較的大人しい要求だな、等と思ったところで。口角を歪め上げたヒノケンは、アツキのナカへ自身を埋め込み身体を抱えたまま急に立ち上がった。
今夜は、駅弁に興じたい気分だったから。

ぐ、ぐっ…ずっ、ずっ…ずぷっ、ずぷっ…!

「あ、アッ…ふ、ぅッ…! やめねッ…か…!」
「小僧の望み通り揺らしてはねぇぜ? へっへっ…」

意表を突く派手な体位ではあるが。
自身をぐっぷりと埋め込めても、大きくは動けない。
だがヒノケンはアツキを抱え上げた交わりにも余裕があるらしく、アツキを揺らさずとも器用に腰を動かし、短い律動だけれどもナカを抉り刺激を与え。
堪えきれそうで堪える事の出来ない、もどかしさも思う悦の与えられ方に、アツキは抱えられてからずっと件のくぐもった艶声を漏らしているといった具合。
咥え込んだ自身の熱さが、より深く感じられ。
浮いたままの脚の不安定さに拠り所を無意識に求め。
アツキの腕は、ヒノケンの身体に抱き縋る。

ぎゅ、うっ…!

「へっ…必死に抱き付いてよ、可愛いじゃねぇの」
「…るッさい…べ!」
「おやおや、自分じゃ分からねぇか?」

ずちゅっ、ずぷっ、ずっ、ずちゅ!

「ひゃ、うッ…くぅッ、ううンッ…! ア、アッ…!」

少し強めに自身を動かされて声の艶色も増し。
同時にヒノケンの身体を抱き締める腕の力も増すしかなく、アツキには口惜しいだろうが必死に抱き付いていると揶揄したヒノケンの言葉の正しさが露呈。
けれども。
目の前の男が持つ逞しさを肌で感じ、胸が高鳴る自分が居る事も含めアツキは認めない。
それが二人の関係だから。

「オラはッ、好きで抱き付いてる訳でねぇだ!」
「……」
「…? …オッ…サ、ン?」

アツキの言葉にヒノケンは珍しく黙す。
即座に、やり込めるような事を言い返す筈なのに。
何か気に障る事でも言ってしまったのか、いや、そうだとしても自分が気にする事など無いと、素直になれないアツキはヒノケンを抱き締め同じく黙るしかなく。
ただ、ヒノケンの肩に顎を乗せていたのだけは幸いだったとアツキは想う、顔を見合わせ視線を交わしていたら不安げな表情を見られてしまう。

「…好きで、か」
「えっ?」
「お前の口から、俺を"好きだ"と言ってくる日は果たして来るのかねぇ。待ってんだがな」
「……はッ……な…何をぬかスて…」

真っ白になった思考を支える様に強まる腕の力。
どんな事を言い出すのか、それなりに構えていたものの紡がれた言葉は想像した以上で。
しかしながら本来、ヒノケンは分かっている筈だ。
「それ」に対するアツキの返答といったら確実に。

「…そッ…そげな日とか! 一生、来る訳ねぇべ!」

こう、返って来るのがアツキであって「二人」だと。

「だろうな。…構わねぇよ、だからこそ"その日"が来るまで、お前を傍に置くんだからな」
「…ッ…この、オッサン…は…ッとに…」

来ない日が来るまで、呪詛にも似た炎の言葉。
少々、趣味は悪いが互いの想いの「確認」。
こうした言葉が出るというのは───ヒノケンも素直ではないのはお互い様、性交の中でふと上がった不安という燻る火に、ヒノケンから「好きだ」と紡ぐ口も無いが故。それが二人。

…ぐぷ…みちっ、みち…

「…は、ぁ…オッサン…くだらね事ばぬかスてねで、続き…スるだ…おッ勃ててるでねか…」
「…へっ。それもそうだな、違いねぇ」

アツキのナカで増した熱塊の質量。
「確認」が違わぬ事に、安堵したのか。
雄の昂りをアツキは敏感に感じ取って熱い息を吐き、何より今の話から離れようと続きを促す。この場合は、自分から事を進めてもアツキ的に仕方がないのだろう。
一度、噛み締めるようにヒノケンは目を閉じ。
静かに口角を上げると、駅弁での交わりの続きを。

…ぐりゅっ…ぐりっ、ぐちゅ…っ…

「はッ、アッ、そげにナカをかまスッと、か…」
「" かます "? …ああ、掻き混ぜるとかって事か」

揺すられ縦で突かれると思っていたアツキだったが、動き出したヒノケンは腰を回して屹立した自身に円を描かせアツキのナカを掻き回し、熱を分からせる。
抜き挿しの激しさは無いものの、アツキが持つ青い焔とは異なる炎の存在をじっくりと刻む行為だが、ヒノケンはヒノケンで灼けるアツキのナカに焦がされ。
互いの火を貪り合う、二人のセックスの目的。
だから、そこに───「好き」という言葉なんて。

ぐちゅっ、ぐちゅ、ぐりゅ…ぐりゅんっ…

「はぁッ…はあッ…ふぅッ…く、うッ…」
「気持ち良さそうだなぁ? 小僧」
「…う…くッ…ン、ンな事…ね、ぇべ…ッ!」
「そうか? まあそうか、小僧はもっと激しいのが好みだもんな、こんなんじゃヌルいか」
「ま、ッた…! そげな意味で…!」

…ゆさっ、ゆさっ!
ずぷっ、じゅぷっ、ずちゅずちゅっ、ずぷぷっ!

「あ、アッ、ああッ、アンッ、アアッ!」

円を止めて身体を揺らされながら縦に貫かれはじめ、アツキはヒノケンの身体に縋ってその背に爪を立てながら、穿たれる度に感じた短い喘ぎを上げ。
背に走る心地好い痛みを受け止めるヒノケンは、耳の傍で上がるアンアンというアツキの善がり声に熱を加速させ、更にアツキのナカを自身で嬲ってゆく。

ずっぷ、ずぷっ、じゅぶっ、ずぷ、ぬぶっ!
…ぬりゅ…ずっ…ずりゅっ、ずりゅっ…!

「はァンッ、アンッ…オラのチンコ…間で擦れとッて…はアッ、ア、うあッ、あ〜〜〜ッ!」

ヒノケンとアツキの間に挟まるアツキの自身。
当たり前にガチガチに勃起し、鈴口からはとっくに先走りを溢れ零していて亀頭から竿から、それに互いの腹部も濡らして潤滑のようになっており。
脚を浮かせたまま縦で奥を突かれると、互いの間で擦れてしまいアツキに悦を与える状態。
ナカと自身への止まぬ刺激にアツキの喘ぎは一段、大きなモノになり、沸き上がる射精欲を抑える事が出来なくなってきている事が窺えた。

「イクッ、イク…! こげなのでオラ…イクぅ…!」
「へっ! 別に駅弁でイッたっておかしかねぇよ、そんじゃ俺もこのまま出してやらぁ…!」
「ンなッ、こンで出スとか…あ、ァ、アアあ…ッ!」

ずちゅ、ずちゅっ、ずぶっ…どちゅっ!
…びゅびゅーっ! びゅぶるるっ、びゅるるるっ!
ドプドプッ、ドプッ、ドプンッ!

「クゥウウッ…! このアツさ…堪らねぇ…!」
「ゔぁ、アッ…熱…ッ…あッ、ぁあ゙〜〜〜ッ!」

びゅるるっ、びゅくるるるるっ! びゅぶっ…!

射精欲が近付いていたのはヒノケンもだったか、アツキの「イク」という連呼に乗っかり自らも駅弁の体位のままアツキのナカへ射精に及ぶ宣言をすると。
パンパンに膨れた亀頭を可能な限りアツキの奥へと突き立て、遠慮なくナカで射精を行う。
注がれる熱さにアツキもまた、ヒノケンを抱き締め縋る腕を支えにしながら射精に至って互いの腹部を白濁で濡らし、堰切れた制御の出来ぬ迸りに身を任せ。
抱え、抱えられ、抱き合い熱の篭もる寝室の空気。
次第に聞こえてくるのは、まだ射精の昂りを抑えきれない肩で息をするような呼吸ふたつ。

「…はぁ、はーッ…はあッ…ふぅ…ッ…」
「ふーっ…ふうっ…へっ…ベッドに下ろすぜ」
「ン…分かッ…いンや、サッサと下ろスだオッサン」
「へっ! まったく、すぐ可愛げが無くなりやがる」

何処かほろ苦さを含む笑みを浮かべたヒノケン。
抱えているアツキの身体をベッドに近付けて背を着けさせてやれば、漸く脚も地の感触を感じる事が出来、アツキはやはりホッとしたような表情をしたが。

ぐぷ…ぐちゅっ…

「〜〜〜…ッ…オッサン…早く抜かねッか!」

まだ、アツキのナカにはヒノケンの自身。
けれども何となくだが察してもいた、萎え始めるどころか自身は今なお屹立を保って更なる射精を行おうとしているのを感じ取ってしまったし、アツキもまた。

「へっへっ…駅弁は悪くなかったけどよ、お前のナカを突き足りねぇ。お前もそうだろ?」
「…ッとに勝手な事をぬかスだなや。オラは…オッサンがほざいとるだけで、知らねぇだ」
「へっ…ま、それでイイけどな」

素直じゃないアツキにヒノケンは目を細め。
アツキの腰を掴むと、合図無しにセックスの続き。

ぬるる…じゅぽっ! じゅぽっ! ずちゅ、じゅぶっ!
ぱんっ、ぱんっ! ばちゅんっ! どちゅっ!

「はァンッ、アンッ、アンッ…! エエッ、エエだオッサン…ッ! だけンとぉ…ッ…な、ぁ…」
「…どうした?」

交わり始めてしまえば蕩けた声を出しはする。
最も、アツキの言い様はあくまで自らの為。
その中で不意にアツキの口から漏れた何かを求める声に、ヒノケンが耳を傾けたところで。
するりと広げ伸びてきたのは、両の手。

「…オッサンのこ、と…抱き締めさせるだ…」
「……へっ」

腰を掴んでいた手を離してアツキに覆い被さると、広げられていた両手がすぐさまヒノケンの首に回され、赤い炎を取り込もうとするかのように強く、強く。
───抱き締める腕だけは嘘をつけないから。
腕の強さが、もっと自分を求める様。
ヒノケンは自らの白濁に塗れたアツキの奥を深く穿ち、焦がし合う性交へと耽っていった。

■END■

2023.10.03 了
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