【Rockman.EXEA】
貴方の味なら全部知りたい
)指フェラが含まれています



「…ッ!いってぇ!……やっちまったか」
「ふにゃっ!?…なッ、なンね!大声ば出ス…あっ…」

穏やかな天気の、休日の昼下がり。
まだ季節は冬だけれども晴れて陽気すら感じるこんな日は一人と一匹で連れ立って、のんびり外を散歩でもしたかったのだけれど。
残念ながらヒノケンには研究用の作業が有る模様。
多くの事がデータでやり取りする様にはなったけれど、現物の資料にも研究を形として残す役割は残っており、次の発表の為にコピー紙を扱って資料を作成中。
リビングのテーブルに内容を改めて確認しながら作業を行う為かノートパソコンを開き置き、脇には多くのコピー紙を置いて資料を作るヒノケンに。

「…リビングにオラ、居ねほうがイイだか?」

等と、普段の威勢は何処へやら。
あんまりにも寂しそうにアツキが言うものだから。
大人しく出来るなら居て構わないとヒノケンは告げ。
それを聞いたアツキは、ヘタレていた真っ白な猫耳と尻尾を即座に嬉しそうにピンと正してヒノケンの隣にちょこんと座り、約束通り作業をじっとしながら見守り待っていたけれど。
次第に資料作りの感覚を掴んだヒノケンは、一定のリズムを刻んでコピー紙を扱い始め。
室内にも注ぐ外の陽気も手伝い、紙を捲り取る音が心地好く、気付けばウトウトして───
そこで急にヒノケンが声を上げたのだ。
ビクッとアツキは跳ね起き、隣のヒノケンを見れば。

…ツツ…ツゥッ…

「え、わッ、血ッ?血ぃ出とるでねがオッサン!」
「だから、やっちまったって言ったろ」

流れる鮮血はヒノケンの指から。
突然の赤を目にしてアツキは反射的に慌てるが、当のヒノケンの方は動揺する様子は無い。

「こうやってコピー紙で資料を作ってると、何回かに一回とかでやらかしちまうんだよな」

そう言うヒノケンから、怪我の原因はコピー紙で。
もう何度か起きている事で慣れているのだろう。
しかしアツキにとっては初めての出来事。
切った原因を作ったコピー紙の縁には赤が滲み、その紙はもう使えないからかカーペット等に零れぬよう、ポタポタと滴り始めた血をそのまま原因のコピー紙に落とす様子を見詰め。
どうしてか、とてもドキドキと心臓が鳴る。
本当に大丈夫、なの?

「…派手に流れてるみたいに見えるが、所詮は紙だからそんな傷は深くねぇよ。小僧らしくねぇから、そんな心配そうなツラすんな」
「べッ、別にッ!オッサンの心配なンかスてねッ!」
「何だよ、寂しいモンだなぁ」
「う…いや…ちっとは…心配スとるけン…と」

本気で寂しいと思って言っているとは聞こえないヒノケンの言い方だが、そう言われてしまうと内心では心配していたアツキには悪かったかなと感じさせ。
結局は、怪我を心配している事を打ち明けた。

「へっへっ。そうかそうか、心配してくれんのか」
「る、るっさいべ!ほンッのちっとだけだかンな!」

にっと笑いながら指を切った側とは反対の手で、アツキの頭をポンポンするヒノケンに。
流石に少々チョロかったとアツキは気付き。
そんなんじゃないと勢いを見せるが、優しく猫耳ごとポンポンされるのはキライになれず。
むうっとした顔と、嬉しい顔が半々に。

「さておき流石に止血しねぇとな」
「スぃ…止血だか?」
「血ぃ止めるって事だよ」
「!…そンなら、オラ知っとるだ!野良ン時は余所の猫と喧嘩ばスた時、血が出つまったら…こうスて止めとっただ。止血っちゅうンだなや」
「は?いや、おい小僧…」

アツキが何を言い出しているのか、ヒノケンにはすぐには理解が出来なくて動きが止まり。
そんなヒノケンを置いて、アツキは怪我をした方のヒノケンの手を迷い無く取って寄せ。
まだ赤が滴る───指先を。
静かに、口へと含む。

…チロ…ペロ、ペロ…

「(俺の方からとは一瞬、考えたんだが…まさか小僧の方から進んでって事になるとはな)」

その行為を、アツキは無垢な気持ちで行っている。
流れ出る血液に一生懸命、舌を這わせて。
しかし突然アツキの動きが止まり、指を離す。

「……どうした?」
「つ、つい舐め始めッツまったけンと…オラの舌ば、もスかスて痛いンでねぇかなって…」

人の舌より、サリサリとした心地のアツキの舌。
言われてみればそうなのかもしれないが、アツキの方から指を舐め始めてくれた事に何処か昂揚した想いを抱いたヒノケンには関係無く。
そんな事よりも、続きを。

「痛いとかは無ぇよ、好きにしな」
「…ンだか?なら、エエけンど」

ほっとした表情と、ぴこぴこしている猫耳。
ヒノケンは少しだけ、「指を舐めさせたい」中に邪な思いを含んだ事を悪いなと感じたが。
ジワジワと───やはり、火が点いてしまう。
まだ、アツキには気付かせないけれど。

「って、次から次へと滲ンでるでねぇか」

アツキが舌を離した短い間にも、血は止まらず。
舐める許可を得たアツキは再び指を口に含む。
改めて舌を傷口に這わせて血を舐め取るアツキだったが、続ける中でこの行為に対して徐々に何か"近しい事"が記憶から呼び覚まされていった。
箇所は違えど、ヒノケンの一部を口に含む行為。

「(なン…か、変な気分サなって…コレって…?)」

…ちゅ…ッ…ちゅぽ、ちゅぷ…

「(…へっ…)」

その変化をヒノケンが見逃す筈は無く。
ただ舐めるだけの行為から、アツキは指に吸い付いたり僅かに抜き挿す様な動きを加え始め、表情を窺えば心なしか目はトロンとし、尻尾が振られ。
重ねているに違いない、フェラチオをした時の事を。

つ……じゅぷっ!
…ちゅぷっ、じゅぷ、じゅっ…

「ンむッ?!…ふ、ンんっ…!」

にぃっと、先程アツキの頭を撫でた時よりも口角を上げて笑んだヒノケンは、まったく怪我などしていない別の指もアツキの咥内に捩じ込むと。
驚いた様子のアツキには構わず抜き挿し。
時には猫舌を指の腹で、にむにむと可愛がる。
最初は驚いた拍子にヒノケンの指に軽く噛み付き、何をするのかと反抗したそうな素振りを見せたアツキも、咥内を弄ばれる内に大人しくなり。
蕩け始めていた目は、すっかり熱と色が宿って───

……ちゅぽ…んっ…

「ぷあッ!…い、いっきなり何スるだオッサン!」

このままイケナイ気分に支配され掛けたところで、急にアツキの咥内から指が引き抜かれ。
正に我に返ったアツキはすぐさまヒノケンに抗議するも、朱に染まる頬は簡単に戻らない。
愉しげなヒノケンの笑みは変わらずのまま。

「いやぁ?途中で"そういう事"を連想したみてぇだから、俺は乗っかってやっただけだぜ」
「そッ!?…そげな事っちゅうン、は…」

どう見ても「バレた」という反応のアツキ。
先日、教えられた口での夜の行為を思い出しながらヒノケンの指を咥えていたと、これでハッキリさせてしまっただろう。
頬どころか真っ白な猫耳や尻尾も朱に染めそうになりながら、ヒノケンの顔は見れず背け。
きゅうっと唇を噛み締めた。

「へっへっ…ま、お陰で血は止まったぜ」

背けたアツキの視線の先にヒノケンは切った指先を見せてやると、まだ少しだけ赤は見えるが流れる落ちる程の量にはならず留まって。
チラと見たアツキは何も言わなかったが、むくれ顔にちょっとだけ安堵が浮かんだ気が。

「それにしても思った以上にイイ咥えっぷりだったな。お前が好きなスイーツの生クリームでも掬ってから、しゃぶらせてやった方が良かったか?」
「…オラは甘いのスキだけンと。…そげな事ばスたら、オッサンの味が分かンねくなるだ」
「ほーお?」

意外、と言うべきか。
余計な言葉を追い打ちしがちなヒノケンの悪癖に、アツキは食って掛かるでなく話に合わせてくる様な返し方をしてきたのだ。
それも、ヒノケンの「味」を覚えたい片鱗まで。

「こっちに来な、とっくにだが休憩だ」
「は…ちょっ、オッサ…」

アツキの身体をヒノケンは抱き寄せ。
ソファに座る自分の身体の上に向き合う形で乗せると、アツキは当たり前の様にヒノケンの首に腕を回して抱き付き、体勢を収め落ち着く。

「俺の味、か。だが今回は単に血の味だったろ」
「最初はな、喧嘩スて口ン中を切ッツまった時と同ズ味だったけンと…だけンと段々、違うって思っただ。…違わねかったとスても、オッサンの味だべ」
「…そうかい。なら俺の味を全部、覚えろよ」
「全部って、そげに言ってイイだか?」

そう言ってアツキは抱き付きを少しだけ緩め。
今日のヒノケンの服は、所謂ざっくりニットと呼ばれる襟ぐりが広めのローゲージニット。
だから、首元の肌は見えていて。
ゆるりとその肌に顔を寄せ───歯を立てる。

……かみ…かみ、かみっ…

「おいおい、言う割に随分カワイイ噛み方じゃねぇの。それで俺の味を覚えられんのか?」
「ふ、ふン。…充分、分かるだ。食べて訳でねぇ、そげなオッサンの手に入れ方は違うだ」
「へっへっ…成る程な」

そうだった、何時だってお互いの根底に有るのは。
「自分のモノだから」という所有と独占と、執着。
貴方の味を全部知って、自分のモノに。
そうして貴方の味を忘れる事が出来なくなってしまえば、自分も貴方のモノになれるから。

■END■

◆怪我をした指を舐めてあげるところからの、指フェラコンボはやっぱり良いものですね◎
ヒノアツは何かこう、キスマークというよりも噛み跡を残すような方が似合うのかなとか。
ヒノケンからも、アツキからもね。
アツキのカミカミは、オッサンは自分の!って噛むけど、本気では噛めなくてヒノケンに内心で可愛いじゃねぇのって全然余裕に思われる感じ。
一方でヒノケンは基本的に手加減はするけれども偶にガチで噛み付く、そんなヒノアツ観。
ところで今更ですが、白猫アツキはちょっとだけ他のヒノアツのアツキに比べて幼いというか、知識が足りない風にして書いています。にゃんこなので(…)

2022.02.02 了
clap!

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