ぱいなぽー王子の受難
「ひぃ! ……って、またお前か」
後ろから不気味な音がして、ビビる振りをしつつ振り返ると、そこには並盛高校生徒会書記の姿が。
面倒なやつ、嫌いなやつ、手を出すやつには本性を出す。色々な意味で三拍子揃っている骸には、何も隠さず睨みつける。
「クフフ。その鋭い視線、たまりませんねっ」
「笑顔で、しかも大声で校庭でその台詞。お前はすっかり変態になったようだね骸」
「クフン。そんな蔑む言葉と呆れた視線、僕はますますあなたを好きになりました!」
「ごめんよ骸。俺はお前の変態を見抜けてなかったみたい。ヒバリさぁあん!」
埒があかない。これの敵、もとい害虫処理班はどこ!?
「やあ、綱吉。今日も素敵なむ」
「ね、ヒバリさん。今の素敵な言葉聞かなかったことにしてあげるから、あのぱいなぽー王子咬み殺して?」
「明日、お茶に付き合ってくれる?」
「……いいよ」
「クフフ。綱吉くんさあブッ」
「咬み殺す」
すぐ後ろから抱きつこうとしていた骸を殴り飛ばし、ヒバリさんは俺に言う。
「明日、昼休みに待ってる」
「ふふっ。分かりました」
こんな男勝りな女なのに、と思うがお茶に誘われて悪い気はしない。ヒバリさんは骸と違い、セクハラに訴えることをせずに素直に口説いてくれる。
骸も、素直に口説いてくれたら、もうちょっと違うのに。そんなことを、思った。
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愛されるのは嫌いじゃないし、俺は殴りたくないからヒバリさんを呼ぶ。そんなズルい女なのに、ね?