お菓子ちょーだい!
先生の場合
「おい、ツナ」
トリックオアトリートだと言う前に、ポイと手に乗せられた小さな包み。
「はい、あげる」
にっこりと笑う綱吉は、何を言うか分かってましたという顔をしていた。
「……チョコか」
ふわりと包みから香る匂いは、俺が好きなもの。
「好きなんでしょ。甘いもの」
「なんで知ってんだ」
「とあるナッポーとチョコ語ってたらしいじゃん。そんな良いもんじゃないけど、たまたま作ったから」
「……ふん!」
骸はあとでシメ上げねばならない。
「たぶん、美味しいよ?」
ニヤリと、そういう綱吉の顔はいろいろと見透かされてるみたいだった。慌てる顔が楽しみだったというのに……。
仕方ないから綱吉のだらしないネクタイを引っ付かんで、その唇を奪うことで手を打った。
「……やっぱタダじゃ転ばないかー」
「顔真っ赤にして何言ってやがんだ。俺様を出し抜くには、百万年早ぇぞ」
「ちぇー!」
綱吉はまだ諦めてなかったのか、すかさずトリックオアトリートと言ってきた。
「ほら、飴だぞ」
「ってぶどう飴……まあ、いっか!」
ポケットに入った甘すぎるぶどう飴を渡しておいた。
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小生意気な綱吉が好きです。