お馬鹿ふたり
スレツナと青いパイン

 パインがいた。それはもう立派でムカつくくらい背が高く、美人なパインだ。そいつは優れた容姿をしているにも関わらず、変な笑い方でさっきから俺の後ろを歩いている。
 いい加減無視しきれなくなり、くるりと振り返った。

「骸! またお前ストーカーかよ!?」
「何故分かったんです? ああ、愛の力ですねボンゴレ!」

 俺はあえて酷い言い方をしたのに、あいつは振り返って言葉をかけたことに喜んで、素晴らしい笑顔を浮かべていた。ああ、笑顔だけなら美人なのに。

「ちっげぇよ! んなわけあるかぁ! そんな笑い方するやつが他にいてたまるか!」
「クフフ。これはこれは、笑い方すら覚えていただいたなんて光栄です」
「誉めてねぇえ! だぁあ誰だよ変態を外に出したのは!?」
「もうお忘れですか。あなたでしょうボンゴレ」

 俺か。あれは間違えたのか。クロームが可哀想だと思って、あいつを出した俺が間違えたのか。
 そうじゃないと思わせてくれたクロームの笑顔は、もはや遥か彼方に見える。

「そうか、なら生かすも殺すも俺次第だと思わないか骸」
 ぎゅっとグローブを着け、骸に近付く。
「……え、ボンゴレ?」

 いや、骸がどうしたいかは分かってる。だからと言って、ストーカーされて良い気分にはなれない。

「骸。お前がどうしたいかは分かってるけど、ストーカーじゃなくちゃんと堂々と言えば良い」
「え、いや、違いますよ! 僕はただボンゴレをからかいに」
「へー」

 なら普通、嘲笑うだろう。貶されたままにしないだろう。

「それに、ボンゴレの行動を把握するためですっ」
「ほー」
「信じてませんね!?」
「うん」
 だって、さっきから余裕無いんだもんお前。
「ち、小さな男のくせに生意気な」

 あ、ダメやっぱり待つのやーめた。小さいなんて、それ一番気にしてんだよ馬鹿パイン!

「骸、冷たいのと熱いのどっち?」
「ちょ、死ぬ気はズルいです。あちっ冷たぁああ」

 ちょっとはすぐ怒るのを止めないとと思ったのは、房を死守しながら黒曜に帰る骸の背中が小さくなったときだった。

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 ごめ、イケメンにできない!





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