いくぞえんまくん!
いつも通り、ドジを踏みながら帰るとアーデルがため息を吐いていた。また、ジュリーにキツくしてしまって落ち込んでいるんだろう。
「ただいま、アーデル」
「ああ、炎真か。怪我は無いか?」
「ん。ツナ君を見習って絆創膏持ち歩いてるから」
「そうか……」
覇気がない。いつものアーデルは、絆創膏を剥がして消毒をするのに。やっぱり、何かあったんだ。いつもいつも、ジュリーもよくやるよね。
「あ」
「どうしたんだ?」
「ツナ君の家行くんだった」
一緒に勉強を見てもらうんだった。えっとリボーン、くんに。
「そうか。沢田との約束は守らないとな。行ってこい」
「うん! 行ってきます。あと、仲直りしなきゃダメだからね。アーデル」
「えええ炎真!」
鉄扇を投げられる前に、家を出た。しかし、やっぱりというか、犬に追いかけられた。
バウッ!
牙をギラギラ光らせ、追ってくる犬は、僕になにか恨みがあるのかな。
「うわああ!」
「エンマ君!?」
「ツナ君、来ちゃったんだ」
迎えに来てくれたのは嬉しいけど、お互いトラブル吸引体質だから、タイミング悪いよね。
「ああっ。また犬ぅー!!」
「逃げようツナ君」
「決め顔で言ってるけどもう逃げてるよ!」
うん。知ってる。
「わ。距離縮まってるよツナ君」
うーん、後数分で追いつかれそう。もうすぐツナ君の家だけど、ギリギリかなあ。
「ひいぃ! ってエンマ君落ち着いてない?」
「いつもだもん」
「だからって、あ! 家だよ!」
おお、今回は襲われずにツナ君の家に着くかもしれない!
「しゅ、俊敏な動きで、いくっよ!」
「う、ん!」
せーの!の合図でツナ君の家に駆け込み、ドアを閉めることに成功した。
ツナ君は隣で、恐怖から深呼吸をしていた。僕も、恐怖から息が乱れていた。
「はあ、よか、た……」
「ご、めんね。ツナ君、巻き込んで……」
「いや、お決まり、だし」
そう、なんか毎回追いかけられちゃうんだよね。慣れさせてしまったような気がする。
「さ、リボーンが待ってる」
「う、うん」
でも、まあ、お互いトラブル吸引体質なんだし仕方ないよね。
__
えんまは、諦めています。