止まらないブラコン編
「綱吉、今日のやつで……って何してんの」
「何って、写真整理」
「いや、その写真整理は良いの。何で、俺の写真が?」
「え? 隠しどぶっ」
隠し撮り、の言葉が理解できたら、つい右手が綱吉の頬に食い込んでいた。うん、兄弟だからって隠し撮りはいけないよね。
「ツナ痛いっ」
「殴ったもん」
殴ったんだから痛くなきゃ意味がない。当たり前だろう。本気だし。
「隠し撮りくらいで!」
「綱吉なら隠し撮りしないで良いのに!」
全く!恥ずかしいけれど、綱吉なら隠し撮りしないで良いの。堂々と撮ってくれよ。知らないうちにされるのは気分が悪い。
「……え? そうなの」
「そうだよ! 隠し撮りの方がムカつく!」
「分かった! ならオレは堂々とカメラ構える!」
「そうして。あ、お前は違うからな」
ビシッと指差して、窓の向こうの獄寺君らしき人に言う。さっきからビシビシ視線を感じる。休日の昼間に、何故カメラ構えて人の家の窓に貼り付いてるんだろうか。きっと他人の空似だ!
「あー隼人はまた窓に貼り付いて」
「……綱吉、やっぱりあれは獄寺君なのかな」
「オレも最初の二週間は他人の空似だと思ってたよ」
兄さん……!
「とりあえず、今日は家でのんびり予定だから、悪いけど獄寺君には帰ってもらおうか」
「んじゃ、ミルクティーお願い。オレが片すよ」
綱吉はグローブを着けて言う。ああ、なんなんだろうかこの虚しさ。
「分かった。んじゃ、しばらくしたらミルクティーとお菓子持ってくるよ」
「オーケー。三分で終わるから」
しばらくしたらヒバリさんも来そうだけど、綱吉のことだから有言実行するだろう。
部屋の扉を閉めた途端に、鈍い音が響いた。
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ブラコンの度合いは綱吉の方が強いみたいですね。