天然、ありえない!
本日も、このクラスの有名天然恋人未満は、もどかしい関係を続けています。
「ツナ君、この間はありがとう。家まで送ってくれて」
ああ、今日も始まったか。クラスの一同は二人――京子と綱吉――の会話に耳を傾ける。
「いや、女の子に優しくするのは当たり前だからね。お礼言われることじゃないよ」
いつのまにか、ダメツナと呼ばれる彼はフェミニストに目覚めたらしい。そういえば、最近の彼は女の子の荷物を持ったり、力仕事を代わったり、としていた。
そのせいか、最近沢田がモテるのは!などと男子は一瞬思考がズレた。
「そういえばね、明日母さんがホームパーティするらしくて」
「ツナ君のお母さんは料理が上手いもんね」
「それで、そのパーティに」
「パーティに?」
言葉に詰まる綱吉に、クラスの一同は思う。何故お前らはそんなに初々しいんだ!もどかしくてこっちが恥ずかしい!と。
「パーティに、来て欲しいんだ、けど……」
真っ赤、本当に、真っ赤に染まる顔で、言葉を紡ぐ綱吉。その雰囲気に、京子も少し照れている。
どこの青春グラフィティなのこれ!恥ずかしい止めてくれ、クラスの心の叫びは二人に聞こえていない。
「あ、えっと……うん。行きたい!」
「ほほ本当に。京子ちゃんありがとう。あ、明日は家まで迎えに行くよ」
京子の了承の返事に、綱吉は身に染みついた言葉を言った。
「そんな、ツナ君に迷惑でしょ」
「ううん。こっちが誘ったんだからそれくらいさせてよ!」
「分かった。待ってるね、ツナ君」
会話が終わり、クラスの一同は安堵のため息をついた。
どうやらまだ、天然恋人未満の二人はくっつかないらしい。
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天然過ぎてまわりが恥ずかしい!そんなお話。