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 高校生男子、というのは本当に子どもの最後を味わうチャンス。ここを過ぎれば、将来像を具体的に固め、自分の勉強を始めなくてはならない。
 それが分かっているからこそ、将来の道を勝手に決められないように、綱吉は策を考えていた。
 そういう今は夏休み直前の間の抜けた授業中であるが、そんなことは綱吉には関係無い。傍迷惑にも家庭教師という存在のおかげで、綱吉自身は修士課程までの勉強を終えていたのだから。そんな綱吉を何か悩んでいるのでは無いかと、そわそわチラチラ見ているのは、彼の自称右腕、獄寺だ。
 隣に座る主人が授業そっちのけで考え込むなど、何か大切なことに違いない!と、獄寺は間違いでは無い見当をたて、こそこそと話しかけた。

「沢田さん。どうされたんですか」
「……大したこ」

 言いかけた言葉を引っ込め、綱吉は獄寺に提案した。

「昼休み、応接室行こうか」
「わ、分かりました」

 獄寺は主人の提案に、了解の返事をした。が、何故応接室なのか。とも思った。
 応接室、それは彼らの知り合いの中でも恐ろしい人間が、支配拠点とする場所だからだ。ここ並盛の支配者とも言える雲雀が、暴れているイメージしか無いが。
 主人には何か考えがあるのだろう!獄寺は、意外とポジティブかつ、楽天的思考の持ち主のようだ。そんな獄寺を遠目で見て、何かあるのなーと、鋭い考察をしたのは野球一筋の山本。いつも連んでいる二人を、何気に観察しているようだ。綱吉はそれから授業そっちのけで自分の考えに集中。何気に何回か当てられたのに全て勘で答え正解してしまい、クラスメイトにクラスの七不思議に加えられたのは、綱吉の耳にしばらくして入ることになる。
 この集団が、並盛の中でも最強で最悪の問題児集団になるとは、この並盛高校の生徒たちは知らなかった。



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