矛盾を抱えた氷上デート
2014/03/01 18:00
「……なあ」
「……ん?」
「……お前が言い出したんだよな、ここに来たいって」
「……うん」
「……じゃあなんでお前、滑んねーの?」
「っそれは、その…あの……って何押してんだよっうわっ!うわわ!!あっぎゃあああぁぁ」
「あー……。そういうことか」
「そういうことかじゃねーよ!た、助けて新一ぃぃ……ふごふっ!!」
「……」
「……」
「鼻、真っ赤だけど。大丈夫か?」
「おかげさまで。良い経験が出来ました」
「そらなによりだ」
「……」
「……」
「……なんだよ」
「いや。お前にも苦手なことがあるんだなぁと思ったら……な」
「俺だって知られたくなかったよ。……ったくなんでこんな所で展示なんかするかなぁ……」
「さあな。……で、対策は練れたのか?」
「まあね。別に滑れなくたってどうとでもなるもんなんだよ」
「あっそ。じゃあもういいな。ほら、滑んぞ」
「いやいや今までの一連は何だったんだよ!俺こういうのホント無理だから!!」
「……だったら何でそんな格好してんだ。それ、下見用の変装じゃないだろ」
「…………付き合ってくれんの?」
「そのつもりでその格好なんだろ。ほら、掴まれよ……みずき」
そして彼は彼女の耳許に囁いた。