もうすぐ謙也の誕生日
「…へ、っくしゅ!」
「謙也、カゼ?」
「んー、どうやろなぁ。わからへん…」
「最近忙しかったからじゃない?」
「まあ、レポート提出ももうすぐやしなぁ」
「ちょっと休んだら?」
「いや、平気やって」
「でも、最近バイトも毎日行ってるでしょ。何かあったの?」
「あー、ちょっとな、欲しいもんがあんねん。でも大丈夫やから。ありがとな」
「……」
「これは遠まわしの拒絶ということでしょうか…」
「謙也が名字ちゃん拒絶するなんて、世界滅亡のお知らせや思うで?」
「少なくとも私の世界は滅亡しかけているよ白石くん」
「そういえば最近アイツ、遊びに誘ってもバイトやからーの一点張りやなぁ」
「そこまでして欲しいものって何なんだろう。高いものなのかなぁ」
「さあなぁ。わからんわ」
「でももうすぐ謙也の誕生日だし、何かプレゼントしてあげたいんだけど」
「ほんなら、私をプレゼント!でええやん」
「うわ、出ました」
「うわって」
「それはさすがにベタすぎてスベるでしょ」
「案外そうでもないと思うで?謙也ベタ好きやし、何より名字ちゃん大好きやし」
「うーん。謙也が大事にしてくれるのは分かってるんだけど、最近構ってくれなくてさすがに寂しい」
「それ、謙也に言うたげてや」
「謙也頑張ってるのにそんなこと言えないよ」
「(…あ、なんや分かった気がする)名字ちゃん、もうちょっとうぬぼれてもええんちゃう?」
「ん?何にやにやしてるの白石くん」
(誕生日プレゼント、どうしようかなぁ…)