どうも最近、彼は私のものだと云う恥ずべき驕りで躍起になり過ぎている気がした。どれだけ背伸びをしようとも一向に幼い儘の胸の内側はあっという間に許容量を超え、どろどろとした見るも醜い嫉妬や決して善くはない複雑怪奇な感情でいっぱいになって仕舞う。

そうして我慢出来ずに、「あなたは恐ろしいひとだわ」と彼に零してしまったこともあった。その時の彼の、少なからず、でも確かにざっくりと深く深く傷付いたような哀しげな眼と、壊れた玩具みたいにぎこちなく歪んだくちびるが愛おしくて、夜な夜な瞼の裏に彼を焼き付けている。またあの彼が見たい、私に拠って傷付いた彼が見たい、いつも私には穏やかなだけの表情を苦悩に歪ませたい。

こんなことを望むのは可笑しなことなのでしょうか。けれど私は何としてでも僅かでも長く、彼の眼に映り続けたいのです。それが、頭の螺子が緩んで落ち掛けた、気の狂った子どもを憐れむような惨い眼差しでも構いません。

彼は私を些か過剰に、そして完璧に護り過ぎたのです。今は子どもでも、いつかは一人の女になるというのに。







(2011.03.30)
子ども扱いをやめて
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -