ずっと繕ってたんだ
髪の1本から足の指の爪先1ミリも
肌の色も思考の癖もものの見方も
ありとあらゆる私だと思ってたもの
私だったものが
音もなく

がらがらとくずれ落ちて
瓦解していく

うつくしくむきだしのおぼつかない

そして私は私になっていったんだ

不安やおそれが遠ざかっていったんだ
未知のさなかに在る圧倒的力を
なすすべもなく全力で見る
それだけさ
そうどんな地面に立ってたって
私にできるのはそれだけなんだ
だからこわいものなんかなくなった
私はただの私だった

たったの十数年で身につけてきたがらくたを
ひとまとめにうちすてて
この身ひとつで生きてくしかない
そのためのからだなんだ
着飾りも虚栄も財産も友も師も敵も
なにもなくてもこの世はこの世

なにも知らなかった私が
すこしずつ知っていったことが
すべてくつがえされていき
さらに残った滓みたいな私が
はだかで生きていくことが
私がしたかったことだ

もうなにもいつわらず生きていきたい
まだまだこの仮面をひきはがして
全力で打放って生きてきたい
すべてをさしだして
この世
なにも持たず
なにも身につけず
原始の細胞ではじめよう
ここからが私だ



AM
2024/07/17





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