ここに書いたものすべてが まぎれもなく生きていた一分一秒だった だれかが馬鹿馬鹿しく素通りし あまりに過敏であると忌避し いやに生々しいとおそれて離れ まれにいやあわかるよと拾ってくれる 反応がどうであれ すべての文字がはみだした私の一部 いまはもう違っていても ただひとえに私だったものたち 今朝はアラームよりも早く目が覚め 夢のなかでいまは会えない人と親しくしていた 愛は目に見えないので 大きくも小さくもなれる 感情はけっして目に見えない物質かもしれないが 感情はすべて 人の顔に、かおりに、仕草に、影に、言葉に、指先に、 声に、視線に、行動に、にじみでているものだから ほんとうは物質のすべてか 感情の具体かもよ だから私はやっと どうしてそれがそれであるのか それが私のなかにあるのか わかったんだ ドロドロも せんさいも ゆたかさも 愚かさも 私 かき集め、ほどき、地に返す いつか私が土に還った日に 居心地悪くならないよう よくなじむように すべては私だから 私でないものでさえ この地上にあるものはいずれ 私に帰っていくから ここにある無数のおびただしいけがれも清もまじった文字たちが 私が落としてきた血と涙の結晶みたい 自分を恥じた夜でさえ この世の一部 これも地面によくまぜておく 私はいつかここに還るから 私はいつかここに帰るから どれほど根がないと思っていても 愛したものたちのもとへ帰る 憎んだものたちのもとへ帰る 疎んだものたちのもとへとさえ私は帰る 帰らざるをえない この地上のどこかでまたこれを読んでいる私は そこでまたどんな感情を返しているのかな たのしみだ いつか私が土に還った日に 2023/11/01 ← → |