毎朝、
毎朝、
朝がくるのがこわかった
15の私は
早く死のうとおもっていた
けっしてだれにもさとられず
そうでなければ引き止められるのはわかっていた
死にたい気持ちをだれかに理解なぞされるつもりもなく
ひとりで決めていた
いまでも
あのときの気持ちは覚えている
そしてだれかに理解されるようなものでもないとわかる
私を哀れに思い理解しようとするものたちは
永遠に理解できぬだろう
それでも愛してくれたことについては
わかるよ

毎朝、
毎朝、
日が明けるのが
やけどみたいに痛かったけど
泣き濡らしたまくらもどうせ乾くし
私も腹が減ってうごきだす
このまま土くれになれればすこしはましなのに
だからこそ地獄だとおもっていた
こんなにもありありと
こんなにもたしかに
15の私は
かわいいかわいい
弱虫だった。

おかしいよ
だからってなにも届けないよ
この手紙はここでいま書いたものでしかない
君はひとりで生きてきた
私もまたここからひとりで生きていくのだ
それをつらいと思うか
勇ましく思うか
どちらにしても
私は生を実感している

それは死にたいと決めてただ泣き疲れて眠っていた君と
なんにも変わらない
いまもちゃんと私のままだ

朝のたまご色のひかりを見ると
あなたを愛してやりたくなるが
過去にさかのぼることはできない
ただ過去にせつなく思いを馳せて
この世の妙を思っていよう



毎朝君は
2023/10/01





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