私たちはこの狭い地球のなかでひとりぽっちだ

私たちはこの狭い地球のなかでひとりぽっちだ

私たちはこの狭い地球のなかで…

私たちはただ生きている
漫然とでもなく確信しながらでもなく
あなたがあなたのままに
わたしがわたしのままに
どのような瞬間においても
屁をこいていても
キスをしていても
人を愛しているときと疎んでいるときとかかわらず
私たちはこの狭い地球のなかでひとりぽっちだ
どれだけの数のものとすれ違い言葉やからだを交わそうと
温度もかおりも音も味も
それはまじわらぬもの
それはまじわらぬもの
物質であるかぎりは

私たちはこの広い宇宙のなかでひとりぽっちだ
途方もない闇とかがやきのさなか
たったひとり見えないものを追って飛びだした異分子だ
私は私だ
唯一無二だ
そうであれ
あなたもそうであれ
私は
この広く狭い世界のなかでひとりぽっちだ
さみしくはない
あなたがいるから
すべては生きているから
たったひとりなのに
歴史は永遠に振り返ることができ
未来はけっして見ることができない
壊れゆく星の光を観測できても
それは未来とはいえまい
私たちがどうであるかは
私たちが行き着いた過程とともにあるのだから

私たちはこの狭い地球のなかでひとりぽっちだが
隣になにもないなんてことはない
虫も草も太陽もある
朝と夜は交互にくる
さみしくはない
さみしいときは
思っているからだ
おのれ以外のなにかを
それは自分以外が生きたあかしだ
私が生きたあかしは
だれかの孤独に隠れていよう
やみくもに探すことはやめ
今日も歩きながら星でもみよう
星があんなにさみしくても
私は彼を思っている

私たちはこんなに狭い自分のなかで
それでも一等かがやいている



私たちはこの狭い地球のなかでひとりぽっちだ

2023/08/04

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