ひとつになることを願ったり
それでももしもわたしとあなたがひとつだったら
こんなに愛しくなかった
分かれてしまってよかった
この相対的な世界を創ったとき
さみしさを味わうことを予期していなかった
おばかなわたしたちだったけれど
このさみしさを超えて
このせつなさをかきあつめて
より大きな愛しさに出会った
ひとつになることを願ったり
それで思いだした
もとはひとつだったこと　すべて
だから分かれたこと
すべてがなんであるかを知りたくて
わたしがなんであるかを知りたくて
ただひとつであるとき
完璧であることも
うつくしいことも
あたりまえだったから
こうしてわたしたちは分離して
鏡のような世界で
出会えてよかった
あなたに出会えてよかった
こんなに愛しい
きょうもまた愛しい
きのうより愛しい
百年も生きて
百年前にも流した
それよりもまた新しい
なみだを流す
無数に分かれてゆく
また出会う
求めるほど離れてゆき愛しい
手と手がくっつくのが愛しい
そのためにからだを創ったのだ
すべてを創ってよかった
この世を創ってよかった
わたしを忘れ去っても
また思いだす
あなたを忘れ去っても
また思いだす
うまれてはじめて見つけたみたいに



分離

2022/08/23

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