夢をみるひつじ
草原と小丘
睡っている
仲間がいて
わたしがいる
あれは夢をみるひつじ

遠い地を歩くに似ている
ここではないどこか
されど
どこかであろうと
わたしはわたし
遠い地を歩くに似ている
しゃべりなれた仲間を離れ
ひとりになる
異国の地は
すべてがはかない
だからわたしは
生きていられる
生きていられる
せつないほうが
慣れていて

この旅は
終わらぬ夢
ときに夢をみるのも疲れ
砂漠の泉で喉をうるおす
ひつじのように睡りにつく
いつもずっと
いつかずっと
ひとりでありますように
それでいて
愛することはやめられぬ
群れをいくら離れても
いつもずっと
いつかずっと
途切れぬえにし
ときに痛みのよう
ときに安らぎのよう
すべて
すべてはわたし次第
わたし次第

分離と融合
くりかえし
分離と融合




……

交じっても
分かたれても
結局
わたしはわたし
わたしはわたし

異国の地を歩くのは
こんなに愛しい
異国の地を歩くのは
骨も折れる
それでもわたしは
わたしである

忘れそうになったとき
呼び声がかかる
おーい
おーい……
振り返る


背中には砂漠がゆらぐ

あのかげろうを

追っても



あのかげろうを追っても
2022/07/05





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