ちいさな孤独を
分かち合いましたが
それをどれだけ無限にちいさく
切り分けてゆき
さらに分かち合いつづけども
見えないほどちいさくなれども
なくなったわけでは
ないのです

僕はあなたを愛しているし
あなたがいかに僕を愛しているか理解したけれども
愛はべつに
重ならないわけではないんです
あなたは僕を愛するあまりに
愛が大きくなっていくと思い
大きくなっていった愛が
あなたのなにかを隠している
あなたには
見えていないものがある

大きければよいとか
ちいさければ足りぬとか
そんなことではないと
本当は知っているくせに

僕は 変わりません
なぜって
いつも歩いていくでしょう
地球はまわり
季節は変わり
時代は
歴史は
自然のすべては
刻一刻と変わっていくというのに
宇宙は膨大に広がりつづけていくというのに
永遠に変わりつづけていくということは
変わらず
けっして変わらず
そして
どれだけ移り変わったように見えても
ほんとうのことだけは
ほんとうのことだけは
変わっていない
それは
わかるでしょう
わかるはずだ
どんなに嘆いた あなたでも

僕を特別にしたかった
僕と特別になりたかった
あなたのことを
その気持ちを愛していないわけがないだろう
しかし
僕は特別ではない けっして
僕とあなたが特別にはならない
けっして
人は無限にいる
人 以外も
すべてを選びつづけながら
僕たちは生きていく
ときに孤独を分かち合い
支え合いながら生きていくことを
あなたが僕としたかったことは
わかっている
僕もそうさ
誰とだってだ
それは素晴らしいことだからね
でもあなたは
それをたったひとりの人間としかできない
特別なことにしたがった
そうではない
そうではないのだ
僕はたったひとりだ
かわりはいない
あなたもそうだ
あなたのかわりなぞいない
しかし
僕たちはほかの人たちを見下せるほど
たったひとつの特別だろうか?
いいや
僕とあなたが分かち合えるなら
僕とあの人も分かち合えるよ
あなたとその人も
あなたは
僕を特別にすることで
自分も特別にしたかっただけだ
僕とあなたを特別にすることで
特別であると思いたかっただけだ
それじゃあきっとこの先も
あなたは淋しいままだよ

愛しているから いうよ
ウソ つかないよ
息ができない と泣くことを
否定なんてしないよ
ほんとうのことだけを いう
僕はあなたにほんとうのことだけをいうから
胸が痛くても
聞いてくれ
僕をほんとうに愛していたなら
僕とあなたが分かり合えないと思い
絶望に暮れてもいい
あなたが死なないことを知っている
あなたを愛しているんだもの

嘘はつかない
だから
ちゃんと話そう
目を見て話そう
僕の目を見て
あなたがきれいだといってくれた僕の目は
たしかにちゃんと
濁っていやしないはずだ
あなたの目も
どれだけかなしみに溺れても
うつくしくきらめいている
僕はその目を
見誤ったりしない



あなたを見誤ったりしないから
2021/08/03





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