僕 しってるんだ
ママはいつか死ぬんだって
からだが終わるんじゃないよ
いいかた まちがえたね
しってるんだ
いつか死ぬんじゃない
ねえママ おまえはもう死んだ
もう 何回死んだ?
また死ぬの……
僕 しってるよ
おまえが弱いことを
いまだ 溺れていることを
僕 しってるよ
いつまで みてりゃいい?
いつまで 許しゃいい?
ねえママ
あなたはいつになったら
ちゃんと生きるの
僕 強くなったよ
こんなに大きく 背も高く
足も手も育って
僕ね いろんなものを持てるんだ
まわりのひとが僕を頼りにしてるさ
愛してくれもする
嫉妬されても めげないよ
僕 強くなったからね……
ねえ ママ
もう 生きて
ちゃんと 生きて
ほんとはそれ……
それだけ いいたい
許してあげるよ
どんなことも
僕をうんでくれたからじゃないよ
母親だから愛してんじゃない
人と人は愛しあっているものなのさ
血なんかいらん
なんもいらん
かたちなんかなくていい
なぜ なにも信じられないの?
信じていないのは自分だ
自分を信じられないのは弱いからだよ
弱くったっていいさ
弱いことをあなたが許さなきゃ
弱くても弱くても 弱いなあ 困ったなあって
生きてかなきゃ……
もう 生きるのいやなら
はやく死んで
死んでいいよ
いやなら なにもしなくていいんだ
本音だよ
本心だよ
あなたを傷つけたいんじゃない
諦めているんじゃない
死にたいなら本当に死んでいいんだ
選ぶことから
逃げないで
ねえ
これまで何回
はやく死んで
と 願ったかな
僕はごみ箱じゃないし
杖でもないし
だけど
確かにあなたを愛しているひとりだよ
僕 しってるんだ
あなたが生きてないこと
ちゃんと見てるよ
ずっと見てるよ……
いなかったあいだも
離れてたあいだも
いまも まだ
僕は
たまには いやになるさ
まわり見てると
つまらんことで嘆いたり
自分だけが不幸だと思ってるやつ見てると
よけい いやになるさ
いいや それは 無様だな
人のせいにしちゃいかんな
しってる
わかってる
僕はもういくけど
生きるも死ぬも自由にしな
自由とは
無限にある選択肢から
後悔しても選ぶことだ
うまれたことさえ選んだんだ
親は選べないとか
うんでほしくなかったとか
馬鹿をいうな
根本から否定をし責任をなすりつける馬鹿どもに
つきあう暇なぞない
ママ……
終わりにしよう
この下らない
やり取りを
おまえの生き死にを
おまえのものにする
どんなに傷つけあっても
愛が見ているってことを



untitled
2021/07/31





×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -