私が私であるために必要なことはなにもない

必要なことはなにもない

不要なものさえなにもない

どんなに愛しても
ことばでも
からだでも
ひとみでも
ほほえみでも
とうてい足りぬ
だからそれは
それでいい

どんなに愛しても
愛し尽くせぬことを
体感し
知るのだ
それこそが
愛だ

愛が無限でなぜかなしい
人はいつだってかなしむのだ
なぜかなしいと思う
愛をさえ
愛しているからだよ
泣きなさい
尽き果てるまで
笑いなさい
次にかなしくなるときまで
繰り返しなさい
輪廻などない
あるのは
うつくしい永遠だけだよ

人が人をおもうとき
はからなくていい
それをひとつ
知りなさい

私があなたを愛しきれぬとき
愛しきれぬという愛おしさが
結局凌駕していく
そうしてまた凌駕していくことに
やりきれなくなるのだ
私はなんと
弱くはかなく
ちいさく尊く
強く深く
偉大ないきものだろう

こんなにかなしいのに
こんなにうれしいのはなぜ
こんなにさみしいのに
こんなにいとしいのはなぜ
こんなにおかしいのに
こんなにまじめで
こんなにやさしくて
こんなにつめたい
こんなにかわいくて
こんなにきれいだ

きれいだ

なにかも

証明もない
なくていい
それでいい
それで

あなたがあなたでありますように
いつまでも

私が私でありますように
願いは
願われた瞬間に
本望を遂げている
だから
うれしくて
いつも泣くの



いつも泣くの
2021/07/01





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