嘘つき

ずっと好きだった

あなたの手の大きさをおぼえている

あなたの胸の深さも

あなたに抱かれると
わたしは子どものようだった
あなたを愛するとき
あなたもわたしの子どもだった

なにもふたりのみぞを埋めるために
出会ったわけじゃない

ふるぼけたオルガンを
たたく指

その音色が
天国にひびく
やさしいひかりのようだった

あなたの手のにおいをおぼえている
その胸の上にねむるとき
そこにしかない感動が
せかいをつつんだわ

なにもいらない
もうなにも
なにもほしくない
もうなにも

嘘つき



あなたの手
2021/02/16





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