ぼくのオルガン
愛されたくて泣いてた
ちいさかったオルガン
おおきくなったけれど
とうさんもかあさんもオルガンを叩いてばかりいたので
ぎりぎりのところで壊れなくて
ただいびつなかたちで生きていた
ぼくのオルガン
かわいそうなオルガンを
ぼくはきらきらして見えたから
ずっとずっとついていった
オルガンはぼくを愛するきもちにおそれて
オルガンはぼくを暴力以外のもので踏みにじったけれど
オルガンはぼくのオルガン
ぼくはオルガンを愛してしまった
ぼくのこころには
オルガンの音色がある
ぼくのオルガン
とてもおおきくて強い
ほんとうはやさしい人
ぼくのオルガン
いつまでもいつまでも抱きしめていたら
輪郭がぬれていって
輪郭がとけていって
あのころのうつくしさを
あのころのやわらかさを
あのころのかなしさを
あのころのさみしさを
あのころのかわいさを
あのころの純粋さを
思い出した
ぼくのオルガン
オルガンはぼくを抱きしめられる腕になる
ぼくのオルガン
最後までありがとう
ぼくのオルガンは
ずっとずっとぼくのオルガン



ぼくのオルガン2
2020/09/29





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