あなたのためのいちまい
わたしのためのひとひら

あなたのためのひといき
わたしのためのひとよ

さめざめと泣くあなたをみていて
いとおしいなあと思った
ほかのひとでは許せないことを
あなたがすると許してしまった
それは愛でも恋でもなくふと
そうかわたしたちは前におなじ人間だったのだなあと
ゆっくりとうなずいた

運命や奇跡は残念ながらないけれども
重なりあう人生の軌跡は
すべてわたしがわたしの手で選び取ったもの
不用意にいきているひとたちが嘆くとき
わたしはすこしおかしく思う
しかしそんなひとたちもまた等しく
愛しく
そしていつかわたしだった

あなたのきらきらと笑うひとみが
あまりによくて
わたしもきらきら笑いながら
こころでしくしく泣きました

どうしてせつないと思うの

わたし昔木だったの
あのときあなたもわたしの下にいてくれたから

人間ってこんなにもせつないの

幸せ



どうしてせつないと思うの
2020/07/03





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