唯一無二の天才じゃなくていいけど
あなたの唯一無二になりたかった
わたしは特別なものが嫌いだし
ひとつのものを信仰して生きていくよりも
広い視点で世界に立って
あらゆるものを等しく愛していたかった
あなたの唯一無二になんかなりたくないのに
どうしてもあなたのただひとつの特別になりたい
世界が無数に割れていって
月や星が雨のように落ちる
そんな時分に
いまさら永遠を誓うような
そんなキスがしたい
キスがしたい
わたしのかたちのすべてが
わたしの見える愛ですけど
あなたのために創りかえたい
わたしはわたしのために生きたいし
これまでだって生きてきたのに
あなたの前ではあなただけのわたしになりたい
あなたの胸の奥底に閉じ込めて
ふたりきりにして
わたしはいろんなひとを愛していきたいし
唯一無二なんてものはいらないけれど
どうしてもあなたの唯一無二になりたい
あなたのただひとつの特別になりたい
恋でなければ愛でもない
憎しみでなければ悲しみでも
淋しさでなければ痛ましさでも
そんな不思議な水のなかでもがいています
わたしはすでにあなたのためのただひとつです



あなたのためのただひとつ
2020/06/25





×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -