きみは悲しいことをいう
きみは不安を目にたたえ
道のむこうはこわいという
すぐに夜がやってくると

こわくないよとわたしがいっても
きみはいつも泣きそうだ

夜はおそれるほど深く
きみが泣いても薄くはならない
わたしが手を繋いでいても
きみはいやがる
きみの痛みは
わたしのなかに届かない

つばさがあっても
きみは羽ばたかなかった
でもわたしは
きみのことを知っている
きみが生きていることを
たとえどんなにきみがきみを惨めにおもって死んでいっても
わたしはきみの生き様を知っている

エデンのそとは
きみにはいばらの道だったのかい
こんなにもわたしたちは
生きるために生まれてきたというのに

わたしはきみが憂いた世界を
きみが悔いた生を
きみが憎んだひとたちを
しずかに愛す



エデンの外
2020/06/10





×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -