ちいさな風のひといきが
わたしのはなさきかすめました
弓にしなったまつ毛のさきに
あなたとかよった古き路
おもいでは
時間のなかのある一点ではなく
わたしたちという部屋に整然とならんだ
一冊の本です
こころは
かたちやにおいではなく
あたまとからだを繋ぐぜんぶです
あなたは
たったひとつのあなたであり
わたしを見るための目であり
あなたを愛すための手足です
わたしは
たったひとつのわたしで
あなたを知るための口で
わたしを生きるためのちから
この古きよき路を
この新らしきつよき路を
だれのためでもなくかよう
距離と速さに押し流されて
離れていっても
三本目の路が
つづいています



三本目の路
2020/06/05





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