あの八月はもうないよ
あの七月のわたしの誕生日ももうない
もう終わったんだ
ぜんぶ終わったんだ

わたしは驚いている
あの日の風は愛撫のようだと感じながらわたしは心底泣き疲れていて
いまはただうつくしくある

ときは自在に止められる
そしてわたしは好きなときに進められる
あのときつくったお人形は
ほんとうはもうきっと必要ないんだけれど
とても感謝していて
ほんとうに愛しているから
わたしはときどき思い出して
手を繋ぐんだ

春はきたかい?
ティーンのわたし
春だけじゃない
秋も冬もそして夏も
風化もせず
美化もせず
ただしこれまででいっとう新しく
うつくしい季節が
もうずっとここにある

わたしはわたしを許して
愛してくれる人がほしかった
それはほかのだれかではなく
わたし自身でできたんだ
だからわたしは尊くなった
わたしはずっと許して愛してほしかったけれど
それをだれにもいえなかった
母や友 先生たちに
そしてわかった
彼らはすでに
わたしにはわからぬかたちで
そうであったのだと

この道をすすむ



すべてが新しい季節
2020/03/19





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