百年前の
手紙をよみました
今とずいぶん違って見えるけど
それも一つのあなただったと知ると
なんだかおかしくて
面白くてやさしくて
生きてきたことが
嬉しくなりました
百年前にも
あなたと私は
こんな喧嘩をしたんですね
しかし繰り返すことで
私とあなたは
この二人を選び続けていたんですね
やっと
やっと
やっと気づいたんです
何万年もやり続けて
飽きるほど愛したり憎んだりいがみあったりして
やっとわかりました
百年後も
私はあなたを愛し
百年後も
私はあなたにいかり
百年後も
ずっとずっとあなたと憎みあったり
ばかみたいにしょうもないことで
世界を破滅に導いたりしながら
生きていくのだわ
それでも
どれだけ生きても
どれだけ繰り返しても
何度いかりと悲しみと痛みに打ち震えても
愛を思い出すのでしょう
愛を思い出す
かならず
手紙を書いておきます
百年後にあてて
愛があふれるときに
書いておきます
憎しみや悲しみのさなかも
やがてそれは終わるということを
教えてあげるために
尊いものたちを
記しておきます
愛しています
たとえナイフを握っても
私があなたを殺しても
あなたが私を殺しても
私はあなたを愛しています
繰り返し
繰り返し
愛し始めます



神話
2019/11/17





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