きみは浅はかな子どもであれ
あすときのうのことは忘れた
愛や憎しみなどにとらわれぬ
ずっとひとつの子どもであれ

わたしはきみの隣にいる
きみが見ている海の向こうを
わたしもなんとか見つめている
きみがどれだけひもじくても
きみがどれだけかなしくても
きみがどれだけ頼りなくとも
きみがどれだけ傷んでいても
きみはずっと見つめている
一直線に向かうきみの二つの瞳を
わたしは追いかけよう

わたしよずっとひとつの子どもであれ
経験を得たような力強さと意志と
なにも知らない好奇心と喜びで
ずっとひとつのわたしであれ

だれに愚かと罵られても
毒にも薬にもならぬ野暮でも
ずっとひとつのわたしであろう

本当は知っている
すべての子どもが知っているように
百人がわたしを蔑んでいても
一人はわたしを愛している
世界の九割がわたしを知らなくても
たった一人わたしを見ている人がいる

きみよずっとひとつのきみであれ
きみをおびやかすものすべて
ただきみだけが振り払って受け入れて生きてゆける
きみはだれよりも聡いこころを知っている
だれもがそうであることさえ
だからきみよ
きみよ見誤るな
損なうことなどけっしてない
たとえおそれおののいても
きみは本当に傷んだりしない
だからわたしは
ただひとつのわたしであろう
損なうことなどけっしてない
あらゆるかたちに変わりながら
なにひとつ変わらぬわたしである

きみよなにからも解放された
ずっとひとつのきみであれ



ずっとひとつのわたし
2019/09/24





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