背中の線の 背骨の流れの 白とかすかな青の影の うえをたどりながら うなじへたどりつく にび色のナイフが 切り裂く膚の 小さな 皮切れの 音 痛みのさなかの鎮痛剤 灯のないトンネルのはるか先の光 痛くていい 暗くていい 痛みで頭がいっぱいになって 足もとが見えなくて 報われないのだと思えば思うほど 不幸という恍惚に 溺れることができる どうしても忘れらないことがある そこへ向かえば向かうほど これ以上ないと思ったほど傷ついたのに それよりさらに傷つくことを知っても 恋い焦がれてしまう 闇 暗闇のなかの一筋の光が 忘れられない あなたの煙草 彼の薬 わたしの恍惚
untitled2019/08/23
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