二人が手を取り合うことを
だれが罰しただろう
神官か
親か
友か
不幸を願う人々などどこにもいない

憂いも恋も孤独も不安も
光や力とおなじ
それをやまいと呼ぶならばやまいで
変化と呼べば変化になる

わたしたちは傷つかなければならないと思っていたが
傷つく必要などなかった
だれかに許されるために身を削らねばならないと思っていたが
幸福であることを許されるためには
だれもが認める不幸を背負わねばならぬと思っていたが
そんなことはなかった

あなたが憎んだ花の種を拾って
庭にまいた
水を毎日やって
光を与えた
咲いたのは
なんのへんてつもない
なによりも美しい
小さな花だった

わたしの憎しみは
わたしのなかで膨らみ
いつかかならずわたし自身とともに破裂してしまうとおそれていたが
わたしが撫でてやると
それはあまりに容易に
容易に
溶けてしまった
しかも微笑みながら

二人が手を取り合うことを
だれかが罰したとしても
二人の幸福を
人々が壊そうとしても
二人の絶望を
世界が求めたとしても
そんなものはどこにもない
そんなものはどこにもない

そしてわたしたちは離ればなれになっても
たった一人でも
生きていける二人だった

あなたがやさしい
世界がもしも残酷でも
あなたがやさしい
朝日も夕日も
あなたのことを知っている



あなたがやさしい
2019/04/18





×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -