どうしてあなたに向けて書いた詩を
ほかのだれかに宛てているのだろう

思いをまっすぐに手渡すことは難しく
恥や戸惑いを同じように愛してあげられたら
あの日のわたしたちも
ちがったかたちになりえたのですか

音楽をききながら泣く
今日は火曜日 町を走ってきて
すこしかげりはじめた昼過ぎに
眠ることもできないで
突然
あなたの人生を思い出した

だれかの一生を思えるほど
なにかが大きく変わったわけではない
ただ あなたがあなたの人生を生きてきたことに
ふいに気づいたの

どうしてあなたに向けて書いた詩を
ほかのだれかに宛てているんだろう
あなたに手渡すための紙やペンならあるけれど
わたしがきっと伝えるべきはあなただというのに
わたしは多分あなたに直接伝えることはない
あなたへの思いをただしたためつづける

とどめておくことで
許されているわたしがいるのです
幼いわたしは隠れることで
愛されている
わたしのあなたへの思いは
ずっとわたしのなかにあって
かたちにした言葉たちは
あなたとは別の人に届き
そうやってわたしは
わたし自身を許しているのだろう

愛しているという以外で
愛する気持ちをどう表せばいい?
感謝も謝罪もほど遠い

昔わたしが犯した間違いは
あなたとわたしのなかにある
わたしが犯した間違いが
あなたとわたしのなかにある
あなたの犯した間違いが
わたしのなかにも残っているように

もはやそれさえ
愛でしょう



2019/04/17





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