最初は違うと思ってた
あなたを愛すれば愛するほど
離れていくものだと思っていた
放すことだと

それは確かにそうだった
だけど一つ気づきがあった
あなたが私を愛していなくても
私は悲しくなんかないから
私はどこへでもいこうと思ってたけど
あなたが私を愛してたから
それであなたが私にふれたから
私は愛にかたちも色もにおいも音もないと知っていたけど
ある瞬間には
愛はかたちも色もにおいも音も感触も……
すべてあるものなんだって
気づいてしまった

そこにいるのがあなただった
ここにいるのが私であったように
むろんあなたでなくともよかったはずだった

唯一無二のものしかないと思ってて
唯一無二なんてないと思ってた
どちらも本当だった
私はただ どちらかを選んでいただけだ

私が愛した風が
丘にふく

秋に落とす葉を
囁かせる

冬のしじまを
突き抜けて

春の日差しを
深く吸い込む

夏の暑さにしみこんで
私を愛する



2019/04/14





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