ふたりの魂がはるか昔におそれをなして
べつべつの道へ分かれたとき
風は笑っていた
そう
そのときから風は
笑っていたのだ

森は盛りも衰えも愛し
日は永遠に燃えている
雨も雪も傷むことなく
風はずっと笑っている

この森に絶えた人たちを土が包み
しみわたった人間たちの鼓動が
このわたしのこころにも響いてくる
昔分かれた魂は
月と太陽のように離れているが
まだおそれを忘れていない
まだおそれを忘れていない
それを人は痛みや孤独だと思う

帰ろう
帰ろう
知っているのだ
べつべつの道をどこまでいこうが
すべての道は繋がっていた
魂はやがて再び出会うときにもまた
おそれるだろう
何度分かれてもめぐり合うことを定めといって
抗い続けることをまた
愛と呼ぼう

森が
日が
風が
雨が
土が
水が
雪が
血が

すべてをわたしに伝えてくれる

ふたりの魂がはるか昔におそれをなして
べつべつの道へ分かれたとき
わたしは泣いていた
それを見て風は笑っていた
こうして愛ができた
どこまで分かれていこうとも
永遠に抗い続けようとも
愛は変わらない



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2019/03/04





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