ここにだれにも届かないものがある
だれも知らないしだれも見ていない
それはひとり日々積み重なっていき
結果などには目もくれずただ積み重なっていき
終わることを求めもせず
際限なく続け続ける
不思議なことにそれは所詮記号や形に過ぎないが
ただひとり 特定のひとりのこころを
癒し続ける
彼女は毎日考えている
彼女は毎日感じている
そこは無駄だらけで
とりとめもないものたちのうずだが
そのうずは
けっして無意味でなく
ほんとうに無駄なものはなにひとつない
彼女は思う
わずらい病み気がふれても思う
思うことを続ける
こうしてまた記号や形ができあがっていく
積み重なっていく彼女の重要ながらくたの山は
いずれ形すらなくして
この海へ消えていくだろう
形を得たもの成したものはすべて
いずれ消えてなくなるのだから
ただ彼女にはそんな結果はどうでもよく
ただ彼女は毎日考え感じ思い続けるだけである
彼女は思うことを続け続ける
彼女は愛してしまった
思いを愛してしまったのでもはや
それを忘れることはできない
得ることはできたとしても……
彼女の今夜の夢にも
まただれにも見えない記号が
降り積もる



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2019/02/24





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