本当はすべてどうでもいい
わたしがあなたを愛していることも
わたしがだれかに愛されていることも

どれだけ愛しているかを証明することなど
どうでもいい

あなたがどれだけ傷ついてきたかも
わたしがどれだけ必死で生きてきたかも

なにもかもどうでもいい

死のうとしたことも
理解されなかったことも
人をうらんだことも
傷つけられたぶんだけ傷つけたことも
耐えつづけた夜でさえ
わたしを朝日が灼いた事実でさえ
どうだってよい

愛の証明などいらぬ
生きていることの証も
なにかをここに残す必要も
生きていた証も
愛の誓いも

ただとこしえの春が突き抜けていく
夏も秋も冬も貫いて
わたしのなかを穿って通り抜けていく

それを捕まえることもかなわなければ
それを讃えることもかなわない
そんなちからを
そんなちからを
愛しくだきとめていることも

わたしという存在のすべてが
ほんとうはどうでもよい

ただ悲しみと痛みをだく
途方もないよろこびがあるだけ

そしていっそそれさえもどうでもよいほどに
どうでもよいほどに

わたしはあなたを愛して
生きている

生きている
死にゆく流れのなかで
ひたすらに死に向かって
生きている
死ぬことさえ
生きている

あなたを愛している
わたしがわたしを愛するほど強く

どうでもよいことすべてかきあつめて
ぬるい大地のうえで
眠ろう



朝と夜
2019/02/16





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