春は意外にも遠く しかし思い馳せてみるといまにも このわたしの目の前へ やってくる ずっとさがしていたものがあったけれど 実はそれが自分だったことに気がついて ひとり笑ってしまった 春はわたしを見ている あの夏の背中も あの夏の嵐も あの夏のかげりも あの夏の虫たちの残骸も そして秋も冬も 春はわたしを見ている 世界すべてが最初から君のかわりだったので わたしは見失ってしまったのだ 君も意地悪なことをする わたしはわたしであることに気づけなかったのだ 君をどれだけ愛しているかを 証明することばかりに躍起になっていたもので 春は思うより遠く 春は思うより近く 君のいない世もなかなかどうして悪くないのだ 君のいない世も悔しいけれど 悪くないや 春! 2019/02/09 ← → |