あなたが夜に首を絞めにきていたこと
知っている

あなたの夢をわたしに重ねていたこと
私はもう知っている

あなたに父がおらず
母にいじめられていたこと
それを私に預けていたこと
知っている……

私に夜毎聞かせたあなたの物語
私はちゃんと覚えているから
あなたの孤独も不満もとめどない欲望も
知っている

カルマカルマとうるさかったあなたの口
宗教に走り私に授けた名前も
どんな意味なのか
もう知っている

知っている
知っている
隠しても
隠しても
隠したって
隠したって

あなたのついた嘘を
あなたの虚栄や欺瞞を
あなたのために育てられた私を
娘のかわりに全身全霊をかけた
この私を
この私を
この私を
私は心得ている……

まあそれでも案外平気
なんにしろ私は
あなたを愛しているし
あなたがどれだけゆがんでいようと
もう弱ることができないの
もう弱ることができないの
あなたが求めたことのない
私がいまここにある

誰かがあなたを
誰かがあなたを
哀れんでくれたら
あなたは救われた
かな?

そうじゃないよね
知っているのよ
あなたも本当はすでに

だから私はただ
私だけを生きるわ
あなたの人生はあなたが生きるから!

支えが欲しいなら
少しくらい手伝う
すべてを肩代わりはできないけれど
私はもう
あなたのかわりでも
母の娘でも
誰かの恋人でも
親のいない子どもですら
帰る場所のない浮浪者ですらなく
私だから



I am
2019/01/27





×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -