わたしはわたしであることを諦めてまで
生きてはいけない
それならば泥を食いながらでも
わたしのままでいよう

人の多い駅で
ひとり またひとりと
くる電車に乗り込んでいき
取り残された最後のひとりでいるのは
なぜか少しだけこわく
心地よかった

どんなささいなものでさえ
否定することをおそれた
わたしはいつでもほんとうは
肯定していたかった
たとえ無理をして
こころのすべてがすり切れてしまっても

ただし
健気でこころやさしい善良な人間などではなかった

だからわたしは
否定しないことを
新たに選んだ
今度は
わたし自身のちからで
肯定することを

だれかがなにかを批難しても
だれかがなにかを破壊しても
なにかはおそれたりしなかった
なにかは惑ったりしなかった
なにかは静かだった
わたしはなにかを見ていた
わたしはそれを知っていたから

母たちに
大切な知り合いに
過ぎ去っていった大勢のうちのひとりたちに
いつも誠実でありたかった
難しいことでも
簡単にできるといえる
あなたのためならば
わたし自身のためにならば



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2019/01/06





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